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ゆっくり、じっくり、あじわう秋
2024年9月9日(月)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、しちりです。
9月だというのに、まだまだ暑い日が続きますね。
夏休みも終わり、仕事に学校に忙しい毎日が戻ってきたかと思います。
最近は「タイパ(タイムパーフォンス)」に代表されるように、すべての物事を効率よく短時間でできることが、求められがち。
もちろん大切なことではありますが、タイパを求めるあまり、ふと窮屈さを感じてしまうのは、私だけでしょうか?
そこで今回は、少し立ち止まってゆっくりとした時間の中で、じっくりと味わうことのできる本をご紹介します。
こちらは、日々起こる自然の営みを、ゆっくりと味わうことのできる本です。
鳥、虫、動物の営みや自然の風景50項目を、各項目見開き2ページで説明しているのですが、物語のように流れる文章と、細部まで書き込まれた美しい絵に、たちまち心がひきこまれます。
ひとつひとつの出来事がきちんと理解できるとともに、じんわりと感動を覚える不思議さ。
毎日懸命に生きている生き物と、それを包み込む自然の美しさを感じて、心がほっとしてリラックスすることができます。
児童書ですが、大人でも十分に楽しめます。むしろ大人が読むと、子どもの頃の心象風景と重なり、懐かしく感じるかもしれません。
続編は、物語のような文章と、美しいイラストはそのままに、恐竜の化石ができる様子やブラックホールのことなど、時間も空間もスケールアップし、好奇心を大いにそそられます。
砂漠や氷山など、行ったことのない場所の話が出てきたかと思えば、ミミズや暗闇で光るネコの目の話などの身近な話があったりと、自然のさまざまな場面を感じることができるところが魅力です。
読みながら、「そうだったのか!」という気付きや、さらに詳しく調べてみたくなる内容も多く含まれています。
どちらの本も、2ページ完結なので、読みたいところだけを読んで楽しむこともできますが、あまりの魅力にページをめくる手が止まらないかもしれません。
旧暦を使用していた時代に日本人は、自然を敏感に感じ取り、季節ごとに名前をつけ、いにしえの知恵に学びながら、生活をしていました。
一年を二十四の季節にわけるのが二十四節気、それをさらに細かく分けたものを七十二侯と言うそうです。
この本では、リズミカルな詩の中に七十二候の季節の言葉を取り入れ、自然の移り変わりを楽しく分かりやすく表現しています。
ぜひ音読も楽しんでみて欲しい一冊です。
ひとつひとつは、ややわかりにくい言い回しもありますが、音読してみると、七十二候が詩のリズムの中に生き生きと表現されており、めぐる季節の美しさをすんなり味わうことができます。こんな季節の楽しみ方があったのかと思うほどです。
それにしても一年を七十二もの季節に分けると、一つあたりの季節は五日間ほど。昔の人が、たった五日でも季節の移ろいを感じていた、そのきめ細やかさを素晴らしいと感じずにはいられません。
旧暦に関連した本をもう一冊。
こちらの本では、明治の初めまで日本で使われていた旧暦の生活の知恵を、「福を招く」「恵みをいただく」「良縁を願う」など、七つのテーマにわけて紹介しながら、忙しく暮らしている今の私たちに、心のやすらぎ、体のいたわり方、幸せになるヒントを教えてくれています。
中には、春財布、土用の丑、七五三、冬至のゆず湯等など、今の日本人になじみのある習慣も多いのですが、改めて読んでみると、昔の人の、季節を感じながらしなやかに生き延びるための知恵がたくさん詰まっていて、自然とともに生きることの大切さを実感します。
その時々に気になったテーマを読んでも良いですし、最初から最後まで読み通すと、旧暦生活で培われた昔の人の英知に感嘆します。
そして最後の「おわりに」を読んでみてください。きっとその内容に、癒やしと納得を感じることができます。
忙しい毎日に疲れた時、是非読んでいただきたい本です。
最後にご紹介するのは、森林の植物のつながりについての大発見を記した本です。
お恥ずかしながら世界的ベストセラーということを知らなかった私ですが、それだけに衝撃の内容に圧倒されました。
森林の木々が、土中にある何層もの菌根ネットワークの複雑な働きによってつながり、支えあっていること。そして菌根ネットワークを使い、樹齢数百年にわたる大木(マザーツリー)が、驚きの役割をはたしていること。これらを著者は、30年以上にもわたる研究で発見したのでした。
研究の日々は、苦労の連続。途方もない時間と労力のかかる内容に驚くとともに、それでも森を守るために研究に没頭する姿に何度も心打たれました。
また、研究の内容だけでなく、家族との絆や辛い別れ、研究を批判する政府との軋轢、子育てと仕事の両立に悩む姿、新しい愛の形など、研究を取り巻く日常で起きる出来事が、ひとりの女性の視点でつぶさにつづられており、さまざまな立場の方に共感してもらえると感じました。
自然の壮大な支えあうシステムと、それを証明しようとする女性のひたむきさに、深く読めば読むほど、感動が増す本です。
皆さんも、毎日忙しく過ごしている中で、一呼吸おいて本を開いてみませんか?
夜が長くなってくる秋、本とともにゆったりとした時間を過ごしていただければ幸いです。
<参考資料>
『スロウダウン [1]』レイチェル・ウィリアムズ /文,フレイヤ・ハータス /絵,荻野 哲矢/ 訳 化学同人 2021.9
『スロウダウン 2』カール・ウィルキンソン/文,グレース・ヘルマー/絵, 荻野 哲矢/訳 化学同人 2021.9
『えほん七十二候』白井 明大/作,くぼ あやこ/絵 講談社 2016.3
『福を招く旧暦生活のすすめ』白井 明大/著 サンマーク出版 2017.12
『マザーツリー』スザンヌ・シマード/著,三木 直子/訳 ダイヤモンド社 2023.1
<しちり>
調べる学習相談窓口開設のお知らせ
2024年7月19日(金)|投稿者:kclスタッフ
桑名市立中央図書館では、「調べる学習相談窓口」を開設いたします!
「調べる学習の『テーマ』が決まらない・・・」
「どうやって調べたら良いか、アドバイスが欲しい!」
「まとめ方が分からない」など、作品づくりに悩んだら、相談窓口までおこしください!
図書館スタッフが、みなさんの調べる学習をサポートいたします!
日 時|2024年7月20日(土)~2024年8月31日(土)
13:30 ~ 17:00(最終受付は16:30)
※混雑時の相談時間は30分を目安とさせていただきます。
場 所|桑名市立中央図書館 3階 児童コーナー
対 象|「第20回桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」に応募される方
持ち物|筆記用具
申込方法|桑名市立中央図書館児童コーナーへ直接お越しください
※お電話での受付や、事前予約はおこなっておりませんのでご注意ください
駐車場|駐車場の数に限りがありますので来館の際には、公共交通機関のご利用をお勧めします。満車の場合は、柿安シティホール(市民会館)の立体駐車場、またはパブリックセンターの駐車場をご利用ください。
お問い合せ|桑名市立中央図書館 0594-22-0562
「桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」についてはこちらをご覧ください。
「14代目‟桑名のあうるさん“」のご紹介☆
2024年5月30日(木)|投稿者:kclスタッフ
4月初め桜が咲き誇る頃、桑名市立中央図書館にて14代目‟桑名のあうるさん“の委嘱式と、ポスター撮影を行いました。
14代目‟桑名のあうるさん“は、第27回 「図書館を使った調べる学習コンクール」全国大会に入賞された4名の方々です。
今年度、中央図書館のPR活動に協力していただきます☆
■優良賞(1作品)
・小学生の部(中学年)
「国宝 鳥獣戯画はナゾだらけ!」
平井 理菜さん
■奨励賞(3作品)
・小学生の部(低学年)
「エイは水の中でにおいが分かる?!」
服部 永和さん
・小学生の部(高学年)
「セーラー服が消える?! ~制服史の変わり目の今~」
岡本 佳穂さん
・子どもと大人の部
「わたしたちの麦畑」
西田 絢美さん・西田 純さん(父)
今年度のポスターはこちらです!
(写真左から)
西田 絢美さん、岡本 佳穂さん、平井 理菜さん、服部 永和さんです。
ポスターは、館内に掲示します。
また、‟桑名のあうるさん“へインタビューしたものをまとめた「桑名のあうるさんの声を聞く」と「調べる学習☆インタビュー」を児童フロアに掲示中です。
ご来館の際は、是非ご覧ください☆
第27回「図書館を使った調べる学習コンクール」の受賞作品
2024年1月18日(木)|投稿者:kclスタッフ
第27回「図書館を使った調べる学習コンクール」(公益財団法人 図書館振興財団)の 受賞作品が発表されました。
全国から11万8千点を超える作品が応募され、桑名市からは「第19回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」で最優秀賞・優秀賞に選ばれた4作品が出品されました。
そして、気になる結果はこちら!
■優良賞(1作品)
・小学生の部(中学年)
「国宝 鳥獣戯画はナゾだらけ!」
平井 理菜さん(桑名市立大山田南小学校 4年)
■奨励賞(3作品)
・小学生の部(低学年)
「エイは水の中でにおいが分かる?!」
服部 永和さん(桑名市立長島北部小学校 2年)
・小学生の部(高学年)
「セーラー服が消える?! ~制服史の変わり目の今~」
岡本 佳穂さん(桑名市立七和小学校 6年)
・子どもと大人の部
「わたしたちの麦畑」
西田 絢美さん(桑名市立在良小学校 3年)・西田 純さん(父)
受賞されたみなさん、おめでとうございます。
お子さん個人だけでなく、小学生以上のお子さんと一緒に大人の方でも応募できますので、みなさんが日常の中で興味・関心を持ったことをぜひ調べる学習コンクールの作品づくりに挑戦してみてください。
これからも、図書館は皆さんの調べる学習を応援・サポートいたします。
夏だ!海だ!山だ!図書館だ!
2023年8月3日(木)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは。七里です。
暑い夏が続きますね。
コロナ禍が明け、制限なしの久しぶりの夏に、海や山のレジャーを家族や友人と楽しむ方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は海や山の本を、児童書・絵本・ティーンズコーナーからご紹介します。
まずは、海編から。
「かつてチューブに乗った伝説の小学生がいた!」
チューブとは、大波の中にトンネルのような空洞ができること。大人でも難しいのに、何年も前に湘南の海で小学生がそれをしたというのです。
サーフィンを習っている大和は、その話を耳にして、サーフィンスクールの校長先生に真相を尋ねます。
そこから話は、いっきに数十年前にタイムスリップ。
伝説の小学生の物語が始まります。
湘南の海で、小学生の亮はサーフィンの上手な誠に出会います。
誠にサーフィンを教えてもらいながら、二人はサーフィンを思い切り楽しみ、そして友情を深めていきます。
しかし、そこにライバルの外国人、スティーブが現れます。
サーフィン場の縄張り争いが起こり、サーフィンの大会で、二人はついにスティーブと対決することになるのですが・・・。
夏の湘南の海を舞台に、色々な人と関わりありながら、困難を乗り越え、成長してく二人の姿に、心が熱くなります。
そしてサーフィン大会で優勝した伝説の小学生とは果たして誰で、今は何をしているのか、
皆さんも、大和と一緒に確認してみてください。
海を眺めていると、「この海の向こうは、何があるだろう」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか?
この本では、少女が海を眺めながら、うみのむこうを想像します。
「うみのむこうは はたけかな」
「うみのむこうは ゆうえんち たのしいのりもの たくさんあるかな」
全ての頁が同じ視線で描かれる絵本に、いつしか引き込まれ、どんどん想像が膨らんでいきます。
この本をきっかけに、皆さんの「うみのむこう」には、どんな世界が広がっているでしょうか?
海辺を歩いていると、様々な生きものが見つかることがありますね。
海の潮だまりで、夢中になって、生きものを観察したり捕まえたりした人もいるのではないでしょうか?
この本では、そんな海辺の生きものたちがたくさん出てきます。
しかも、一見何もないように見える頁も、後ろから光を照らすと、隠れている生きものが浮かび上がるしかけつきです!
岩かげや砂のなかに何が隠れているでしょうか。そんなドキドキ・ワクワクが、本で楽しめます。
次は山編をご紹介します。
皆さん、山というとどんなイメージをお持ちでしょうか。
この本には、生きものが、山に見守られながら過ごす、一日が描かれています。
夜明けとともに始まる山の一日。
静かな文章と優しい色調の絵に、心が洗われます。
あらゆる生きものをそっと見守る山。
読み進めるうちに、自分も山に包み込まれ、癒される感覚に陥るかもしれません。
大人の方にもおすすめです。
一度は登ってみたい富士山。何度も登りたくなる富士山。
富士山に特別な思いを抱いている方も多いと思います。
この本では、富士山でガイドの仕事をしている著者が、富士山の魅力をたっぷり教えてくれます。
しかしこの人、三十歳になるまで、富士山に登ったことがなかったというから驚きです。
山登りに関してど素人の著者が、失敗を重ねながらも、登山者の富士山への思いと、富士山そのものからエネルギーを貰って、
今までにない富士山ツアーへの実現へと邁進していきます。
彼の夢に向かって一歩一歩進んでいく姿と、富士山の登山がリンクして、清々しい気持ちになります。
楽しい登山も、途中で遭難してしまっては、大変ですね。
主人公の小学生、田辺瞬は、お父さんと同級生の友達三人、そして山岳部の大学生・岳ちゃんとともに、宿泊登山に出かけます。
それは楽しい夏休みの思い出になるはずでした。
ところが、瞬は岳ちゃんの忠告も聞かずに、単独行動をしてしまいます。
「みんなの役に立ちたい」という気持ちからでしたが、結局友達二人を巻き込んで、遭難してしまうのでした。
手持ちの食糧や水が無くなりそうになったり、急な雨に見舞われたり、滑落したり、もうハラハラドキドキの連続で、読む手を離せなくなるほどの展開です。
皆さんも、極限状態での山と対峙する、小学生たちの奮闘に心からのエールを送ってしまうはずです。
最後に、山も海も出てくる一冊を見つけました。
世界七大陸の最高峰を登頂した、著者の冒険の日々をつづった本。
高校二年生の時にインドを旅行した著者は、命の危機に遭いながらも、「世界を経験すること」にハマっていきます。
しかし、彼が旅に出るようになったきっかけが、「読書」というので、嬉しくなってしまいました。
「さまざまなジャンルの本と出会うなかで、描かれている風景を自分でも見てみたいと強く思うようになった」そうです。
今で言う、本で出会った大自然の聖地巡りでしょうか?スケールが壮大すぎます。
彼の聖地巡りは、アラスカの川下りから始まり、北米やアフリカの最高峰の山々、世界最高峰チョモランマなど、次々に登頂します。
それだけではありません。
POLE TO POLEという、北極点から南極点まで人力で踏破をしたり、
ミクロネシアに伝わる星の航海術を学ぶために、現地の伝統航海術師に弟子入りして、星だけを頼りに極限の航海に出かけたり・・・。
こんな人がいるのか?!と驚きの連続です。
しかし、自分にはできないからこそ、著者が書き残す一つ一つの言葉は、胸にせまるものがあります。
世界を経験することの厳しさと素晴らしさから、彼の人生観をまるごと感じとることができます。
図書館には、他にもたくさんの海や山の本があります。
図書館の本で、夏気分をぜひ味わってみてください。
紹介資料
『Surf Boys』(南田 幹太/著 PHP研究所 2021)
『うみのむこうは』(五味 太郎/作・画 絵本館 1979)
(キャロン・ブラウン/作, アリッサ・ナスナー/絵, 小松原 宏子/訳 しながわ水族館/監修 くもん出版 2020)
『山はしっている』
(リビー・ウォルデン/作, リチャード・ジョーンズ/絵, 横山 和江/訳 鈴木出版 2020)
『ぼくの仕事場は富士山です』(近藤 光一/著 講談社 2011年)
『生き抜け!』(山口 理/作,十々夜/絵 文研出版 2022)
『いま生きているという冒険』(石川 直樹/著, 100%ORANGE/装画・挿画 理論社 2006)