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KCLスタッフブログ ~ブックとラック~

2023年9月14日(木)AM12:00|投稿者:KCLスタッフ

遠くて近い留学の話

こんにちは、なばなです。

 

9月に入って暦の上では秋、のはずですが、未だ残暑が厳しいですね。

動くのも億劫になる今日この頃。

この倦怠感を吹き飛ばすイベントはないかとテレビをつけると、こんなニュースが目に飛び込んできました。

 

「コロナの制限緩和で海外留学再開!」

 

日本とは違い、海外の多くの国では9月からが新学期です。

コロナの規制も落ち着いた今、9月から入学や進学再開に向けて準備する学生が増えている、という内容でした。

 

なるほど、海外留学...

 

よしやろう!と、言えるほど簡単な事ではないのですが、なんとも心躍る響きです。

それに、準備がかかる物こそ今調べておけば、後々役立つかもしれません。

そこで今回は、留学に関して役立ちそうな本を紹介しようと思います。

 

 

まず最初に紹介するのはこちらです。

 

『6カ国転校生 ナージャの発見』

(キリーロバ・ナージャ/著 集英社インターナショナル 2022)

 

留学する以上、どんな風に学ぶかは重要ですよね。

この本の著者は、小学校から中学校までに6ヶ国の学校に転校しました。

その経験から、各国の教育の違いを比較されており、留学先でどんな教育を受けたいかを考える上で、参考になります。

 

ですが、それ以上に参考にしてほしいのは、本の後半です。

何度も転校した著者は、当然言葉や文化など様々な壁にぶつかりますが、その中である「発見」をします。

 

これ以上はネタバレになるのでお伝えは出来ませんが、学ぶとは何か、と考えさせられる内容でした。

留学に興味がある人にも、そうでない人にも一度読んで欲しい本です。

 

 

 

次におすすめするのは、海外留学記です。

 

『テムズとともに 英国の二年間』

(徳仁親王/著 紀伊國屋書店 2023)

 

こちらは今年復刊されて、メディアに取り上げられたので、ご存知の方も多いかもしれません。

イギリスの名門オックスフォード大学での寮生活、というのも心惹かれる設定ですが、話題になった最大の理由は著者の存在。

著者は徳仁親王殿下。現在の天皇陛下がイギリス留学時代のことを綴った本なのです。

そのため、作中には大使や、貴族、英国王室といった要人、更には女王陛下までさらっと登場していて驚かされます。

 

ですが、それ以上に引き込まれるのは、その大学生活の描写です。

尊敬できる教授との出会い、寮生活での様々な驚き、友人たちとの他愛のないやり取り...

読みやすいさらりとした文章なのに一つ一つ情感がこもっていて、思い出を大切にしている気持ちが伝わってきます。

 

復刊の際、新たに増えた後書きには

「この本によって海外へ留学してみたいと思う人が一人でも増えれば、私にとって大きな喜び」

と記されているそうですが、その思いがしっかりと伝わってきます。

 

復刊版は長島図書館の所蔵ですが、中央図書館には初版があります。

自然と留学したいと思わせてくれる魅力の詰まった本です。

 

 

最後に紹介したいのは、こちら。

『留学を考え始めた親と子で読む本』

(平田 久子/著 コスモピア 2020)

 

留学の大まかな手順や予算などをまとめた入門書です。

親子ではなくとも、留学をより具体的に考えたい人におすすめです。

著者自身も親子三代で留学が経験あり、精神面と物理面の双方からのアドバイスも豊富です。

なるほど、留学は人生設計なのだと納得させられます。

 

留学することがすべてではないという考えも述べており、読み進めるうちに漠然としたイメージから、自分の望む留学の形が見えてきます。

留学を具体的に考え始めた方におすすめです。

 

 

 

昔は海外留学したと聞くと、自分とは別世界の話のように感じたものです。

ですが近年は国内外問わず選択肢が増え、今では何歳からでも、どんな短い期間でも大丈夫。

縁遠いと思っていた世界は、いつの間にか随分近くなっていました。

 

皆さんも、どこかの国の新学期にいつかは参加する日が来るかもしれません。

その前準備に、まず図書館の本を手に取ってみてはいかがでしょうか?

 

 

 

紹介資料

『6カ国転校生 ナージャの発見』(キリーロバ・ナージャ/著 集英社インターナショナル 2022)

『テムズとともに 英国の二年間』(徳仁親王/著 紀伊國屋書店 2023)

『テムズとともに 英国の二年間』(徳川親王/著 學習院総務部広報課 1993)

『留学を考え始めた親と子で読む本』(平田 久子/著 コスモピア 2020)

2023年5月26日(金)AM12:00|投稿者:KCLスタッフ

#kclスタッフおすすめ本 『本屋さんで待ちあわせ』

2021年6月18日より始まりました、#kclスタッフおすすめ本。
2021年6月~2022年5月までに30冊。
2022年6月~2023年5月までに30冊。
この2年間で、計60冊の図書館スタッフ厳選の本を紹介していまいりました。
当ブログが、これまで中々出会わなかった本に興味を持つキッカケとなっていたら幸いです。

ご紹介した本は、下の画像からご覧いただけます。(PDFファイルで開きます)

2021年おすすめ本は、こちらのブログからご覧いただけます。

▼2022年5月20日公開
「#kclスタッフおすすめ本 『司書が書く図書館員のおすすめ本』」

 

 

 

さて、今回ご紹介する本は小説家・三浦しをん氏による書評集です。

 

【 読書が苦手な人へ 】

『本屋さんで待ちあわせ』
(三浦 しをん/著 大和書房 2012年刊)

 

『まほろ駅前多田便利軒』(直木賞・2006年)、『舟を編む』(本屋大賞・2012年)など多数の作品で知られる三浦氏。
今回の書評を読むまで三浦氏がどんな方か存じ上げなかった為、本を開いてすぐの「はじめに」を読んだ瞬間、肩の力が抜けました。
直木賞作家の書評、と身構える必要なし。
例えるなら、読書好きの友人が様々なジャンルの本を大いに私感を織り交ぜながら話してくれているような書評です。
三浦氏自身も、《ちゃんとした評論ではもちろんなく、「好きだー!」「おもしろいっ」という咆哮になっちゃってる》と書かれている通り、本当に気軽に読めます。

 

食事をしながら読書をする著者が紹介する本は、東海道四谷怪談から太宰治、はたまたBL作品までと多岐に渡ります。
全く異なるジャンルのように感じる本が、著者の手にかかれば「おもしろいっ」本として同じ棚に並ぶ。
ページをめくる度に、次はこれ?え、この本の次にこれ!?と驚きながらも、うわぁこれは確かに面白そうだ…と感心しつつ、せっせとメモをとる。
気になって仕方なくなったら、ページをめくる手を止めて気になるタイトルを図書館へ探しに行く、または「青空文庫」で公開されている作品であれば、勢いのまま読みに行く事もありました。

 

今回「読書が苦手な人へ」と本書を選んだ理由は、実はそこにあります。
途中で手を止めても良いと思える気軽さ。
そして、とても簡潔で小気味いい書評。
どれくらい完結かといえば、たった1ページで終わる事も多々あります。

どんな本を読もうか悩む人も。
あんまり読書好きじゃないけれど、読まなくちゃ…という人も。
著者の愛に溢れた書評集を読んでみるのはいかがでしょうか。

 

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『本屋さんで待ちあわせ』

 

▼出版社
大和書房

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

2023年5月12日(金)AM12:00|投稿者:KCLスタッフ

#kclスタッフおすすめ本 『恐竜・古生物ビフォーアフター』

【 雑学 

『恐竜・古生物ビフォーアフター』
(土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監,ツク之助/絵 イースト・プレス 2019年刊)

 

 

子どもの頃、学校の図書室で夢中になって読んだ本を覚えていますか?
同い年の子が登場する、日常の冒険。
魔法使いや妖精が登場するファンタジー。
はたまた、偉人の人生を描いた漫画作品等々。
私が当時を思い浮かべた時、真っ先に浮かんだのは恐竜の図鑑でした。

 

重たく、大きな本のページをめくる度に登場する恐竜たち。
昔はこんな生物が地球にいたんだ!と、ドキドキしながら夢中になって読んでいました。
恐竜について詳しく学びはしませんでしたが、今でも博物館などで恐竜の化石や骨格模型を見かけると、じっくり見入ってしまいます。

 

そんな時、何度か違和感を覚える事がありました。
子どもの頃読んだ本の姿・情報と何か違う気がするな…?
疑問は解決しておくに越したことはない、と図書館の書棚を眺めて見つけたのが本書『恐竜・古生物ビフォーアフター』でした。

 

『恐竜・古生物ビフォーアフター』では、1970年代から1990年代に出版された恐竜の書籍の中でも、発行部数や売り上げ率の高かった本を中心としてピックアップし、“当時の典型的な恐竜イメージ”を仮定しました。
その典型的なイメージと、最新の研究による情報を照らし合わせ、ここ数十年の「ビフォーアフター」をとても楽しく教えてくれる本です。

 

いきものイラストレーター・ツク之助さんの可愛い挿絵も魅力ではありますが、何といっても本書最大の魅力は「参考資料」の豊富さにあると思います。
本文はとてもわかりやすく書かれていて、楽しくサラっと、クスっと笑いながら読み進められます。
しかし、「あれ、今〇〇年の研究では~と書いてあったな…しかも海外の研究」と気づき、思わず巻末の参考文献を確認すると…
そこには、膨大な量の資料、論文が紹介されていました。

 

ただ資料名が羅列されているだけではありません。
章ごとに参考資料が区分され、なおかつ、論文の探し方まで親切に紹介されているのです!
わぁ…土屋先生、最高です…。
本書を読んで、もっと知りたい!と思った人の希望を叶える、本当に素晴らしい参考資料の紹介だと思います。

 

私が子どもの頃に得た恐竜のイメージが、本書を読んで大きく変わりました。
この先の未来でも新たな発見により「ビフォーアフター」は変化していくのでしょう。

 

子どもの頃、恐竜に夢中になった人も。
今、胸を躍らせて恐竜の本をめくる人も。
本書を持って、様々な仮説についてお話してみると楽しい発見があるかもしれません。

 

あの恐竜には、羽毛があるの?ないの?
空を飛べた?それとも飛べなかった?

 

いつか決定的な発見があるまで、様々な仮説を楽しみたくなる一冊です。

 

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『恐竜・古生物ビフォーアフター』

 

▼出版社
イースト・プレス

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

※次回更新は2023年5月26日(金)の予定です

2023年5月8日(月)AM12:00|投稿者:KCLスタッフ

連休明けて...

こんにちは。

はじめまして、「なばな」です。

 

気づけば新緑芽吹く5月。皆様いかがお過ごしでしょうか。

ぴゅうと吹き荒れる春風の如く、新鮮で慌ただしい時期の4月はあっという間に過ぎてしまいました。

 

特に新社会人や学生だと、環境が一気に変わって連休でやっと一息つけた、という方も多いのではないでしょうか。

そうなると次にやってくるのは、「仕事(学校)行きたくない~」という五月病の影...

そんな気持ちのまま出勤したくないですよね。

 

そこで今回は、前向きな気持ちを分けてくれる、一生懸命に働く人たちの本を紹介します。

 

まずはじめにこちらの本。

大奥で働く女性たちの姿を書いた短編集です。

 

 

 

『大奥づとめ』

(永井 紗耶子/著 東京新潮社 2021)

 

 

 

大奥といえば、将軍をめぐる女性たちの戦いをイメージしそうですよね。

ですが、この本に出てくるのは、その舞台裏。

大奥を支える裏方仕事の女性たちです。

 

地味な服ばかり着ているのに、衣裳係になってしまった新人さんの話。

外見にコンプレックスを持った女性が出会った、おかめ顔の化粧をする同僚さんの話など。

 

心当たりあるかも?と言いたくなるストーリーに引き込まれ、気づけば自分が励まされています。

読み終わった後に、不思議と会社や職場の人たちの良いところが浮かんできた本です。

 

 

 

 

営業、接客、売上ノルマ。たくさんの社会人が悩まされるフレーズですよね。

ノウハウ本は数あれど、前向きな気持ちになれるかは別問題。

そんな方に読んで欲しいのがこちらです。

 

『上流階級 富久丸百貨店外商部』

(高殿 円/著 東京光文社 2013)

 

 

 

舞台は百貨店。営業、接客、売上ノルマの全てに高い水準を求められます。

主人公は洋菓子のバイトから正社員になった叩き上げの女性です。

 

しかし、ある日突然、外商部へ異動となります。

そこで待っていたのは、上流階級と呼ばれる大金持ち達と月1500万円のノルマ、そして、同僚に振り回される日々でした。

 

ハイクラスな知識や教養、無茶な要望、とんでもない額のノルマ …

聞いているだけで気が遠くなりそうな要求の数々に、根っから庶民の主人公は、一歩進んでは二歩下がる日々。

 

そんな困難だらけの状況でも、主人公は折れることなく必死であがきます。

その頑張りはさまざまな形で周囲に影響していき、次第に彼女の仕事は認められていきます。

 

主人公は決して超人ではありません。

それは本人も自覚していて、だからこそ自分に出来る全てをやろうとします。

 

その奮闘ぶりは、読んでいて心が揺り動かされます。

頑張る気持ちを分けてもらえる本です。

 

 

 

 

最後は、ちょっと変わったお仕事。

ディズニーランドの裏方であるキャストを主人公にしたお話です。

 

『ミッキーマウスの憂鬱』

(松岡 圭祐/著 東京新潮社 2005)

 

 

 

憧れのディーズニ―ランドにキャストとして採用された主人公。

ですが、夢いっぱいに飛び込んだ職場には、予想外の現実が待っていました。

更にディズニーを揺るがす大事件まで起きて…?

 

がんじがらめの規則、ハードな作業、社員格差。

この話には夢の国ディズニーランドと対比するように、会社としてのシビアな側面が書かれています。

 

フィクションではありますが、出てくる悩みやぶつかる壁は、社会人なら誰もが一度は体験していそうなものばかり。

そのリアリティに、最初は主人公と一緒に何度か落ち込むかもしれません。

 

ですが読み進めるうちに、垣間見える仕事への情熱がじわじわと心に響いてきます。

 

自分の仕事の誇りとは何か?

自分が守るべきものは何か?

 

そんな問いかけが聞こえてくるようです。

 

「大変でも、胸の張れる仕事をしよう。」そう思わせてくれる本です。

 

 

慣れない環境や予想外の仕事は、尻込みするし手探りばかりで疲れるかもしれません。

でも、今精一杯やれば得られるものがあると、

そう伝えてくれる物語があります。

 

仕事に悩んでる方もそうでない方も、是非読んでみてください。

 

 

 

<紹介資料>

『大奥づとめ』(永井 紗耶子/著 東京新潮社 2021.5  M/913.6/ナガ/)

『上流階級 富久丸百貨店外商部』(高殿 円/著 東京光文社 2013.11   913.6/タカ /)

『ミッキーマウスの憂鬱』(松岡 圭祐/著 東京新潮社 2005.3  913.6/マツ)

2023年4月28日(金)AM12:00|投稿者:KCLスタッフ

#kclスタッフおすすめ本 『キップをなくして』

【 ファンタジー

『キップをなくして』
(池澤 夏樹/著 KADOKAWA 2005年刊)

 

キップをなくしたこと、ありますか?
わたしは、あります。
さあ降りようと思ったら、「キップがない!」
幸い、傘の間からパラリと落ちて、無事改札を出ることができましたが。
みなさんの中にもドキッとした経験のある方、いらっしゃるのではないでしょうか?

 

お話の中では、キップをなくした子は駅から出られません。駅の子になります。
主人公は、切手収集が趣味のイタル(小学校高学年)。
自分が生まれた年に発行された切手のコレクションが完成するという日でした。
その切手を手に入れるため、有楽町の改札口へ向かう途中で、キップがないことに気づきます。
ママからは「キップをなくしちゃだめよ。キップをなくすと駅から出られなくなるから」と言われていました。

 

焦るイタルは、後ろからいきなり声をかけられます。
「キップなくしたんでしょ」
声をかけたのは、彼より5センチほど背の高い女の子でした。
「おいで」と導かれるまま、電車を一駅乗って、降りたところは東京駅。
狭い通路をどんどん進み、いくつも角を曲がった先に大きな木の扉があって、扉を開けるとそこは、キップをなくした子たちが暮らす部屋、詰所でした。
こうしてイタルの、駅の子としての生活が始まるのですが・・・
実は駅の子には特別な仕事がありました。

 

駅の子の仕事って何?
どうして駅の子が始まったの?
これって一種の誘拐?
イタルたちはさまざまな疑問を抱えながら、自分たちで考え、行動し、少しずつ変わっていきます。

 

この作品は駅を舞台にしたファンタジーですが、大きな駅にはどこか「そういう場所、あるかもしれない」と思わせる雰囲気があります。
時代の設定は、国鉄がJRに変わり、青函トンネルがもうすぐ開通するという時。
連絡船が役目を終え、旅の形が変わろうとする時代を描いています。

 

鉄道好きの方はもちろん、紙のキップに駅員さんがパチンと鋏を入れる光景をなつかしく感じる方、そんなの知らないという方にも楽しんでいただけるのではないでしょうか。
もしかするとこの先、キップ自体なくなってしまうのかもしれません。
いつか、昔は「キップ」というものがあってね、と話す時が来るのでしょうか。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『キップをなくして』

 

▼出版社/書影画像元
KADOKAWA

 

 

※次回更新は2023年5月12日(金)の予定です