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暑いときこそ食べよう
2026年7月6日(月)|投稿者:kclスタッフ
はじめまして。新ブログ担当のばんぶぅです。
初めてのブログを書くにあたり思い出したのは、子どもの頃に読んだ『大きな森の小さな家』に登場する食べ物に心躍らせた記憶。
ストーブの火であぶった“豚のしっぽ”、煮詰めた楓の蜜を雪の上に垂らした“あめ”!
あれからうん十年。物語に出てくる食べ物に、今でもワクワクしてしまいます。
さて今月は、そんな私から食に関する本を3冊ご紹介します。
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食べたものの記憶から、その時の出来事や会話、その場の雰囲気や感情までも鮮明に思い出すことがありますよね。
最初の本は、まさにそんな1冊です。

『うちのご飯の60年 祖母・母・娘の食卓』(阿古 真理/著 筑摩書房 2009.10)
生活史研究家・阿古真理(あこ まり)さんによる食のルポルタージュです。
昭和初期から平成まで、三世代にわたる食の記憶が、細やかな取材と豊富な参考文献によって検証されています。
楽しく読み進められるのは、すぐそこで繰り広げられているかのような家族の会話が散りばめられているから。
情景が目に浮かび、温かい気持ちになります。
また、調理家電や加工食品の年表も添えられ、当たり前のように繰り返される食事が、時代の流れと共に変化してきたことがよくわかります。
次は、まさに令和の台所事情に寄り添ったこちらの本をどうぞ。

『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(コウ ケンテツ/著 ぴあ 2020.9)
料理研究家・コウケンテツさんの「いわゆる普通のレシピ本ではなく、ごはんをつくる人が元気がでるような本を」という、優しさがあふれる本です。
家族のために腕によりをかけて作ったパスタを、美味しいうちに食べて欲しいコウさん。一方、遊びに夢中な子どもたち。
料理のプロであるコウさんも、子どもの奔放さには敵わず、ある発想の転換をします。
そんな、苦笑したくなる日常の出来事。
この本からは、それらを前向きにとらえ、食卓を柔軟に変化させていくことの大切さが伝わってきます。
「手間を排除した」レシピが巻末に掲載されているので、暑さで料理がしんどくなっている時にぴったりです。
「おわりに」には、コウさんから読者への“優しさシャワー”があふれています。
表紙のかわいいイラストの解説を読めば、背中をそっと押され、台所に立ちたくなるかも?
最後は、「ひとり暮らし初めてさん」のためにこんな授業があったらいいな! と感じた本です。

『18歳からの自炊塾 九州大学生き方が変わる3か月』(比良松 道一/著 家の光協会 2020.11)
自炊の恐るべき底力を伝えたいと、著者が大学で行った講義の内容を紹介しています。
特に印象的だったのは「週1回の1品持ち寄り昼食会に参加する」という授業を受けた学生の感想です。
食べ手から作り手になり、他者への思いやりを自然に学び取ったのだと感じられます。
日常的に家庭の料理を担当する人なら、思わず深く頷いてしまうかも?
気軽に利用できるファストフードや、便利なコンビニは、料理を作り慣れない学生の絶大なる味方。
けれど、先のパンデミックや自然災害など、もしもの時には自炊力が何にも勝る味方になるかもしれません。
こちらの本は書庫で保管していますので、読んでみたい方はカウンターにお声がけください。
図書館には、美味しそうなレシピ本もたくさん所蔵しています。
桑名の暑い夏! しっかり食べて元気にお過ごしくださいね。
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<紹介資料>
『大きな森の小さな家』(ローラ・インガルス・ワイルダー/作,恩地 三保子/訳,ガース・ウィリアムズ/画 福音館書店 1979)
『うちのご飯の60年 祖母・母・娘の食卓』(阿古 真理/著 筑摩書房 2009.10)
『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(コウ ケンテツ/著 ぴあ 2020.9)
『18歳からの自炊塾 九州大学生き方が変わる3か月』(比良松 道一/著 家の光協会 2020.11)
(ばんぶぅ)
旅に出よう
2026年5月1日(金)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、六華です。
毎年5月16日は、「日本旅のペンクラブ」が制定した「旅の日」。
松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅へ出発した5月16日(旧暦1689年3月27日)に由来しています。
忙しい現代の中で「旅の心」を大切にし、旅のあり方を考えるきっかけとして設けられました。
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『おくのほそ道』といえば、国語の教科書でもおなじみの作品です。
月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり
この冒頭の部分を音読した記憶がある方も多いのではないでしょうか。
けれど、作品全体の内容を詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
そこで、まずおすすめしたいのが、小学生向けに作られたこちらの本です。

『写真で読み解く おくのほそ道大辞典』(佐藤 勝明/監修 あかね書房 2022.1)
『おくのほそ道』は、江戸時代に書かれた紀行文学で、関東、東北、北陸から大垣までの約2,400キロメートル、156日に及ぶ旅の様子が描かれています。
芭蕉と弟子の河合曽良が旅の途中で詠んだ俳句や原文の内容が、美しい写真やイラストとともに紹介された、まさに『おくのほそ道』辞典の決定版!
ページをめくるたびに、まるで自分も旅に出ているような気持ちになれる一冊です。
また、俳句の季語や意味も掲載され、俳句の鑑賞方法から俳句作りのコラムまで、俳句について学習したい時にも役立ちます。
巻末に松尾芭蕉の記念館・資料館なども紹介されていますので、親子で訪れてみるのもおすすめです。
原文の言葉の美しさをじっくり味わいたい方には、次の本がぴったりです。

『すらすら読める奥の細道』(立松 和平/著 講談社 2004.1)
原文と現代語訳が見やすく並び、エッセイも添えられているので、タイトルの通りすらすら読めます。
芭蕉は人生そのものを旅になぞらえ、『おくのほそ道』の旅を終えたあとも歩みを止めません。
大垣から伊勢へ向かった旅の記録が『野ざらし紀行』です。
その道中、桑名で詠まれた俳句については、以前のブログ記事「文学と桑名~松尾芭蕉と泉鏡花~」(2024年2月10日)で詳しく紹介しています。こちらもご覧ください。
「旅の日」にちなんで、芭蕉の旅に思いを馳せてみるのも素敵です。
本を通して旅の空気に触れると、実際にどこかへ出かけたくなるかもしれません。

江戸時代の旅といえば、ひたすら歩き続けるもの。
では、現代のおじいちゃんと孫の二人旅はどんな風景になるのでしょうか。
そんな旅の姿を描いた絵本がこちらです。

『りょこう』(麻生 知子/作 福音館書店 2025.5)
こうたくんとおじいちゃんが電車で旅に出かける物語です。
車内で駅弁を食べ、旅館に泊まり、温泉に入って・・・そんな旅のワクワクが丁寧に描かれています。
おじいちゃんがこうたくんにシウマイを分けようとする場面など、温かいやりとりも魅力。
電車や旅館の様子が上から見えたり横から見えたりと、細部まで遊び心が詰まっていて、絵を眺めるだけでも楽しい発見がたくさんあります。
最後にもう一冊、旅をテーマにした絵本をご紹介します。

『ぼくのたび』(みやこし あきこ/作 ブロンズ新社 2018.11)
小さくて居心地のいいホテルを営む“ぼく”。
世界中から訪れるお客さんから知らない町の話を聞き、”ぼく”の町のことを語りながら、いつも心のどこかで旅への憧れをあたためています。
そして夜になると、夢の中で自由な旅へと出かけていくのです。
日常の場面はモノクロで、旅のシーンは淡い色彩で描かれています。
そのコントラストが、どこか儚く、ノスタルジックな雰囲気を生み出しています。
旅好きのみやこしあきこさんが、リトグラフという技法で紡ぎ出す世界は、読む人によって軽やかにも深くも感じられる、不思議な魅力に満ちています。
皆さんはこの絵本をどのように味わうでしょう。
ぜひ一度、ページを開いてみてください。
なお、絵本ができあがるまでの制作過程は、ブロンズ新社の公式YouTubeチャンネルでも
絵本『ぼくのたび』メイキングビデオとして紹介されています。
(https://www.youtube.com/watch?v=ObZgQ0DN9rc&t=4s)
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桑名市立図書館では、さまざまな旅のガイドブックを借りることができます。
さらに「くわな電子図書館」を利用できる方(桑名市在住で、図書館の利用券をお持ちの方)は、旅行先でもスマホで『るるぶ』を読むことが可能です。館内にもポスターが掲示されています。
旅の準備にぜひご活用ください!
<紹介資料>
『写真で読み解くおくのほそ道大辞典』(佐藤 勝明/監修 あかね書房 2022.1)
『すらすら読める奥の細道』(立松 和平/著 講談社 2004.1)
『りょこう』(麻生 知子/作 福音館書店 2025.5)
『ぼくのたび』(みやこし あきこ/作 ブロンズ新社 2018.11)
<六華>
春、節目の季節に寄り添う本
2026年3月3日(火)|投稿者:kclスタッフ
はじめまして。六華(ろっか)と申します。
このたび、新しくブログを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。
私の名前“六華”は、桑名のシンボルでもある「六華苑」からいただきました。
二代目諸戸清六の邸宅であった六華苑。
建物は、洋館と和風建築が調和した国の重要文化財で、庭園は、四季折々の美しさで人々を魅了し、国の名勝にも指定されています。
洋館の設計は、鹿鳴館などでも有名なジョサイア・コンドルが手掛けています。歴史的価値も高い六華苑について知りたくなったら、ぜひ図書館にも足を運んでみてください。
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さて、三月は卒業の季節。
図書館でも、この時期になると進学や新生活に向けた本を探しに来られる方が増えます。
節目を迎え、新しい世界へ踏み出す準備をする時期ですね。
少しずつ大人になっていく子どもたちを、心配しながらもまぶしい気持ちで見守る日々。
「そもそも大人になるってどういうことなんだろう?」と、考えることがあります。
そんな私の目に留まったのが、こちら、ティーンズコーナーの一冊です。

『おとなになるってどんなこと?』 (吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)
著者の吉本ばななさんは、ご自身が「初めて大人になった」と感じた瞬間を鮮明に覚えているそうです。それは中学生の頃(早い!)
「初めてほんとうの意味で他者を思いやれた」「自分の恵まれた環境を客観的に見られた」
そんな変化を自覚した時だったと書かれています。
このエピソードを読み、私も自分の子どもが一つの大きな試練を乗り越え、泣きながら感謝の言葉を伝えてくれた日のことを思い出しました。
あの瞬間、あの子も大人になったのだと感じました。
中学生向けのエッセイですが、「大人になるって難しい…」と感じている大人にこそ響く言葉が詰まった、おまもりのような本です。
「おとなになんかならなくっていい、ただ自分になっていってください」
優しい語り口で、節目の季節に、そっと寄り添ってくれます。
何かにつまずいた時に読み返すと、また一歩を踏み出す元気がもらえるのではないでしょうか。
次にご紹介するのは、こちらの本です。

『ぼくを探しに』
(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)
「何かが足りない それでぼくは楽しくない 足りないかけらを 探しに行く」
シンプルな絵と文なので、さらっと読むことができます。けれど、とても哲学的で、“大きい人向け”の絵本といえます。
読んだ後の受けとめ方はきっと人それぞれですが、人生の歩み方について深く考えさせられます。
人生は山あり谷あり。つらい時は立ち止まっても、後戻りしてもいい。
完璧じゃなくても、不完全なままでも、ありのままの自分を受け入れていけば人生は楽しい。
そんな前向きなメッセージを感じられる一冊です。
続いては、こちら。

『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』 (荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)
荒井良二さんといえば、児童文学界のノーベル賞と呼ばれるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を、日本人として初めて受賞したことで知られる絵本作家です。
その独創的な色づかいと世界観は国内外で高く評価され、これまでに数多くの賞を受賞してきました。
絵本だけでなく、アート作品や舞台美術など幅広い表現活動にも取り組み、常に新しい表現を探し続ける姿勢が、多くのファンを魅了しています。
荒井良二さんの代表作のひとつ『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』は、読む人の心をふっと軽くしてくれる絵本です。
ページをめくるたびに広がる色彩豊かな世界。
どこまでも走っていけそうな力強く駆ける馬とぼくの姿を見ていると、こちらも自然に元気や希望が湧いてきます。
「今日の自分には、思っている以上の力がある」
主人公のまっすぐな気持ちが、子どもにも大人にもやさしく響きます。
特別なことをしなくても、毎日はよろこびと感謝の連続。
気持ちひとつで世界はどこまでも広がっていく──
そんな前向きな感覚が、独特の絵とことばで描かれています。
最後は、こちらの絵本です。

『たくさんのドア』 (アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)
作者は、ベストセラー『ちいさなあなたへ』を書いたアリスン・マギー。
未来へ踏み出す子どもたちにエールを送る絵本です。
子どもたちの目の前に並ぶ“たくさんのドア”。
長い人生の中で、それらを一つひとつ自分の力で開けていく。
どんな未来が待っていても、そのドアを開ける力は必ずあなたの中にある──
そして、いつでも見守り、応援しているよ──
静かで力強いメッセージが胸に残ります。
卒業や進級など、新しい一歩を踏み出す季節にぴったりです。
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人生の節目にそっと背中を押してくれる本や絵本を集めてみました。
皆さまの春が、あたたかく、素晴らしいものになりますように。
心から応援しています。
<紹介資料>
『おとなになるってどんなこと?』(吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)
『ぼくを探しに』(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)
『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』(荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)
『たくさんのドア』(アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)
『ちいさなあなたへ』(アリスン・マギー/ぶん,ピーター・レイノルズ/え,なかがわ ちひろ/やく 主婦の友社 2008.4)
<六華>
秋の夜長、なにを読む?
2025年9月11日(木)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、たがねです。
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。体感的には夏気分が抜けませんが、暦の上ではもう秋。期間限定メニューやスイーツで、一足先に秋を感じるようになりました。
9月の和風月名(旧暦での呼び名)である「長月」は「夜長月」から付けられたと言われています。秋分の日を過ぎたあたりから冬に向けて日照時間が短くなり、夜が少しずつ長く感じられるようになりますね。そんな夜が長い季節だからこそ、ゆったり過ごす時間が楽しみになります。
秋の夜長に楽しめることはいろいろありますが、図書館としてはやっぱり読書をおすすめしたいところ。
でも、いざ読書しようと思っても、読みたい本がなかなか見つからないことはありませんか? 気分を変えて、いつもは選ばないジャンルに挑戦してみたい時もありますよね。
今回は、秋の夜長のお供になる本選びに役立つ本をいくつかご紹介したいと思います。
まずはこちら、

『人生を狂わす名著50』( 三宅 香帆/著 今日 マチ子/絵 ライツ社 2017.10)
新書大賞2025を受賞した『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題の三宅香帆さんによる書評集です。
本を読むことで考え方や生き方が大きく変わってしまうことを三宅さんは「人生を狂わす」と表現しています。
そんな人生を狂わす名著50冊を、気軽な語り口で紹介。まるで友達とおすすめ本を語り合うような軽やかな文体でスルスル読み進められます。さらに、各章の最後に「次に読みたい本」も3冊ずつ紹介してくれます。きっと気になる本が見つかると思います!
図書館には、この本以外にもいろんな書評集があります。書評の本は、請求記号019.9です。ぜひ手に取ってみてくださいね。
次に紹介するのはこちら、

『ブックデザイン365』( パイインターナショナル/編著 パイインターナショナル 2020.3)
本を選ぶ時、表紙に惹かれて思わず手に取ったことはありませんか? 表紙買いするという方も多いと思います。
この本は、文芸書から辞典までさまざまな本の、思わず手に取りたくなる装丁を365冊以上紹介しています。大きな写真とともに、書籍の概要やデザインコンセプトなどの情報がコンパクトにまとまっていて、眺めるだけで楽しい1冊です。ページをめくるたびに「こんな見せ方があるんだ!」と発見があり、本の楽しみ方がちょっと広がります。
この本の中で紹介されている本から気に入ったデザインの表紙を選んで読んでみるのも楽しそうですね。
図書館でも、新刊コーナーや展示棚、書架に表紙を見せて並べています。ぜひそちらにも注目してみてください。
最後に紹介するのはこちら、

『おかしな本棚』( クラフト・エヴィング商會/著 朝日新聞出版 2011.4)
この本は、不思議な雰囲気が漂う本棚をテーマにした本です。「頭を真っ白にするための本棚」や「波打ち際の本棚」などのタイトルがついた本棚が写真とともに紹介されています。写真で見えるのは背表紙だけですが、眺めていると「どんな本なんだろう?」と想像が広がっていきます。紹介されている本棚には実在しない本も混じっていますが、ほとんどは実際にある本です。図書館で所蔵している本もあるので、探して読んでみてください。
図書館の本棚もずらっと並んだ背表紙を見ているとワクワクしますよね。
特に展示コーナーは定期的にテーマを入れ替えているので、期間限定の本棚が見られます。普段はあまり手に取らないジャンルの本とも出会えるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
そして、この図書館ブログでも本選びのお手伝いができるかもしれません。スタッフによるおすすめ本紹介の記事がたくさんあり、カテゴリー「おすすめ本」からまとめてご覧いただけます。過去の記事でもたくさんの本を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは、夜更かしはほどほどに!
秋の夜長に充実した読書時間を楽しんでくださいね。
<参考資料>
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅 香帆/著 集英社 2024.4)
『人生を狂わす名著50』(三宅 香帆/著,今日 マチ子/絵 ライツ社 2017.10)
『ブックデザイン365』(パイインターナショナル/編著 パイインターナショナル 2020.3)
『おかしな本棚』(クラフト・エヴィング商會/著 朝日新聞出版 2011.4)
<たがね>
和菓子をたのしもう!
2025年6月12日(木)|投稿者:kclスタッフ
はじめまして、たがねと申します。
新しくブログを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。
さて、私の名前「たがね」は桑名名物のたがねせんべいからいただきました。歯ごたえのある食感とたまり醤油の味がクセになる美味しさですよね。
せんべいといえば和菓子の仲間ですが、みなさんは6月に「和菓子の日」という記念日があるのをご存じですか?
6月16日の和菓子の日は、全国和菓子協会によって昭和54年(1979)に制定されました。これは、厄除けを願ってこの日に和菓子を食べる「嘉祥菓子(かじょうがし)」の習わしを由来としています。この風習が始まったのは平安時代。疫病が蔓延した日本で年号を「嘉祥」と改め、その年の6月16日に、16個の和菓子を神前に供えて疫病除けを祈ったとされています。江戸時代には「嘉祥の日」として親しまれ、江戸城では2万個もの和菓子が大名や旗本にふるまわれたそうです。
(『季節を愉しむ366日』 三浦 康子/監修 朝日新聞出版 2022.3 より)
ということで、今回は和菓子に関する本をいくつかご紹介したいと思います。
和菓子といえば、味だけでなく季節感あふれる美しい見た目も楽しみのひとつですよね。
最初にご紹介するのは、目で楽しむ和菓子の世界をじっくり味わえる、こちらの本です。

『江戸時代の和菓子デザイン』( 中山 圭子/著 ポプラ社 2011.4)
この本は、徳川家御用達の菓子屋が残した菓子絵図帳をもとに、植物や動物、自然などのモチーフ別に再構成されたカラーデザイン集です。
江戸時代、花鳥風月をかたどった上品な和菓子は裕福な上流階級だけが味わえる高級品でした。そうした「上菓子(じょうがし)」を注文する際に使われたのが、菓子絵図帳です。
本書では、当時の職人たちが工夫を凝らした意匠や、季節感あふれる華やかなデザインが多数紹介されています。植物や風景だけでなく、動物や文様、名所までもが菓子の意匠に取り入れられており、和菓子の表現の幅広さに改めて驚かされます。
和菓子が単なる「食べもの」ではなく、芸術品として人々の心を豊かにしていたことが、ページをめくるたびに伝わってくる1冊です。
和菓子のデザインの奥深さを感じたところで、次にご紹介するのは、素朴だけど実は奥が深い「ようかん」を掘り下げるこちらの本です。

『ようかん』(虎屋文庫/著 新潮社 2019.10)
「ようかん」と聞くと、どこか地味なお菓子という印象を持つ方もいるかもしれません。甘くて固くて、昔ながらのおやつ、そんなイメージがこの本を読むと大きく変わります。ようかんで有名な株式会社虎屋の資料室である虎屋文庫が監修した本書は、ようかんの起源から現代に至るまでの歴史を丁寧に紐解き、四季折々の美しいようかんのデザインや、全国各地の名物ようかんを紹介しています。
特に印象的だったのは、ようかんにも季節の風物や自然を色とりどりに表現する文化があること。色や形、素材の組み合わせによって、桜の花や流水、月の光などを描き出すようかんは、まさに「食べられる芸術品」です。さまざまなデザインのようかんや、その意匠を記した菓子見本帳がカラーで豊富に収録されています。
さらに、ようかんの名前の由来や製法の変遷といった、知的好奇心をくすぐる内容も盛りだくさん。和菓子好きはもちろん日本の文化や美意識に関心のある方にもぜひ手に取っていただきたい1冊です。
さて、和菓子で大活躍するものといえばあんこ! さまざまな和菓子に使われていて、粒あん、こしあんをはじめ種類も豊富です。
次に紹介するのはそんな「あんこ」に注目した1冊です。

『究極のあんこを炊く』 (芝崎 本実/実験・検証・菓子作製・文 女子栄養大学出版部 2024.11)
あんこを炊くときに「びっくり水」や「渋きり」は本当に必要なのか。そんな疑問に科学の視点から向き合ったのが本書、『究極のあんこを炊く』です。
和菓子職人としての経験を持ちながら、調理科学の研究者でもある著者が、伝統技術を丁寧に検証し、「究極のあんこ」を理論と実験で導き出していきます。
基本の粒あん、こしあんに加えて、白あん、うぐいすあん、さらにはくるみあんやミルクあんとアレンジレシピも充実。
見た目にもわかりやすいプロセス写真が豊富に載っていて、初心者から上級者まで楽しめる内容になっています。
和菓子作りをより深く理解したい方にぴったりの、実践と知識が詰まった1冊です。
最後にご紹介するのは、あんこへの愛がたっぷり詰まったこちら。

『ずっしり、あんこ』 (青木 玉/[ほか]著 河出書房新社 2015.10)
こちらは、芥川龍之介、手塚治虫、糸井重里や上野千鶴子といった多彩な作家や文化人による、「あんこ」にまつわるエッセイを収めたアンソロジーです。
おはぎ、ようかん、たい焼きなど、さまざまな和菓子の思い出や、日常の中での甘味とのかかわりが、それぞれの筆致で綴られています。
なかでも私の印象に残ったのは、歌人である穂村弘さんの「あんパン」。駅の売店であんパンを買った何気ない場面から始まりますが、エッセイらしからぬ奇想天外な展開に引き込まれ、夢中で読み進めてしまいました。
同じ「あんこ」というテーマでも、書き手によって語り方はさまざま。まるで、どのお菓子になるかで表情を変えるあんこのようです。気になる作家のエッセイから、ちょっとつまんで読んでみるのもおすすめです。
今回ご紹介した本以外にも、図書館にはたくさん和菓子に関連した本があります。ぜひ探して読んでみてください。
和菓子の本をたくさん読んだので、無性に食べたくなってきました。今年の嘉祥の日には、和菓子を食べて健康を祈願してみたいと思います。みなさんもぜひ嘉祥の日を楽しんでみてください!
<参考資料>
『季節を愉しむ366日』(三浦 康子/監修 朝日新聞出版 2022.3)
『江戸時代の和菓子デザイン』(中山 圭子/著 ポプラ社 2011.4)
『ようかん』(虎屋文庫/著 新潮社 2019.10)
(芝崎 本実/実験・検証・菓子作製・文 女子栄養大学出版部 2024.11)
『ずっしり、あんこ』(青木 玉/[ほか]著 河出書房新社 2015.10)
<たがね>

