「第20回桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」表彰式

2024年12月1日(日)|投稿者:kclスタッフ

2024年11月29日(月)に、第20回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクールの表彰式が行われました。
今年は142作品のご応募いただきました。

 

 

 

そのうち、
☆最優秀賞 1作品
☆優秀賞  3作品(うち、地域賞1作品、子どもと大人の部1作品)
☆奨励賞  16作品
が入賞し、21名の方々が表彰されました。

 

今年度の受賞作品の一覧はこちらからご覧いただけます。

➡ 第20回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクール入賞作品発表(PDF)

 

みなさんの疑問・興味を持ったことを一生懸命調べる姿がとても素敵でした。
これからも調査のお手伝いが出来るよう、図書館スタッフ一同サポートしてまいります。
最優秀賞・優秀賞に選ばれた作品は全国コンクールへ出品されます。
入賞作品の閲覧をご希望の方は、児童コーナー窓口へおたずねください。

年末年始の休館と貸出延長のお知らせ

2024年11月28日(木)|投稿者:kclスタッフ

「ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。
桑名市立中央図書館の年末年始休館と、貸出期間延長のご案内です。
中央図書館では以下の期間が休館となります。

 

【休館期間】
 1228()13()

※休館期間中の返却はくわなメディアライヴ1階の返却ポストをご利用ください。
ただし、CDDVD、大型絵本・大型紙芝居、ゆめはま文庫、桑名市外から取り寄せた図書は破損のおそれがありますので、開館日にカウンターへお持ちください。

 

 

また、休館に伴い貸出期間の延長を行います。

【図書・雑誌の貸出期間延長】
 1214()1227()の貸出 …3週間

※桑名市外から取り寄せた図書は、貸出期間が異なります

 

CDDVDの貸出期間延長】
 1221(土)1227()の貸出 …2週間

 

通常よりも一週間長くお借りいただけるとあって、毎年たくさんの資料が貸出されます。
この機会に、なかなか手を出せずにいた本にチャレンジしてみるのはいかがでしょうか?

 

館内にはテーマに沿った資料を集めた特集コーナーがございます。
何を読もうか迷った時は、ぜひ特集コーナーもご覧ください。

 

今年も図書館をご利用いただき、ありがとうございました。
2025年も桑名市立中央図書館をご利用・ご活用いただきますようよろしくお願い申し上げます。
よいお年をお迎えください。

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児童図書館員のパイオニア小河内芳子さん

2024年11月3日(日)|投稿者:kclスタッフ

こんにちは、志るべです。
秋も深まってまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
早いもので今年も残すところ、ひと月余りとなりました。

 

 

8月のブログ「寅子と三淵さんと澤田さん」では、法曹界のパイオニア三淵嘉子さん、そして政界のパイオニア澤田ひささん(桑名出身)をご紹介しました。
今回はもうひとり、桑名ゆかりのパイオニアをご紹介したいと思います。

 

その人は、小河内芳子(こごうち よしこ)さん。
「児童図書館員のパイオニア」と評される方です。
小河内さんは明治41年(1908)3月16日、桑名町に誕生しました。
三淵さんの生まれる6年前になります。

 

ご自身について語られた一冊がこちら、

 

『公共図書館とともにくらして』(小河内 芳子/著 いづみ書房 1980)
以前ご紹介した「国立国会図書館デジタルコレクション」の送信サービスでご覧いただくことができます)

 

なぜ図書館員になろうと思ったのか。どのようにして児童サービスに携わり、パイオニアと評されるようになったのか。

 

小河内家は桑名潘の重役で、幕末には内堀に屋敷がありました。
(「桑高百周年シリーズ15 小河内芳子(こごうちよしこ)さん(みえきた市民活動センター)」西羽 晃/著 http://www.mie-kita.gr.jp/kuwako_rekisi/15.html より)
桑名町の小学校、女学校を卒業した小河内さんは、大正14年(1925)、上京して目白の日本女子大学国文科に入学します。
女性に選挙権が認められていなかった時代、故郷を離れ単身上京し、大学に入ろうという女性は多くなかったのではないでしょうか。

 

その後、大学を「意に反して中途退学させられ」いったん桑名に帰ると、経済的に自立する方法を模索します。そして、図書館員になる道をみつけます。

 

小河内さんの父親は、桑名町の助役をつとめられた方ですが、父親について、「読書好きで、当時としては自由主義的思想を持っていたらしく思われます」と書いています。

 

そして、こうつづけています。

 

女子大にいきたいといったときも、意に反して中途退学させられたときも、図書館講習所にいきたいといったときも、そして勝手に就職口をきめてきたときも、文句ひとついわず許してくれた父でした。この父から私が受けついだ大きな遺産は「人を差別しない」ということでした。それを言葉でなく態度で示してくれたことでした。

 

さらに、

 

差別の意識、それは日々それを生みだし、それのあることを利益とする社会構造がなくならないかぎり、消滅し去ることはないでしょう。(中略)人びとは理屈ではわかっているのに感覚的にそれを拒否する一面をもっています。その理由の一つは差別の意識は親から子どもに暗黙のうちに伝えられ、心の奥深く植えつけられるものだからでしょう。その点で私は差別をしない意識を植えつけられたことを感謝しているのです。

 

とあります。
父親から受けとった大切なものが、小河内さんの考え方、生き方の核となっていることがわかります。

 

まず、図書館員の資格を得るため、文部省図書館講習所に入ります。図書館について学ぶ中で、公共図書館に児童サービスがあることを知り、興味を持ち始めます。講習所に入った時は補欠での合格でしたが、卒業時の成績は首席で、答辞を読みました。
一年間の学びの後、昭和5年(1930)4月、東京市立京橋図書館で図書館員としての第一歩を踏み出します。それは、この先長年にわたる児童サービス活動のスタートでもありました。

 

ちなみに今、図書館で本を読むのにお金を払うなんて考えもしません。それは、図書館法十七条「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」という「図書館無料の原則」があるからです。
図書館法が公布されたのは昭和25年(1950)4月30日。
戦前、小河内さんが図書館員となった昭和5年(1930)当時は「閲覧料」をとっており、市立図書館館則によると、「普通閲覧券一回・金二銭」であった、と書かれています。
ただし、そんな時代であっても、児童はすべて無料でした。

 

児童サービスに熱意を持った館長のもと、小河内さんは児童室を手伝い始めます。けれど、しだいに戦争に向かっていく世の中の流れに図書館も歩調を合わせざるをえなくなっていきます。
文章からは、小河内さん個人の経歴だけでなく、当時の図書館、そして社会が見えてきます。

 

戦後は、現場で児童サービスを実践しつつ、対外的にも児童サービスの普及活動に力を尽くしました。
昭和28年(1953)、児童図書館研究会を設立して初代会長となり、以降、昭和57年(1982)まで約30年活動をつづけました。

 

 

『児童図書館と私  上』(小河内 芳子/著 日外アソシエーツ 1981)
『児童図書館と私  下』(小河内 芳子/著 日外アソシエーツ 1981)

 

こちらは、小河内さん自身の著作の一部と、小河内さんとかかわりのあった方による文章をまとめたものです。
中には、子どもたちにとって(大人にとっても)公共図書館が今よりも生活に密着した存在であったことが感じられるエピソードも紹介されています。当時の社会状況の中、単に読書をすすめるだけでなく、深く子どもたちにかかわっていたことがわかります。

 

次の論文では、小河内さんの経歴、活動、そして小河内さんが児童サービスに与えた影響について検証、考察されています。

 

小河内芳子:児童サービスのパイオニア」(汐崎順子著 「Library and information science」 / 三田図書館・情報学会 編 (60), 29-60, 2008)https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00003152-00000060-0029.pdf?file_id=32188

 

 

最後に、小河内さんが翻訳された絵本を一冊ご紹介します。

 

『おかあさんどーこ』(ローナ・バリアン/さく こごうち よしこ/やく アスラン書房 1994)

 

きょうは特別な日。のねずみのヘーゼルはすみれの花束を持っておかあさんのうちに行きました。でもおかあさんはいません。おかあさんはおばあさんのうちに行ったのです。でも、おばあさんはいません。ひいおばあさんのうちに行ったのです。でも、ひいおばあさんはいません。ひいひいおばあさんのうちに行ったのです。そしてひいひいおばあさんは・・・

 

原題は『MOTHER’S MOTHER’S DAY』
特別な日は「母の日」でした。
そして、小河内さんのつけたタイトルは「おかあさんどーこ」
おかあさんをたずね歩くのねずみたちの愛らしいこと。

 

あわただしい年の瀬を迎える前のひととき、桑名の先人を想って、読書の時間を楽しみませんか。

 

 

<引用・参考資料>
『公共図書館とともにくらして』(小河内 芳子/著 いづみ書房 1980)
『児童図書館と私  上』(小河内 芳子/著 日外アソシエーツ 1981)
『児童図書館と私  下』(小河内 芳子/著 日外アソシエーツ 1981)
『おかあさんどーこ』(ローナ・バリアン/さく こごうち よしこ/やく アスラン書房 1994)
『小河内芳子追悼文集』(児童図書館研究会/編集 児童図書館研究会 2012)
「小河内芳子:児童サービスのパイオニア」(汐崎順子著 「Library and information science 」/ 三田図書館・情報学会 編 (60), 29-60, 2008)
「桑高百周年シリーズ15小河内芳子(こごうちよしこ)さん(みえきた市民活動センター)」 (西羽 晃/著)

<志るべ>

 

開館20周年を迎えました!

2024年10月3日(木)|投稿者:kclスタッフ

10月1日に、桑名市立中央図書館は開館20周年を迎えました。
2004年10月1日、日本初のPFI手法で運営する図書館として開館して以来、本当に多くの方に当館を利用いただけています。
皆さまのおかげでこの日を迎えることができましたこと、心よりお礼申し上げます。

2024年4月~2025年3月までの間、中央図書館では開館20周年を記念したイベントの開催や特集展示などを行っています。
既にご参加いただいた方も、まだこれからの方も、今後の展開にぜひご期待ください。
イベントの開催情報は当ブログや公式X(旧Twitter)などでお知らせいたします。

 

そして、開館20周年を迎えたと同時に、当ホームページもリニューアルいたしました!
これまで以上に使いやすく、図書館の情報に触れやすくなったのではないでしょうか?

 

また、新しく「くわな電子図書館」がスタートしました!
図書館へご来館いただけない時でも、ご自宅のパソコンやスマートフォンからお気軽に本に触れることが出来る機能です。
詳しい利用方法についてはこちらをご覧ください。

 

 

さて、20年前の10月1日に開館した中央図書館ですが、当時の様子を覚えているよ!という方はいらっしゃるでしょうか?
利用券を作るのに並んだなぁ、誰それと一緒に来たなぁ、いや全く記憶にないなぁ等々。
私自身も、20年前に胸を躍らせてピカピカに輝く図書館に足を踏み入れたことを覚えています。

 

では、実際はどんな様子だったのでしょうか?
実は当時の様子をご覧いただくことが出来る資料があります。

 

『進化した図書館のカタチ』(DVD)

 

こちらは、開館当時の図書館の様子とインタビューをおさめた、約10分間の映像です。
図書館が入っている建物「くわなメディアライヴ」建設の様子から、新しい図書館への思いを語る関係者の言葉など、興味深い映像ばかりで10分があっという間に過ぎてしまいます。

 

特に、現在も現役で稼働している自動閉架式書庫“オートライブ”内部の映像は圧巻です。
実は、書庫の内部には図書館スタッフでさえも立ち入る事が出来ません。
1階通路のガラスの壁越しに一部を垣間見る事は出来ますが、どのような動きで、構造はどんな風になっているのか、というのはわからないままでした。
しかし、こちらの映像にはコンテナの動きや内部構造が記録されています。
見た瞬間、思わず「おぉ!」と声がもれてしまう、とても貴重で面白い映像です。

 

こちらのDVDの貸出は残念ながら出来ませんが、館内で視聴いただく事は可能です。
リニューアルされた図書館で、ゆっくり20年前の映像を見てみませんか?

 

当ブログも開設15周年を迎えました。
図書館の使い方やイベント情報、おすすめ本や雑学など、たくさんの情報をお届けしておりますが、少しでも皆さまの心を楽しくできる場所であれば嬉しく思います。
これからも、桑名市立中央図書館と、当ブログ「ブックとラック」をよろしくお願いいたします!

 

 

<かぶら>

 

ゆっくり、じっくり、あじわう秋

2024年9月9日(月)|投稿者:kclスタッフ

こんにちは、しちりです。

9月だというのに、まだまだ暑い日が続きますね。

夏休みも終わり、仕事に学校に忙しい毎日が戻ってきたかと思います。

最近は「タイパ(タイムパーフォンス)」に代表されるように、すべての物事を効率よく短時間でできることが、求められがち。

もちろん大切なことではありますが、タイパを求めるあまり、ふと窮屈さを感じてしまうのは、私だけでしょうか?

そこで今回は、少し立ち止まってゆっくりとした時間の中で、じっくりと味わうことのできる本をご紹介します。

 

 

 

こちらは、日々起こる自然の営みを、ゆっくりと味わうことのできる本です。

鳥、虫、動物の営みや自然の風景50項目を、各項目見開き2ページで説明しているのですが、物語のように流れる文章と、細部まで書き込まれた美しい絵に、たちまち心がひきこまれます。

ひとつひとつの出来事がきちんと理解できるとともに、じんわりと感動を覚える不思議さ。

毎日懸命に生きている生き物と、それを包み込む自然の美しさを感じて、心がほっとしてリラックスすることができます。

児童書ですが、大人でも十分に楽しめます。むしろ大人が読むと、子どもの頃の心象風景と重なり、懐かしく感じるかもしれません。

 

 

 

続編は、物語のような文章と、美しいイラストはそのままに、恐竜の化石ができる様子やブラックホールのことなど、時間も空間もスケールアップし、好奇心を大いにそそられます。

砂漠や氷山など、行ったことのない場所の話が出てきたかと思えば、ミミズや暗闇で光るネコの目の話などの身近な話があったりと、自然のさまざまな場面を感じることができるところが魅力です。

読みながら、「そうだったのか!」という気付きや、さらに詳しく調べてみたくなる内容も多く含まれています。

どちらの本も、2ページ完結なので、読みたいところだけを読んで楽しむこともできますが、あまりの魅力にページをめくる手が止まらないかもしれません。

 

 

 

旧暦を使用していた時代に日本人は、自然を敏感に感じ取り、季節ごとに名前をつけ、いにしえの知恵に学びながら、生活をしていました。

一年を二十四の季節にわけるのが二十四節気、それをさらに細かく分けたものを七十二侯と言うそうです。

この本では、リズミカルな詩の中に七十二候の季節の言葉を取り入れ、自然の移り変わりを楽しく分かりやすく表現しています。

ぜひ音読も楽しんでみて欲しい一冊です。

ひとつひとつは、ややわかりにくい言い回しもありますが、音読してみると、七十二候が詩のリズムの中に生き生きと表現されており、めぐる季節の美しさをすんなり味わうことができます。こんな季節の楽しみ方があったのかと思うほどです。

それにしても一年を七十二もの季節に分けると、一つあたりの季節は五日間ほど。昔の人が、たった五日でも季節の移ろいを感じていた、そのきめ細やかさを素晴らしいと感じずにはいられません。

 

 

 

旧暦に関連した本をもう一冊。

こちらの本では、明治の初めまで日本で使われていた旧暦の生活の知恵を、「福を招く」「恵みをいただく」「良縁を願う」など、七つのテーマにわけて紹介しながら、忙しく暮らしている今の私たちに、心のやすらぎ、体のいたわり方、幸せになるヒントを教えてくれています。

中には、春財布、土用の丑、七五三、冬至のゆず湯等など、今の日本人になじみのある習慣も多いのですが、改めて読んでみると、昔の人の、季節を感じながらしなやかに生き延びるための知恵がたくさん詰まっていて、自然とともに生きることの大切さを実感します。

その時々に気になったテーマを読んでも良いですし、最初から最後まで読み通すと、旧暦生活で培われた昔の人の英知に感嘆します。

そして最後の「おわりに」を読んでみてください。きっとその内容に、癒やしと納得を感じることができます。

忙しい毎日に疲れた時、是非読んでいただきたい本です。

 

 

 

最後にご紹介するのは、森林の植物のつながりについての大発見を記した本です。

お恥ずかしながら世界的ベストセラーということを知らなかった私ですが、それだけに衝撃の内容に圧倒されました。

森林の木々が、土中にある何層もの菌根ネットワークの複雑な働きによってつながり、支えあっていること。そして菌根ネットワークを使い、樹齢数百年にわたる大木(マザーツリー)が、驚きの役割をはたしていること。これらを著者は、30年以上にもわたる研究で発見したのでした。

研究の日々は、苦労の連続。途方もない時間と労力のかかる内容に驚くとともに、それでも森を守るために研究に没頭する姿に何度も心打たれました。

また、研究の内容だけでなく、家族との絆や辛い別れ、研究を批判する政府との軋轢、子育てと仕事の両立に悩む姿、新しい愛の形など、研究を取り巻く日常で起きる出来事が、ひとりの女性の視点でつぶさにつづられており、さまざまな立場の方に共感してもらえると感じました。

自然の壮大な支えあうシステムと、それを証明しようとする女性のひたむきさに、深く読めば読むほど、感動が増す本です。

 

皆さんも、毎日忙しく過ごしている中で、一呼吸おいて本を開いてみませんか?

夜が長くなってくる秋、本とともにゆったりとした時間を過ごしていただければ幸いです。

 

<参考資料>

『スロウダウン [1]』レイチェル・ウィリアムズ /文,フレイヤ・ハータス /絵,荻野 哲矢/ 訳  化学同人 2021.9

『スロウダウン 2』カール・ウィルキンソン/文,グレース・ヘルマー/絵, 荻野 哲矢/訳 化学同人 2021.9

『えほん七十二候』白井 明大/作,くぼ あやこ/絵 講談社 2016.3

『福を招く旧暦生活のすすめ』白井 明大/著 サンマーク出版 2017.12

『マザーツリー』スザンヌ・シマード/著,三木 直子/訳 ダイヤモンド社 2023.1

<しちり>

 

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