妖刀村正と呼ばれる理由
2025年4月8日(火)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、なばなです。
史上二度目の大阪万博の開催が目前に迫ってきました。
今回の万博では関西パビリオンの三重県ブースで、なんと、桑名宗社に奉納されている村正の太刀が展示されるそうです。
桑名宗社の村正が選出されるとは…
驚きですが、桑名市民にとっては喜ばしいことですね。
村正を鍛刀した千子村正は、桑名で活躍した刀匠でした。 そして、千子村正の刀派は千子派と呼ばれ、代々村正の名を継ぎ、優れた刀をいくつも作りました。
今回展示されるのは、二代目村正が制作した二振りの太刀です。
それぞれに「勢州桑名郡益田庄藤原朝臣村正作/天文十二天癸卯五月日」と銘があり、一方の鎬地(しのぎじ)には「春日大明神」、もう一方には「三崎大明神」と刻まれています。
この二振りは第二次世界大戦の時、当時の宮司により刀身を保護するために漆が塗られました。
長年そのままでしたが、令和元年(2019)に「春日大明神」の一振りが研磨され、本来の美しい刀身を取り戻しました。
今回、この「春日大明神」の太刀が展示され、もう一振りの「三崎大明神」の太刀も研磨・修復後に展示される予定です。
全国的に「名刀村正」として知られている村正ですが、もう一つ別の呼称があります。
それは「妖刀村正」です。
なぜ、 村正の刀が「妖刀」と呼ばれるようになったのか。
それは、村正が、徳川家康の祖父、父、妻といった一族の死因、負傷の原因となり、さらには家康自身が、村正によって負傷したという逸話があるからです。
これにより村正は、将軍徳川家に禍をもたらす「妖刀」とされました。
けれども客観的に見て、この話は正しいといえるのでしょうか?

『村正 伊勢桑名の刀工 刃文にやどる「妖刀」の虚と実』(桑名市博物館/編集 桑名市博物館 2016.9)
こちらは桑名市博物館の特別企画展の図録です。
逸話の元になった事件は、『徳川実紀』(歴代将軍の事歴を叙述した史書)に記録があるものの、使われた刀については不明瞭な点もあり、すべての刀が村正だったかは断言できない、とあります。
『三重県刀工・金工銘鑑』には、徳川家の本拠地である岡崎は桑名に比較的近く、よく切れると評判の村正の刀は、広く岡崎の武士の手に渡っていたため、村正による事件も多かったのではないか、と述べられています。
岡崎の武士を率いる立場の徳川家は、特に村正で怪我をしやすい環境にあったと考えられますね。
その結果、家康は村正に対して、次々に一族を傷つける不吉さを感じたのかもしれません。
つまり、岡崎の武士に人気があったばかりに、徳川一族に禍をもたらす刀と言われるようになったわけで...
村正、とばっちりでは…? と言いたくなりますね。
さらに『村正 伊勢桑名の刀工 刃文にやどる「妖刀」の虚と実』には、『徳川実紀』の記録を見ると村正の刀を忌むことが、幕府内の慣習として定着していたとみて間違いない、と記されています。
いずれにせよ、幕府に村正の刀を不吉とする見方は浸透していったようです。
また、時が経つにつれ、村正の逸話は変化していきました。
徳川家にとって不吉な刀から、徳川家に限らず怪我をさせる刀へと変わっていったのです。
江戸の世間話を書き溜めた随筆集「耳嚢(みみぶくろ)」(南町奉行・根岸 鎮衛[ねぎし・しずもり]/著)には、当時の村正の逸話があり、その変化が確認できます。(『日本庶民生活史料集成 第16巻 奇談・紀聞』収録)
その上、追い打ちをかけるように、戯曲や芝居などの創作物で、村正が凶器として取り上げられました。
村正、とばっちり、再び…
村正の刀による悲劇を演じた「大願成就殿下茶屋聚(たいがんじょうじゅてんがちゃやむら)」や「八幡祭小望月賑(はちまんまつりよみやのにぎわい)」などの歌舞伎が続々と登場しました。
歌舞伎は当時は大人気でしたので、妖刀村正が世間に広まるのも早かったのでしょう。
手にするのもためらわれる村正ですが、むしろ「徳川家に忌避された刀」であることが好まれ、幕末には討幕派の武士が村正を求めるということもあったようです。

『特別企画展 村正Ⅱ 村正と五箇伝』(桑名市博物館/編集 桑名市博物館 2018.10)
こちらには、官軍の中心人物の有栖川宮熾仁親王(ありすがわのみや・たるひとしんのう)、三条実美や西郷隆盛などが村正を所持していたとあります。
村正にすれば「そんな験担ぎされても…」という思いかもしれませんが。
こうして現在に至るまで妖刀の逸話が広まってしまった村正ですが、刀自体はどの時代においても高く評価されました。
徳川幕府に仕えながらも、その実用性と美しさに魅了されて密かに所持していた武士も少なくありませんでした。
忌避されていたはずなのに、徳川家所蔵の刀の中にも村正は残っています。
「名刀」故に「妖刀」と呼ばれるようになり、「妖刀」と呼ばれてもなお求められた村正の刀。
だからこそ、その魅力は「妖刀」と呼ばれるのにふさわしい気もします。
大阪万博に行かれる際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
<参考資料>
『三重県刀工・金工銘鑑』(田畑 徳鴦/著 三重県郷土資料刊行会 1989)
『村正 伊勢桑名の刀工 刃文にやどる「妖刀」の虚と実』(桑名市博物館/編集 桑名市博物館 2016.9)
『特別企画展 村正Ⅱ 村正と五箇伝』(桑名市博物館/編集 桑名市博物館 2018.10)
『桑名の伝説・昔話』(近藤 杢/編,平岡 潤/編 桑名市教育委員会 1965)
『日本名刀物語』(佐藤 寒山/著 白凰社 1962.6)
『日本刀名工伝』(福永 酔剣/著 雄山閣 2022.2)
『日本刀工刀銘大鑑』(飯田 一雄/著 淡交社 2016.3)
『日本刀の教科書』(渡邉 妙子/共著,住 麻紀/共著 東京堂出版 2014.10)
『刀剣画報 村正・蜻蛉切と伊勢桑名の刀』(ホビージャパン 2023.12)
『日本庶民生活史料集成 第16巻 奇談・紀聞』(谷川 健一/編集委員代表 三一書房 1970.10)
<なばな>
春の見つけかた
2025年3月3日(月)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、志るべです。
日差しに春のぬくもりが感じられるようになってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
春風に誘われて「今日は薄手のコートで行こう!」と外に出て、「やっぱりまだ早かった・・・」ってことありませんか?
春の見極めはむずかしい。
この季節、口ずさみたくなる歌に「早春譜」があります。
♫春は名のみの 風の寒さや 谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず 時にあらずと 声も立てず♫(『学園愛唱歌選集 ピアノ伴奏編』より)
三月に入るとウグイスは忘れずに鳴き始めます。
春の訪れをじっと待って、「今」という時に鳴く。
人間はついその日の気温に惑わされ、薄着をして風邪をひいたりしますが、鳥たちはもう少し冷静に「時」を判断しているようです。
ではいったいどうやってその時を知るのでしょう?
動物行動学者の日高先生にきいてみましょう。
日高さんは小さい頃から虫が大好きな昆虫少年でした。その後もさまざまな生き物の研究をつづけ、動物行動学者になりました。
動物の行動を調べると、その動物がどのように環境に適応しているのか、どのような社会を作っているのか、ほかの種とどのような関係を持っているのかなど、たくさんわかることがあるそうです。
『春の数えかた』(日高 敏隆/著 新潮社 2001.12)
日高さんは滋賀県立大学の学長として彦根で多くの時を過ごされました。
こちらは、その時に書かれた文章をまとめた一冊です。
とてもわかりやすく書かれ、この作品で第50回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞されています。
さて、ウグイスです。
小鳥が、日長(ひなが)、つまり一日の内の昼の長さで季節を知ることは半世紀以上前に実験的に明らかにされているそうです。
けれど日長は気温とは関係がない。
日の長さではもう春でも、年によってはまだ寒い日が続くこともある。
日高先生によると、生き物たちは温度を積算しているというのです。
寒い日が三日続いたら、その後四日温かい日が続く。
三寒四温を経て次第に春になっていきます。
その揺れ動く毎日の気温に反応するのでなく、鳥や虫たちは気温を積算している、と。
それもただ足していくのではなく、ある一定温度より低い、極端に寒い日の気温は数えません。この一定の温度は発育限界温度と呼ばれているそうです。
そして、積算した気温の総量が一定値を越えると、虫たちは、ああ春になったなと感じ、卵から孵ったり、サナギが幼虫になったりするというのです。
くわしくは、本文をご覧くださいね。
ところで、わたしたちに春を感じさせてくれる「ホーホケキョ」の声。
ヒナは自然にさえずることができるようになるのでしょうか?
それとも学習の賜物?
もう一度、日高先生に聞いてみましょう。

『生き物たちに魅せられて』(日高 敏隆/著 青土社 2014.10)
こちらでは、ウグイスだけでなくチョウにカエル、クジャク、トンボ、イヌ、ネコ、ゾウといろいろな動物たちの不思議でおもしろい行動について語られています。日高さんの生き物への興味、愛情が詰まった一冊です。
さて、ウグイスです。
ウグイスのオスが大人になったら「ホーホケキョ」と鳴くことは、決まっているのだそうです。遺伝的にプログラムされている、と。
けれど自然にさえずれるようになるかというとそうではなくて、やっぱり親のさえずりを聞いて学習しなければなりません。隔離して何も聞かせないでおくと、大人になっても「ホーホケキョ」とは鳴きません。
それもカラスの声には無関心で、ウグイスの声を聞かせると熱心に学習するというのです。
おもしろいですね。
みなさんは、春の訪れを何に感じますか?
ここ桑名で春を知らせるといえば、白魚。
あの芭蕉さん(松尾芭蕉)も旅の途中で桑名を訪れ、白魚の句を詠んでいます。
貴重な白魚、どうやっていただきましょうか。
ふっくらと卵でとじた白魚丼には、はまぐりのお吸い物を添えて・・・
かき揚げもいいですね。
やっぱり、溜まり醤油と砂糖で炊き上げた紅梅煮でしょうか。
『三重の味 千彩万彩』によると、白魚は過熱すると白くなるけれど、溜まり醤油で煮るとほんのり赤みを帯びて、紅梅を思わせる色合いとなるところから紅梅煮と名付けられたとか。
ちょっとお高いですが、春を味わいたい一品です。
気温を積算する能力は備わっていませんが、人間も動物です。
自分の五感を信じて、春を見つけに出かけましょう。
ただし、風邪をひかないよう、くれぐれも着るものにはお気をつけくださいね。
<参考資料>
『学園愛唱歌選集 ピアノ伴奏編』(松山 祐士/編 ドレミ楽譜出版社 1994.12)
『春のかぞえ方』(日高 敏隆/著 新潮社 2001.12)
『生き物たちに魅せられて』(日高 敏隆/著 青土社 2014.10)
『三重の味 千彩万彩』(みえ食文化研究会/編集 みえ食文化研究会 2006.6)
<志るべ>
浮世絵ってなんだ?
2025年2月1日(土)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、かぶらです。
暦の上ではもうすぐ春。しかし、まだまだ寒い日が続きますね。
あんまり寒いと家に籠りがちになってしまいますが、少しでも暖かな日にはお散歩がてら図書館へお越しになりませんか?
中央図書館では、3月25日(火)まで4階「歴史の蔵」前にて郷土特集「浮世絵に見る桑名」を開催中です。
あの有名絵師が描いた桑名や、桑名をテーマとした浮世絵によく見られる“ある物”についてなどをパネルでご紹介しています。
江戸の人々が見た色鮮やかな「描かれた桑名」を、ぜひご覧ください。
ところで、浮世絵と聞くと、どんな絵を思い浮かべますか?
日本髪を結った美人画、ド迫力の役者絵、風景を鮮やかに切り取った名所絵…
思い浮かぶものは数あれど、ではその浮世絵とは一体何なのか?どうやって描かれているの?
今回は、そんな知っているようで実は知らない浮世絵にまつわる資料をご紹介します。
まずは、浮世絵とは何か?どう描かれているのか?の疑問を一挙に解決してくれるこちら。
日本文化歴史研究家でもある著者が「いいなぁ」と思った浮世絵を厳選し、それをもとに浮世絵の世界を紹介してくれる入門書です。
ただ作品そのものだけではなく、浮世絵の制作工程や、絵師に比べると見落とされがちな彫師・刷師による超絶技巧なども紹介されています。
浮世絵が生まれた江戸時代から明治時代初期の新聞錦絵まで、豊富な浮世絵をオールカラーで楽しめる一冊です。
そういえば、どこかで桑名の風景を描いた浮世絵を見たことがあるような、ないような…?
でも誰の作品だったのかわからない!という方におすすめなのが、こちら。
2013年に桑名市博物館で開催された「特別企画展 北斎・広重・国芳 浮世絵に見る東海道五十三次・桑名」の公式図録です。
桑名市博物館所蔵作品のほか、全国各地からお借りした桑名を描いた浮世絵が収録され、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳等が描いた色鮮やかな桑名を一挙にご覧いただけます。
作品解説や論考もあり、読み応えたっぷりです。
日本各地の博物館や美術館に大切に収蔵されている浮世絵は、世界中の博物館や美術館でも見られます。
中でもイギリスの大英博物館では「北斎展」を開催するほどのコレクションがあり、現地の人々にとっても浮世絵は身近な存在となっているようです。
世界中の人々を魅了する浮世絵。
そんな浮世絵に魅せられた、ある一人の芸術家の人生を書いた作品があります。
売れない画家・ゴッホと、そんな兄を献身的に支える弟で画商のテオドルス。
代表作「ひまわり」や、本書の表紙にも使用された「星月夜」で知られ、日本人に広く愛されるゴッホですが、生前に売れた彼の作品はたった1点だけだったといいます。
そんな彼が抱えた孤独と闇、そこに刺した一筋の光“浮世絵”との出会いとその後を、フィクションとノンフィクションを織り交ぜて書かれた、読み始めたら手を止めることができない作品です。
本書に登場する日本人画商「林忠正」は、明治期に実在した人物です。
ゴッホはよく知っていても、彼の名はあまりなじみがない、という方も多いのではないでしょうか。
彼とゴッホが実際に友人関係にあったかはわかりませんが、当時の日本では屑同然に扱われた浮世絵を、世界に誇る日本の芸術として広めた手腕を知ることが出来る一冊がこちら。
林忠正は嘉永6年(1853)に越中国高岡(現在の富山県高岡市)に生まれ、大学南高(現在の東京大学)でフランス学を学びました。
明治33年(1900)にフランス・パリで開催されたパリ大博覧会では、日本の事務総長を務めています。
語学力と商才、そして美術作品に対する深い愛情を持ち合わせた彼がいたからこそ、貴重な浮世絵が失われることなく今も世界中で大切にされていることがよくわかる一冊です。
本書では北斎の代表作「神奈川沖波裏」に深く影響を与えた、といわれる「波の伊八」についても取り上げています。
「波の伊八」とは、彫工・武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)のことで、彼の彫刻作品「波に宝珠」は北斎の「神奈川沖波裏」の波によく似ています。
伊八の作品が北斎に影響を与えたように、北斎をはじめとした浮世絵師の作品もまた、後の芸術家に多くの影響を与えました。
明治に入ると、新政府は近代化を推し進めるため西洋の技術をどんどん取り入れました。
印刷技術もそのひとつで、300年もの間日本で広く用いられてきた木版印刷は衰退し、版元の数も次第に減ってしまいました。
それでも、月岡芳年や小林清親ら現役浮世絵師により、版画の技術は紡がれていきます。
当時、世界の愛好家に好まれたのは北斎や歌麿など江戸期の有名浮世絵師の作品でしたが、国内では伊東深水や吉田博、川瀬巴水など新しい作風の絵師が登場し、「新版画」が確立されました。
現在では新版画も江戸期の浮世絵師と同様に世界で愛され、Apple者の共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏も新版画の熱心なコレクターであったそうです。
オランダの美術商でキュレーターである本書の著者も日本の版画に魅了された一人で、各地で日本美術を紹介する展覧会を企画し、アムステルダムの私設美術館「日本の版画」の館長兼キュレーターを務めています。
そんな彼が厳選した美しい「新版画」を楽しめる一冊です。
今回ご紹介いたしました資料の他にも、当館には浮世絵に関する資料がたくさんございます。
図書館へ行くのは難しい…という方は、次のサイトからご覧いただけます。
お家で、もしくは旅先などで美しい日本の芸術に触れてみてください。
●国立国会デジタルコレクション
国立国会図書館所蔵の錦絵のうち、江戸期のものはほぼ全て画像公開されています。
対象欄の「錦絵」を選択し、階層欄の「巻号を除く」のチェックを外して検索してください。
●ジャパンサーチ
ジャパンサーチは、国が保有する様々な分野のコンテンツのメタデータを検索・閲覧・活用できるプラットフォームで、国立国会図書館がシステムを運用しています。
気になる浮世絵師の名前や作品を入力すると、様々な資料をご覧いただくことができます。
●デジタル浮世絵博物館
立命館大学アート・リサーチセンターが運用する浮世絵のデータベースです。
国内だけでなく、世界の美術館・博物館のデータベースからも浮世絵をご覧いただけます。
<参考資料>
『面白いほどよくわかる浮世絵入門』(深光 富士男/著 河出書房新社 2019)
『北斎・広重・国芳』([葛飾 北斎/ほか画],桑名市博物館/編集 桑名市博物館 2013)
『たゆたえども沈まず』(原田 マハ/著 幻冬舎 2017)
『海渡る北斎』(神山 典士/文,蟹江 杏/絵 冨山房インターナショナル 2023)
『新版画の世界』(クリス・ウーレンベック/著,ジム・ドウィンガー/著,フィーロ・オウウェレーン/著,古家 満葉/訳監修,鮫島 圭代/訳 パイインターナショナル 2023)
『海を越えた日本人名事典 新訂増補』(富田 仁/編集 日外アソシエーツ,紀伊國屋書店(発売) 2005)
<かぶら>
第28回「図書館を使った調べる学習コンクール」の受賞作品
2025年1月16日(木)|投稿者:kclスタッフ
第28回「図書館を使った調べる学習コンクール」(公益財団法人 図書館振興財団)の 受賞作品が発表されました。
全国から12万点を超える作品が応募され、桑名市からは「第20回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」で最優秀賞・優秀賞に選ばれた4作品が出品されました。
そして、気になる結果はこちら!
■優良賞(1作品)
・小学生の部(中学年)
「真夏のようかい大調査!!桑名・多度のようかい、ふしぎげんしょうをおえ!!」
米澤 慶さん(桑名市立多度中小学校 3年)
■奨励賞(2作品)
・小学生の部(中学年)
「わたしにもできることがある 小さな一歩 ~海や川の生き物を守るために~」
服部 永和さん(桑名市立長島北部小学校 3年)
・子どもと大人の部
「お金のはじまりと今」
山田 一輝さん(桑名市立伊曽島小学校 2年)・山田 理奈さん(母)
■佳作(1作品)
・小学生の部(高学年)
「いろのいろいろ」
平井 理菜さん(桑名市立大山田南小学校 5年)
受賞されたみなさん、おめでとうございます。
お子さん個人だけでなく、小学生以上のお子さんと一緒に大人の方でも応募できますので、みなさんが日常の中で興味・関心を持ったことをぜひ調べる学習コンクールの作品づくりに挑戦してみてください。
これからも、図書館は皆さんの調べる学習を応援・サポートいたします。
あけましておめでとうございます 2025
2025年1月5日(日)|投稿者:kclスタッフ
あけましておめでとうございます。しちりです。
今年も桑名市立中央図書館とスタッフブログ「ブックとラック」をよろしくお願いします。
桑名市立中央図書館は、1月4日から開館しております。
皆さま、お正月はいかがお過ごしでしょうか?
今年は巳年ですね。
巳(み)という字は、「長くて曲がり、尾をたらしたヘビの形」(『例解新漢和辞典』p335)を表す象形文字からきており、十二支の中で六番目の動物に蛇を割り当てて、蛇年=巳年としたのだそうです。
そこで今年は、干支の「ヘビ」が出てくる絵本や児童書をご紹介し、新年を感じてみたいと思います。
こちらは、「十二支むかしむかしシリーズ」のひとつです。
子どもに恵まれなかった老夫婦が、池のほとりでヘビのたまごを見つけるところからお話は始まります。
老夫婦はヘビの子を「おふじ」と名付けて、大切に育てていました。ところが、ぐんぐん育つおふじはいつしか村人から怖がられ、山に捨てられることになってしまいます。
大切に育てていたおふじと、泣きながらお別れをするおじいさんとおばあさん。おふじと老夫婦にはどんな展開が待ち受けているのでしょうか?
この後一体どうなるのだろう? ハッピーエンドであってほしい! とハラハラドキドキが存分に味わえる本です。
おふじがおもちを大好きなのも、お正月にぴったりですね。
こちらも昔話ですが、落語になっているので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。
芝居役者のたのきゅうは、おかあさんが病気という知らせをふるさとの村から受け、急いで村へ向かいます。
その道中、山の中で大きなヘビに遭遇します。大きなヘビは旅人を襲うという「うわばみ」でした。
たのきゅうは、なんとか生き延びようと、芝居で培った得意の早変わりで侍や娘の姿に変装し、うわばみを楽しませます。
自分を怖がらずに何にでも変装するたのきゅうに感心したうわばみは、たのきゅうに怖いものを尋ね、自身も自分の怖いものを打ち明けます。
こうして、たのきゅうは無事お母さんのいる村へ帰ることができたのですが…。
機転が利くたのきゅうの賢さが際立つ点と、軽快なリズムで展開される内容が、この昔話が長く読み継がれている要因ではないかと思います。
巳年のお正月にぜひ読んでおきたい一冊です。
『たのきゅう』では、おおきなヘビのことをうわばみと書いてありました。うわばみとはもともと、「古代語ヲロチに代わって十五世紀ごろから現れた語」(『暮らしのことば新語源辞典』p134)だそうです。
オロチと言えば、古事記に出てくる八岐(やまた)の大蛇(オロチ)を思い出します。
ある日イザナギの子、スサノオは、泣いている老夫婦に出会います。八岐の大蛇が老夫婦の娘を毎年ひとりずつ食べ、とうとう今年は最後の娘が食べられてしまうと、泣いていたのです。そこでスサノオはその娘を妻にするかわりに、八岐の大蛇を退治することを約束します。
古事記の本はいろいろありますが、こちらの古事記はとにかく読みやすいし面白い!
日本を代表する児童文学者の斉藤洋さんが楽しい語り口で書いています。
お子さんだけでなく、古典が少し苦手だなという大人の方が読んでも楽しめます。
スサノオが八岐の大蛇を退治する場面の迫力を、この本で味わってみてください。
こちらは、三重県出身の絵本作家、tsupera tsuperaさんの絵本です。
へびが何かを飲み込み、次のページで何を飲み込んだのかを答え合わせする、という形で話が進みます。「えええっ?こんなものまで?!」 とヘビが飲み込んだものにびっくりすること間違いなし!です。
作者の発想の豊かさに感服。
答え合わせのページの背景が真っ黒なので、背景とのコントラストで飲み込んだものがくっきり浮かびあがり、驚きが増します。
読んでいて飽きない仕掛けになっています。
どんなものを飲み込んだのか、是非読んで確かめていただきたいです。
ヘビがレストランを始める? いったいどうやって料理するの? と、設定からツッコミ満載の絵本です。もうこれは、面白いとぞいう匂いがプンプンしますね。
ヘビのレストランにやって来たぶたくん。
自分で作らないといけないけれど、ヘビのいう通りに作れば、「とびきりおいしい料理」が食べれると聞かされて、キッチンにやってきます。
材料を前に、歌を歌いながら踊ったり、変なおまじないを言わされたり、うまくできないと怒られて何度でもやり直しさせられます。
さすがのぶたくんも怒って帰ろうとするのですが…。
はたして「とびきりおいしい料理」は食べられるでしょうか?
そして、ヘビのレストランの評判はどうなるでしょうか?
絵本ならではの楽しい展開なので、読むと笑ってしまうかもしれません。初笑いにピッタリです。
ところで外国では、蛇は表面が傷ついても脱皮をすると元通りの姿にもどるため、再生と治癒のシンボルとしての意味があるようです。
世界保健機関(WHO)のマークには、ヘビが巻きついた杖の絵が描かれているのをご存じでしょうか?
これは、「アスクレピオスの杖」といい、ギリシャ神話に登場する医学の神アスクレピオスがこの杖を持っていたことから、WHOのシンボルマールに取り入れられました。
最後にアスクレピオスと再生のお話を紹介します。
こちらの本の、ヘビつかい座・ヘビ座のお話にアスクレピオスは登場します。
アスクレピオスは、ケンタウルス族の賢者ケイローンから医術を学び、多くの人を助けていました。治療にはヘビが使われていましたが、ある時アスクレピオスは、助けたい一心から死者を生き返らせてしまいます。
死者が生き返ると地上に人があふれて秩序が保てなくなるため、大神のゼウスはアスクレピオスを殺してしまいます。しかし、多くの人の命を救ったアスクレピオスの功績をたたえて、天にあげて星座にしました。
この本には、他にも四季折々の星座のお話が載っていますので、この機会にじっくり読んでみるのもおすすめです。冬の澄んだ夜空を見上げるのが楽しくなるかもしれません。
以上、ヘビの出てくる絵本や児童書をご紹介しました。
今年もたくさんの本を手にとっていただけるよう、さまざまな本の紹介をしていきたいと思っております。
本年もよろしくお願いいたします。
<紹介資料>
・『おもちのすきなヘビのおふじ』(谷 真介/文,赤坂 三好/絵 佼成出版社 2006.12)
・『たのきゅう』(小沢 正/文,太田 大八/画 東京 教育画劇 1996.4)
・『古事記 -日本のはじまりー』(斉藤 洋/文,高畠 純/絵 講談社 2018.7)
・『へび のみこんだ なに のみこんだ』(tupera tupera/さくえほんの杜 2011.12)
・『ヘビのレストラン』(深見 春夫/作 PHP研究所 2017.11)
・『星座と神話 大じてん』(永田 美絵/著 成美堂出版 2022.6)
<引用および参考資料>
・『干支の漢字学』(水上 静夫/著 大修館書店 1998.12)
・『例解新漢和辞典』(山田 俊雄/編著,戸川 芳郎/編著,影山 輝國/編著 第5版三省堂 2021.2)
・『暮らしのことば新語源辞典』(山口 佳紀/編 講談社 2008.11)
・『たのきゅう』(川端 誠/作 クレヨンハウス 2003.6)
・『読み出したら止まらない古事記』(島崎 晋/著,中村 隆/イラスト PHP研究所 2012.1)
・『調べてみよう!国際機関の仕事~SDGs時代へ 3』(吉村 祥子/監修 汐文社 2022.3)
・『星座と星座神話』(沼澤 茂美/著,脇屋 奈々代/著 誠文堂新光社 2006.3)
<しちり>