こんにちは、なばなです。
9月に入って暦の上では秋、のはずですが、未だ残暑が厳しいですね。
動くのも億劫になる今日この頃。
この倦怠感を吹き飛ばすイベントはないかとテレビをつけると、こんなニュースが目に飛び込んできました。
「コロナの制限緩和で海外留学再開!」
日本とは違い、海外の多くの国では9月からが新学期です。
コロナの規制も落ち着いた今、9月から入学や進学再開に向けて準備する学生が増えている、という内容でした。
なるほど、海外留学...
よしやろう!と、言えるほど簡単な事ではないのですが、なんとも心躍る響きです。
それに、準備がかかる物こそ今調べておけば、後々役立つかもしれません。
そこで今回は、留学に関して役立ちそうな本を紹介しようと思います。
まず最初に紹介するのはこちらです。
(キリーロバ・ナージャ/著 集英社インターナショナル 2022)
留学する以上、どんな風に学ぶかは重要ですよね。
この本の著者は、小学校から中学校までに6ヶ国の学校に転校しました。
その経験から、各国の教育の違いを比較されており、留学先でどんな教育を受けたいかを考える上で、参考になります。
ですが、それ以上に参考にしてほしいのは、本の後半です。
何度も転校した著者は、当然言葉や文化など様々な壁にぶつかりますが、その中である「発見」をします。
これ以上はネタバレになるのでお伝えは出来ませんが、学ぶとは何か、と考えさせられる内容でした。
留学に興味がある人にも、そうでない人にも一度読んで欲しい本です。
次におすすめするのは、海外留学記です。
(徳仁親王/著 紀伊國屋書店 2023)
こちらは今年復刊されて、メディアに取り上げられたので、ご存知の方も多いかもしれません。
イギリスの名門オックスフォード大学での寮生活、というのも心惹かれる設定ですが、話題になった最大の理由は著者の存在。
著者は徳仁親王殿下。現在の天皇陛下がイギリス留学時代のことを綴った本なのです。
そのため、作中には大使や、貴族、英国王室といった要人、更には女王陛下までさらっと登場していて驚かされます。
ですが、それ以上に引き込まれるのは、その大学生活の描写です。
尊敬できる教授との出会い、寮生活での様々な驚き、友人たちとの他愛のないやり取り...
読みやすいさらりとした文章なのに一つ一つ情感がこもっていて、思い出を大切にしている気持ちが伝わってきます。
復刊の際、新たに増えた後書きには
「この本によって海外へ留学してみたいと思う人が一人でも増えれば、私にとって大きな喜び」
と記されているそうですが、その思いがしっかりと伝わってきます。
復刊版は長島図書館の所蔵ですが、中央図書館には初版があります。
自然と留学したいと思わせてくれる魅力の詰まった本です。
最後に紹介したいのは、こちら。
(平田 久子/著 コスモピア 2020)
留学の大まかな手順や予算などをまとめた入門書です。
親子ではなくとも、留学をより具体的に考えたい人におすすめです。
著者自身も親子三代で留学が経験あり、精神面と物理面の双方からのアドバイスも豊富です。
なるほど、留学は人生設計なのだと納得させられます。
留学することがすべてではないという考えも述べており、読み進めるうちに漠然としたイメージから、自分の望む留学の形が見えてきます。
留学を具体的に考え始めた方におすすめです。
昔は海外留学したと聞くと、自分とは別世界の話のように感じたものです。
ですが近年は国内外問わず選択肢が増え、今では何歳からでも、どんな短い期間でも大丈夫。
縁遠いと思っていた世界は、いつの間にか随分近くなっていました。
皆さんも、どこかの国の新学期にいつかは参加する日が来るかもしれません。
その前準備に、まず図書館の本を手に取ってみてはいかがでしょうか?
紹介資料
『6カ国転校生 ナージャの発見』(キリーロバ・ナージャ/著 集英社インターナショナル 2022)
『テムズとともに 英国の二年間』(徳仁親王/著 紀伊國屋書店 2023)
『テムズとともに 英国の二年間』(徳川親王/著 學習院総務部広報課 1993)
『留学を考え始めた親と子で読む本』(平田 久子/著 コスモピア 2020)
こんにちは。七里です。
暑い夏が続きますね。
コロナ禍が明け、制限なしの久しぶりの夏に、海や山のレジャーを家族や友人と楽しむ方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は海や山の本を、児童書・絵本・ティーンズコーナーからご紹介します。
まずは、海編から。
『Surf Boys』 (南田 幹太/著 PHP研究所 2021)
「かつてチューブに乗った伝説の小学生がいた!」
チューブとは、大波の中にトンネルのような空洞ができること。大人でも難しいのに、何年も前に湘南の海で小学生がそれをしたというのです。
サーフィンを習っている大和は、その話を耳にして、サーフィンスクールの校長先生に真相を尋ねます。
そこから話は、いっきに数十年前にタイムスリップ。
伝説の小学生の物語が始まります。
湘南の海で、小学生の亮はサーフィンの上手な誠に出会います。
誠にサーフィンを教えてもらいながら、二人はサーフィンを思い切り楽しみ、そして友情を深めていきます。
しかし、そこにライバルの外国人、スティーブが現れます。
サーフィン場の縄張り争いが起こり、サーフィンの大会で、二人はついにスティーブと対決することになるのですが・・・。
夏の湘南の海を舞台に、色々な人と関わりありながら、困難を乗り越え、成長してく二人の姿に、心が熱くなります。
そしてサーフィン大会で優勝した伝説の小学生とは果たして誰で、今は何をしているのか、
皆さんも、大和と一緒に確認してみてください。
『うみのむこうは』 (五味 太郎/作・画 絵本館 1979)
海を眺めていると、「この海の向こうは、何があるだろう」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか?
この本では、少女が海を眺めながら、うみのむこうを想像します。
「うみのむこうは はたけかな」
「うみのむこうは ゆうえんち たのしいのりもの たくさんあるかな」
全ての頁が同じ視線で描かれる絵本に、いつしか引き込まれ、どんどん想像が膨らんでいきます。
この本をきっかけに、皆さんの「うみのむこう」には、どんな世界が広がっているでしょうか?
『みえた!うみべのいきもののひみつ』 (キャロン・ブラウン/作, アリッサ・ナスナー/絵, 小松原 宏子/訳 しながわ水族館/監修 くもん出版 2020)
海辺を歩いていると、様々な生きものが見つかることがありますね。
海の潮だまりで、夢中になって、生きものを観察したり捕まえたりした人もいるのではないでしょうか?
この本では、そんな海辺の生きものたちがたくさん出てきます。
しかも、一見何もないように見える頁も、後ろから光を照らすと、隠れている生きものが浮かび上がるしかけつきです!
岩かげや砂のなかに何が隠れているでしょうか。そんなドキドキ・ワクワクが、本で楽しめます。
次は山編をご紹介します。
『山はしっている』 (リビー・ウォルデン/作, リチャード・ジョーンズ/絵, 横山 和江/訳 鈴木出版 2020)
皆さん、山というとどんなイメージをお持ちでしょうか。
この本には、生きものが、山に見守られながら過ごす、一日が描かれています。
夜明けとともに始まる山の一日。
静かな文章と優しい色調の絵に、心が洗われます。
あらゆる生きものをそっと見守る山。
読み進めるうちに、自分も山に包み込まれ、癒される感覚に陥るかもしれません。
大人の方にもおすすめです。
『ぼくの仕事場は富士山です』 (近藤 光一/著 講談社 2011年)
一度は登ってみたい富士山。何度も登りたくなる富士山。
富士山に特別な思いを抱いている方も多いと思います。
この本では、富士山でガイドの仕事をしている著者が、富士山の魅力をたっぷり教えてくれます。
しかしこの人、三十歳になるまで、富士山に登ったことがなかったというから驚きです。
山登りに関してど素人の著者が、失敗を重ねながらも、登山者の富士山への思いと、富士山そのものからエネルギーを貰って、
今までにない富士山ツアーへの実現へと邁進していきます。
彼の夢に向かって一歩一歩進んでいく姿と、富士山の登山がリンクして、清々しい気持ちになります。
『生き抜け!』 (山口 理/作,十々夜/絵 文研出版 2022)
楽しい登山も、途中で遭難してしまっては、大変ですね。
主人公の小学生、田辺瞬は、お父さんと同級生の友達三人、そして山岳部の大学生・岳ちゃんとともに、宿泊登山に出かけます。
それは楽しい夏休みの思い出になるはずでした。
ところが、瞬は岳ちゃんの忠告も聞かずに、単独行動をしてしまいます。
「みんなの役に立ちたい」という気持ちからでしたが、結局友達二人を巻き込んで、遭難してしまうのでした。
手持ちの食糧や水が無くなりそうになったり、急な雨に見舞われたり、滑落したり、もうハラハラドキドキの連続で、読む手を離せなくなるほどの展開です。
皆さんも、極限状態での山と対峙する、小学生たちの奮闘に心からのエールを送ってしまうはずです。
最後に、山も海も出てくる一冊を見つけました。
『いま生きているという冒険』 (石川 直樹/著, 100%ORANGE/装画・挿画 理論社 2006)
世界七大陸の最高峰を登頂した、著者の冒険の日々をつづった本。
高校二年生の時にインドを旅行した著者は、命の危機に遭いながらも、「世界を経験すること」にハマっていきます。
しかし、彼が旅に出るようになったきっかけが、「読書」というので、嬉しくなってしまいました。
「さまざまなジャンルの本と出会うなかで、描かれている風景を自分でも見てみたいと強く思うようになった」そうです。
今で言う、本で出会った大自然の聖地巡りでしょうか?スケールが壮大すぎます。
彼の聖地巡りは、アラスカの川下りから始まり、北米やアフリカの最高峰の山々、世界最高峰チョモランマなど、次々に登頂します。
それだけではありません。
POLE TO POLEという、北極点から南極点まで人力で踏破をしたり、
ミクロネシアに伝わる星の航海術を学ぶために、現地の伝統航海術師に弟子入りして、星だけを頼りに極限の航海に出かけたり・・・。
こんな人がいるのか?!と驚きの連続です。
しかし、自分にはできないからこそ、著者が書き残す一つ一つの言葉は、胸にせまるものがあります。
世界を経験することの厳しさと素晴らしさから、彼の人生観をまるごと感じとることができます。
図書館には、他にもたくさんの海や山の本があります。
図書館の本で、夏気分をぜひ味わってみてください。
紹介資料
『Surf Boys』(南田 幹太/著 PHP研究所 2021)
『うみのむこうは』(五味 太郎/作・画 絵本館 1979)
(キャロン・ブラウン/作, アリッサ・ナスナー/絵, 小松原 宏子/訳 しながわ水族館/監修 くもん出版 2020)
『山はしっている』
(リビー・ウォルデン/作, リチャード・ジョーンズ/絵, 横山 和江/訳 鈴木出版 2020)
『ぼくの仕事場は富士山です』(近藤 光一/著 講談社 2011年)
『生き抜け!』(山口 理/作,十々夜/絵 文研出版 2022)
『いま生きているという冒険』(石川 直樹/著, 100%ORANGE/装画・挿画 理論社 2006)
「ブックとラック」をご覧の皆様、こんにちは。
日増しに強くなる日差しにぐったりとしながらも、青空に浮かぶ白い雲を「美味しそうだなぁ」と眺めている、かぶらです。
図書館には夏休みになると、宿題を抱えた人達をたくさん見かけます。
本を選び、読み、紙に書き込んでいる姿にこっそりエールを送っている私ではありますが、これは困った!と思う時があります。
それは、
「図書館の本をコピーしたが、どの本からコピーしたのかわからなくなっちゃった!」
という方が、カウンターにいらっしゃった時です。
※中央図書館では、当館が所蔵する資料を著作権の範囲内に限り複写サービスを承っています
図書館でコピーをとったはいいものの、後々、あれ…どの本からコピーしたんだっけ?
となる方が、毎年必ずといっていい程いらっしゃいます。
せっかく努力してまとめた作品が、参考にした本がわからないから、と不完全なものになってしまうのは困りますよね。
持ってきていただいたコピーを見て、この内容でこのフォント…もしかしたら!というスタッフのひらめきにより、本を特定出来る事もあります。
けれど、残念ながら特定に至らない事ももちろんあります…。
そんな悲劇を生まない為にも、調べものに使った本の
・タイトル
・著者名
・出版社
・出版年
は、必ずメモをとっておきましょう!
これらの情報は、本の巻末にある奥付(おくづけ)で確認出来ます。
『みんなでつなぐRING』奥付
本によっては、奥付がない、もしくはわかりにくい物もあります。
その場合は、図書館スタッフへお尋ねください。
でも、書くの面倒だなぁ...という方には、図書館内にある本の検索機“OPAC(オーパック)”をオススメします!
OPACで検索した本の情報は、レシート印刷をする事が可能です。
OPACで印刷したレシート
レシートには、書名、著者名、出版社、出版年全て載っていますので、これさえあれば大丈夫!
OPACの使い方については、過去のブログでご紹介しています。
●「年末年始のお休みに詠みたい本を探すには?」
●「図書館で本を探すには!(基礎編)」
メモをとるのも面倒だし、OPACを使うのも面倒だなぁ…という方は、図書館のスタッフにご相談ください。
貸出カウンターでも本のレシートをお渡しする事が出来ます。
でも、せっかくなら自分の手で全部調べてみる事をオススメします。
今年の夏休みは、「本の情報がわからない!」という悲劇が生まれないよう、調べた本の情報は必ず控えて、万全な体制で宿題を完成させましょう!
▼参考資料
『みんなでつなぐRING』
<かぶら>
こんにちは、「志るべ」です。
梅雨入りを迎える季節となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
早いもので、今年も半分が過ぎようとしています。
2月の、かぶらの記事「桑名ゆかりの有名人」お読みいただけましたか?
大河ドラマでも活躍する三人、本多忠勝、服部半蔵、千姫をご紹介しました。
ドラマは着々と進み、忠勝は常に家康の側に仕え、半蔵は御用とあらばどこからともなく風のように現れます。
忠勝は、鹿角の冑を身に着けて立派な槍「蜻蛉切(とんぼきり)」を持った、いかつい武将のイメージが強いですが、ドラマの中ではまっすぐで初々しい、若き姿が印象的です。
忍者として知られる半蔵は、自分は武士であって忍者とは呼ばれたくないというちょっと屈折した部分を持って描かれています 。
家康の孫娘、千姫は現時点では登場していません(まだ生まれていませんね)
今回は第二弾としてさらに、家康に関係する「桑名ゆかりの有名人」をご紹介します。
まず、桑名藩主、久松松平定勝とその家系。
家康の実母、於大の方は初め松平広忠に嫁ぎ、家康を生みます。
ところが実家の水野家(兄の水野信元)が今川家(嫁ぎ先である松平家の主君)から織田方についたため、離縁となりました。
その後、於大の方は久松俊勝に再嫁し、生まれた男子の一人が定勝でした。定勝は家康の異父弟であることから松平姓を許され、本多家が姫路へ移封となった後、桑名藩主となりました。
定勝の後はその子、定行が継ぎ、定行が伊予国松山藩(現在の愛媛県松山市)へ移封すると定行の弟、定綱が藩主として桑名に入ります。
この定綱の家系が桑名の久松松平家で、幕末に京都所司代を務めた桑名藩主、定敬(会津藩主松平容保の実弟)へとつながっていきます。
久松松平家は越後高田藩(現在の新潟県上越市)、陸奥国白河藩(現在の福島県白河市)と一旦桑名を離れます。白河藩時代には、寛政の改革に取り組んだ老中松平定信を藩主としています。
その後、文政6年(1823)の国替えで再び桑名へ戻り、この地で幕末を迎えました。
そのため久松松平家の史料は桑名に残されています。
桑名の人々から「鎭國さん」として親しまれている鎭國守國神社には、鎭國公(定綱)と守國公(定信)が祀られています。
また、鎭國守國神社の楽翁公百年祭記念寶物館には数々の久松松平家に関する史料が収められています。中には、国の重要文化財「集古十種板木」(松平定信の命により、全国の神社仏閣や諸家に伝わる名品を模写蒐集し編集したもの)もあります。
収蔵品は、
『桑名松平伝来資料史料調査報告書 鎮國守國神社所蔵資料目録』(桑名市教育委員会 2004.3)
にまとめられています。
また、桑名市立中央図書館では久松松平家の家譜を所蔵しています。
デジタル化した家譜はこちらをご覧ください。
『御家譜 全』
次は、桑名藩主、奥平松平忠雅とその家系。
すでにドラマに登場している、家康の長女亀姫(母は正室瀬名、築山殿)は奥平信昌に嫁ぎ、忠明を生みます。家康の娘と結婚したことから、奥平家も松平姓を許されました。
久松松平家(定綱の家系)が高田へ移封になると、忠雅(忠明の子である忠弘の孫)が藩主として桑名へ入りました。
文政6年(1823)に久松松平家が桑名へ戻ると、奥平松平家は武蔵国忍藩(現在の埼玉県行田市)へ移り、忍で幕末を迎えました。
そのため奥平松平家の史料は行田市に残されています。
『松平家四百年の歩み 長篠城より忍城へ』
奥平松平家の歴史をじっくりと辿ることができます。
『松平家四百年の歩み 長篠城より忍城へ』(大沢 俊吉/著 講談社・音羽サービスセンター(製作) 1970)
それにしても久松家や奥平家だけでなく、家康を中心に親戚関係でつながる家と人、複雑すぎます。
それぞれの家や人にさまざまな思いや野望があって・・・
家康はこれら膨大な親戚関係をすべて把握していたのでしょうか。
本やドラマに登場する人物は、描かれ方によってずいぶん印象が異なります。
本当はどんな人たちだったのでしょう?
元々、人はいろんな側面を持ち合わせているということでしょうか。
いずれにしても今とは異なる時代を生きた人たち、現代の尺度で測るのは難しいかもしれませんね。
図書館の資料を通して家康の時代、当時の桑名、そしてそこに生きた人々に思いを馳せてみませんか?
<紹介資料>
『桑名松平伝来資料史料調査報告書 鎮國守國神社所蔵資料目録』 桑名市教育委員会 2004.3 AL/025/ク/
『御家譜』 L/AKI/ROM/0300
『松平家四百年の歩み 長篠城より忍城へ』大沢 俊吉/著 講談社・音羽サービスセンター(製作) 1970 L/205/オ/江戸
<志るべ>
2021年6月18日より始まりました、#kclスタッフおすすめ本。
2021年6月~2022年5月までに30冊。
2022年6月~2023年5月までに30冊。
この2年間で、計60冊の図書館スタッフ厳選の本を紹介していまいりました。
当ブログが、これまで中々出会わなかった本に興味を持つキッカケとなっていたら幸いです。
ご紹介した本は、下の画像からご覧いただけます。(PDFファイルで開きます)
2021年おすすめ本は、こちらのブログからご覧いただけます。
▼2022年5月20日公開
「#kclスタッフおすすめ本 『司書が書く図書館員のおすすめ本』」
さて、今回ご紹介する本は小説家・三浦しをん氏による書評集です。
『本屋さんで待ちあわせ』
(三浦 しをん/著 大和書房 2012年刊)
『まほろ駅前多田便利軒』(直木賞・2006年)、『舟を編む』(本屋大賞・2012年)など多数の作品で知られる三浦氏。
今回の書評を読むまで三浦氏がどんな方か存じ上げなかった為、本を開いてすぐの「はじめに」を読んだ瞬間、肩の力が抜けました。
直木賞作家の書評、と身構える必要なし。
例えるなら、読書好きの友人が様々なジャンルの本を大いに私感を織り交ぜながら話してくれているような書評です。
三浦氏自身も、《ちゃんとした評論ではもちろんなく、「好きだー!」「おもしろいっ」という咆哮になっちゃってる》と書かれている通り、本当に気軽に読めます。
食事をしながら読書をする著者が紹介する本は、東海道四谷怪談から太宰治、はたまたBL作品までと多岐に渡ります。
全く異なるジャンルのように感じる本が、著者の手にかかれば「おもしろいっ」本として同じ棚に並ぶ。
ページをめくる度に、次はこれ?え、この本の次にこれ!?と驚きながらも、うわぁこれは確かに面白そうだ…と感心しつつ、せっせとメモをとる。
気になって仕方なくなったら、ページをめくる手を止めて気になるタイトルを図書館へ探しに行く、または「青空文庫」で公開されている作品であれば、勢いのまま読みに行く事もありました。
今回「読書が苦手な人へ」と本書を選んだ理由は、実はそこにあります。
途中で手を止めても良いと思える気軽さ。
そして、とても簡潔で小気味いい書評。
どれくらい完結かといえば、たった1ページで終わる事も多々あります。
どんな本を読もうか悩む人も。
あんまり読書好きじゃないけれど、読まなくちゃ…という人も。
著者の愛に溢れた書評集を読んでみるのはいかがでしょうか。
▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『本屋さんで待ちあわせ』
▼出版社
大和書房
▼書影画像元
版元ドットコム