「もう一度、数学」の本
2023年4月4日(火)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは。はじめまして「七里」と申します。
新年度がスタートしました。新生活を迎えた方、これから新しいことを始める方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、今まであまりご紹介できていなかった本を、心新たにご紹介しようと思います。
突然ですが、皆さんは数学がお好きですか?得意ですか?
残念ながら私は、「算数ならまだしも、難しい公式がオンパレードの数学なんて、社会に出たら使わないし、意味ないよね」と思っていました。
きっとこれからご紹介する本の著者からは、ガッカリな人間に認定されてしまうでしょう。
しかし、著者側も、私みたいな人間がいることは百も承知。
これからご紹介する本は、そんな人でも驚きと興味を持つことができ、数学(あるいは数学的思考)が世の中にどんな風に活用され、どれだけ重要なのかに力点を置いて書かれています。
『文系もハマる数学』
横山 明日希/著 青春出版社 2020
三角ロボット掃除機のその三角の意味、コピー用紙サイズの半端な数字の謎、1ℓの牛乳パックの体積の不思議など、普段ちょっと気になっていたけれど、そこまで深く考えてなかった身近な内容から始まるこの本。
そうだったのか?!の連続で、すぐに引き込まれていきます。
そして、ニュースでよく見る社会問題の数学的解説や、人間関係の改善の方法など、今の生活で役に立つ内容ばかりで、一気に読みきることができました。
横山 明日希/著 講談社 2023
「数学、なかなかヤルじゃん」とここまでの私。いい気になって同じ著者の『はまると深い!数学クイズ』も読んでみました。
「数学は面白い」というしかけがさらにパワーアップしています。
また数学の歴史にも触れているので、先人たちの知恵を確かめることができます。
現在のデジタル時代に欠かせないAI。重要性は理解しているつもりでも、ついていくのはなかなか大変ですね。
そんな時に、デジタル時代の核となる数学の考え方の本はいかがでしょうか。
芳沢 光雄/著 東洋経済新報社 2020
この本は、本格的なAI時代を迎えた今、算数・数学教育を見直すことを訴えるために書かれた本です。
その根幹には、暗記数学がいかに日本の数学教育を衰退させたか、があります。
著者は暗記数学の弊害を、小学校の算数から中学・高校の数学に至るまで詳細に分析し、その上で、どうすればいいのかを丁寧に解説していきます。
最も心打たれた点は、著者が暗記数学の批判をただするのではないところです。
20年以上にわたり、大学生から講演先の小学生に至るまで、「考えて理解する」数学の大切さを地道に教え続け、それをこの本にまとめています。
そして、この数学の理解の仕方が、問題を解決する能力や社会を変えるひらめきに繋がっていくことを示してくれています。
内容には高校数学まで含まれているため、かなり難しい箇所もありますが、頭をフル回転して考えることができます。
家族を巻き込んで皆で考えてみるのも一考です。
学生や社会人の方はもちろんのこと、お子さんのいる方にも読んでらえると、これからの時代に必要な算数・数学の神髄が理解でき、教育にも活かせるかもしれません。
暗記数学だった私。数学なんて社会に出たら意味がないと言ってしまった私。
本当に著者に懺悔です。そしてこの本に感謝です。
こんな小説もありました。
『青の数学 [1]』
王城 夕紀/著 新潮社 2016
「数学って何?」
主人公の高校生の栢山(かやま)は喫茶店で出会った女性の京(かなどめ)からこう聞かれ、答えに窮してしまいます。
そしてその答えを求めて、E²とよばれるネット上の数学の空間で、クセの強い高校生たちと切磋琢磨しながら、成長していく物語です。
それは、決して楽しいだけではなく、苦しくて長い道のり。
数学の沼にハマるとこんな心理状態が待っているのかと、つくづく感じさせる内容が胸を打ちます。
また、「数学とは何か」について、主人公と他の登場人物とのやり取りが、もはや禅問答のようで、哲学だと思わせる程です。
この本は、数学が好きな方や得意な方ほど、心情が痛いほどわかるかもしれません。
『青の数学2』
王城 夕紀/著 新潮社 2016
『青の数学2』では、『青の数学』で思わぬ展開のまま終わった続きを確認できます。
また、伏線の回収もあるので是非続けて読んで欲しい本です。
図書館には、他にもさまざまな数学の本を置いています。
数学が好きな方も、苦手な方も、もう一度手にとってみてはいかがでしょうか。
紹介資料
『文系もハマる数学』横山 明日希/著 青春出版社 2020
『はまると深い!数学クイズ』横山 明日希/著 講談社 2023
『AI時代に生きる数学力の鍛え方』芳沢 光雄/著 東洋経済新報社 2020
『青の数学 [1]』王城 夕紀/著 新潮社 2016
『青の数学2』王城 夕紀/著 新潮社 2016
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