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春、節目の季節に寄り添う本
2026年3月3日(火)|投稿者:kclスタッフ
はじめまして。六華(ろっか)と申します。
このたび、新しくブログを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。
私の名前“六華”は、桑名のシンボルでもある「六華苑」からいただきました。
二代目諸戸清六の邸宅であった六華苑。
建物は、洋館と和風建築が調和した国の重要文化財で、庭園は、四季折々の美しさで人々を魅了し、国の名勝にも指定されています。
洋館の設計は、鹿鳴館などでも有名なジョサイア・コンドルが手掛けています。歴史的価値も高い六華苑について知りたくなったら、ぜひ図書館にも足を運んでみてください。
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さて、三月は卒業の季節。
図書館でも、この時期になると進学や新生活に向けた本を探しに来られる方が増えます。
節目を迎え、新しい世界へ踏み出す準備をする時期ですね。
少しずつ大人になっていく子どもたちを、心配しながらもまぶしい気持ちで見守る日々。
「そもそも大人になるってどういうことなんだろう?」と、考えることがあります。
そんな私の目に留まったのが、こちら、ティーンズコーナーの一冊です。

『おとなになるってどんなこと?』 (吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)
著者の吉本ばななさんは、ご自身が「初めて大人になった」と感じた瞬間を鮮明に覚えているそうです。それは中学生の頃(早い!)
「初めてほんとうの意味で他者を思いやれた」「自分の恵まれた環境を客観的に見られた」
そんな変化を自覚した時だったと書かれています。
このエピソードを読み、私も自分の子どもが一つの大きな試練を乗り越え、泣きながら感謝の言葉を伝えてくれた日のことを思い出しました。
あの瞬間、あの子も大人になったのだと感じました。
中学生向けのエッセイですが、「大人になるって難しい…」と感じている大人にこそ響く言葉が詰まった、おまもりのような本です。
「おとなになんかならなくっていい、ただ自分になっていってください」
優しい語り口で、節目の季節に、そっと寄り添ってくれます。
何かにつまずいた時に読み返すと、また一歩を踏み出す元気がもらえるのではないでしょうか。
次にご紹介するのは、こちらの本です。

『ぼくを探しに』
(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)
「何かが足りない それでぼくは楽しくない 足りないかけらを 探しに行く」
シンプルな絵と文なので、さらっと読むことができます。けれど、とても哲学的で、“大きい人向け”の絵本といえます。
読んだ後の受けとめ方はきっと人それぞれですが、人生の歩み方について深く考えさせられます。
人生は山あり谷あり。つらい時は立ち止まっても、後戻りしてもいい。
完璧じゃなくても、不完全なままでも、ありのままの自分を受け入れていけば人生は楽しい。
そんな前向きなメッセージを感じられる一冊です。
続いては、こちら。

『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』 (荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)
荒井良二さんといえば、児童文学界のノーベル賞と呼ばれるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を、日本人として初めて受賞したことで知られる絵本作家です。
その独創的な色づかいと世界観は国内外で高く評価され、これまでに数多くの賞を受賞してきました。
絵本だけでなく、アート作品や舞台美術など幅広い表現活動にも取り組み、常に新しい表現を探し続ける姿勢が、多くのファンを魅了しています。
荒井良二さんの代表作のひとつ『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』は、読む人の心をふっと軽くしてくれる絵本です。
ページをめくるたびに広がる色彩豊かな世界。
どこまでも走っていけそうな力強く駆ける馬とぼくの姿を見ていると、こちらも自然に元気や希望が湧いてきます。
「今日の自分には、思っている以上の力がある」
主人公のまっすぐな気持ちが、子どもにも大人にもやさしく響きます。
特別なことをしなくても、毎日はよろこびと感謝の連続。
気持ちひとつで世界はどこまでも広がっていく──
そんな前向きな感覚が、独特の絵とことばで描かれています。
最後は、こちらの絵本です。

『たくさんのドア』 (アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)
作者は、ベストセラー『ちいさなあなたへ』を書いたアリスン・マギー。
未来へ踏み出す子どもたちにエールを送る絵本です。
子どもたちの目の前に並ぶ“たくさんのドア”。
長い人生の中で、それらを一つひとつ自分の力で開けていく。
どんな未来が待っていても、そのドアを開ける力は必ずあなたの中にある──
そして、いつでも見守り、応援しているよ──
静かで力強いメッセージが胸に残ります。
卒業や進級など、新しい一歩を踏み出す季節にぴったりです。
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人生の節目にそっと背中を押してくれる本や絵本を集めてみました。
皆さまの春が、あたたかく、素晴らしいものになりますように。
心から応援しています。
<紹介資料>
『おとなになるってどんなこと?』(吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)
『ぼくを探しに』(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)
『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』(荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)
『たくさんのドア』(アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)
『ちいさなあなたへ』(アリスン・マギー/ぶん,ピーター・レイノルズ/え,なかがわ ちひろ/やく 主婦の友社 2008.4)
<六華>
秋の夜長、なにを読む?
2025年9月11日(木)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、たがねです。
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。体感的には夏気分が抜けませんが、暦の上ではもう秋。期間限定メニューやスイーツで、一足先に秋を感じるようになりました。
9月の和風月名(旧暦での呼び名)である「長月」は「夜長月」から付けられたと言われています。秋分の日を過ぎたあたりから冬に向けて日照時間が短くなり、夜が少しずつ長く感じられるようになりますね。そんな夜が長い季節だからこそ、ゆったり過ごす時間が楽しみになります。
秋の夜長に楽しめることはいろいろありますが、図書館としてはやっぱり読書をおすすめしたいところ。
でも、いざ読書しようと思っても、読みたい本がなかなか見つからないことはありませんか? 気分を変えて、いつもは選ばないジャンルに挑戦してみたい時もありますよね。
今回は、秋の夜長のお供になる本選びに役立つ本をいくつかご紹介したいと思います。
まずはこちら、

『人生を狂わす名著50』( 三宅 香帆/著 今日 マチ子/絵 ライツ社 2017.10)
新書大賞2025を受賞した『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題の三宅香帆さんによる書評集です。
本を読むことで考え方や生き方が大きく変わってしまうことを三宅さんは「人生を狂わす」と表現しています。
そんな人生を狂わす名著50冊を、気軽な語り口で紹介。まるで友達とおすすめ本を語り合うような軽やかな文体でスルスル読み進められます。さらに、各章の最後に「次に読みたい本」も3冊ずつ紹介してくれます。きっと気になる本が見つかると思います!
図書館には、この本以外にもいろんな書評集があります。書評の本は、請求記号019.9です。ぜひ手に取ってみてくださいね。
次に紹介するのはこちら、

『ブックデザイン365』( パイインターナショナル/編著 パイインターナショナル 2020.3)
本を選ぶ時、表紙に惹かれて思わず手に取ったことはありませんか? 表紙買いするという方も多いと思います。
この本は、文芸書から辞典までさまざまな本の、思わず手に取りたくなる装丁を365冊以上紹介しています。大きな写真とともに、書籍の概要やデザインコンセプトなどの情報がコンパクトにまとまっていて、眺めるだけで楽しい1冊です。ページをめくるたびに「こんな見せ方があるんだ!」と発見があり、本の楽しみ方がちょっと広がります。
この本の中で紹介されている本から気に入ったデザインの表紙を選んで読んでみるのも楽しそうですね。
図書館でも、新刊コーナーや展示棚、書架に表紙を見せて並べています。ぜひそちらにも注目してみてください。
最後に紹介するのはこちら、

『おかしな本棚』( クラフト・エヴィング商會/著 朝日新聞出版 2011.4)
この本は、不思議な雰囲気が漂う本棚をテーマにした本です。「頭を真っ白にするための本棚」や「波打ち際の本棚」などのタイトルがついた本棚が写真とともに紹介されています。写真で見えるのは背表紙だけですが、眺めていると「どんな本なんだろう?」と想像が広がっていきます。紹介されている本棚には実在しない本も混じっていますが、ほとんどは実際にある本です。図書館で所蔵している本もあるので、探して読んでみてください。
図書館の本棚もずらっと並んだ背表紙を見ているとワクワクしますよね。
特に展示コーナーは定期的にテーマを入れ替えているので、期間限定の本棚が見られます。普段はあまり手に取らないジャンルの本とも出会えるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
そして、この図書館ブログでも本選びのお手伝いができるかもしれません。スタッフによるおすすめ本紹介の記事がたくさんあり、カテゴリー「おすすめ本」からまとめてご覧いただけます。過去の記事でもたくさんの本を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは、夜更かしはほどほどに!
秋の夜長に充実した読書時間を楽しんでくださいね。
<参考資料>
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅 香帆/著 集英社 2024.4)
『人生を狂わす名著50』(三宅 香帆/著,今日 マチ子/絵 ライツ社 2017.10)
『ブックデザイン365』(パイインターナショナル/編著 パイインターナショナル 2020.3)
『おかしな本棚』(クラフト・エヴィング商會/著 朝日新聞出版 2011.4)
<たがね>
和菓子をたのしもう!
2025年6月12日(木)|投稿者:kclスタッフ
はじめまして、たがねと申します。
新しくブログを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。
さて、私の名前「たがね」は桑名名物のたがねせんべいからいただきました。歯ごたえのある食感とたまり醤油の味がクセになる美味しさですよね。
せんべいといえば和菓子の仲間ですが、みなさんは6月に「和菓子の日」という記念日があるのをご存じですか?
6月16日の和菓子の日は、全国和菓子協会によって昭和54年(1979)に制定されました。これは、厄除けを願ってこの日に和菓子を食べる「嘉祥菓子(かじょうがし)」の習わしを由来としています。この風習が始まったのは平安時代。疫病が蔓延した日本で年号を「嘉祥」と改め、その年の6月16日に、16個の和菓子を神前に供えて疫病除けを祈ったとされています。江戸時代には「嘉祥の日」として親しまれ、江戸城では2万個もの和菓子が大名や旗本にふるまわれたそうです。
(『季節を愉しむ366日』 三浦 康子/監修 朝日新聞出版 2022.3 より)
ということで、今回は和菓子に関する本をいくつかご紹介したいと思います。
和菓子といえば、味だけでなく季節感あふれる美しい見た目も楽しみのひとつですよね。
最初にご紹介するのは、目で楽しむ和菓子の世界をじっくり味わえる、こちらの本です。

『江戸時代の和菓子デザイン』( 中山 圭子/著 ポプラ社 2011.4)
この本は、徳川家御用達の菓子屋が残した菓子絵図帳をもとに、植物や動物、自然などのモチーフ別に再構成されたカラーデザイン集です。
江戸時代、花鳥風月をかたどった上品な和菓子は裕福な上流階級だけが味わえる高級品でした。そうした「上菓子(じょうがし)」を注文する際に使われたのが、菓子絵図帳です。
本書では、当時の職人たちが工夫を凝らした意匠や、季節感あふれる華やかなデザインが多数紹介されています。植物や風景だけでなく、動物や文様、名所までもが菓子の意匠に取り入れられており、和菓子の表現の幅広さに改めて驚かされます。
和菓子が単なる「食べもの」ではなく、芸術品として人々の心を豊かにしていたことが、ページをめくるたびに伝わってくる1冊です。
和菓子のデザインの奥深さを感じたところで、次にご紹介するのは、素朴だけど実は奥が深い「ようかん」を掘り下げるこちらの本です。

『ようかん』(虎屋文庫/著 新潮社 2019.10)
「ようかん」と聞くと、どこか地味なお菓子という印象を持つ方もいるかもしれません。甘くて固くて、昔ながらのおやつ、そんなイメージがこの本を読むと大きく変わります。ようかんで有名な株式会社虎屋の資料室である虎屋文庫が監修した本書は、ようかんの起源から現代に至るまでの歴史を丁寧に紐解き、四季折々の美しいようかんのデザインや、全国各地の名物ようかんを紹介しています。
特に印象的だったのは、ようかんにも季節の風物や自然を色とりどりに表現する文化があること。色や形、素材の組み合わせによって、桜の花や流水、月の光などを描き出すようかんは、まさに「食べられる芸術品」です。さまざまなデザインのようかんや、その意匠を記した菓子見本帳がカラーで豊富に収録されています。
さらに、ようかんの名前の由来や製法の変遷といった、知的好奇心をくすぐる内容も盛りだくさん。和菓子好きはもちろん日本の文化や美意識に関心のある方にもぜひ手に取っていただきたい1冊です。
さて、和菓子で大活躍するものといえばあんこ! さまざまな和菓子に使われていて、粒あん、こしあんをはじめ種類も豊富です。
次に紹介するのはそんな「あんこ」に注目した1冊です。

『究極のあんこを炊く』 (芝崎 本実/実験・検証・菓子作製・文 女子栄養大学出版部 2024.11)
あんこを炊くときに「びっくり水」や「渋きり」は本当に必要なのか。そんな疑問に科学の視点から向き合ったのが本書、『究極のあんこを炊く』です。
和菓子職人としての経験を持ちながら、調理科学の研究者でもある著者が、伝統技術を丁寧に検証し、「究極のあんこ」を理論と実験で導き出していきます。
基本の粒あん、こしあんに加えて、白あん、うぐいすあん、さらにはくるみあんやミルクあんとアレンジレシピも充実。
見た目にもわかりやすいプロセス写真が豊富に載っていて、初心者から上級者まで楽しめる内容になっています。
和菓子作りをより深く理解したい方にぴったりの、実践と知識が詰まった1冊です。
最後にご紹介するのは、あんこへの愛がたっぷり詰まったこちら。

『ずっしり、あんこ』 (青木 玉/[ほか]著 河出書房新社 2015.10)
こちらは、芥川龍之介、手塚治虫、糸井重里や上野千鶴子といった多彩な作家や文化人による、「あんこ」にまつわるエッセイを収めたアンソロジーです。
おはぎ、ようかん、たい焼きなど、さまざまな和菓子の思い出や、日常の中での甘味とのかかわりが、それぞれの筆致で綴られています。
なかでも私の印象に残ったのは、歌人である穂村弘さんの「あんパン」。駅の売店であんパンを買った何気ない場面から始まりますが、エッセイらしからぬ奇想天外な展開に引き込まれ、夢中で読み進めてしまいました。
同じ「あんこ」というテーマでも、書き手によって語り方はさまざま。まるで、どのお菓子になるかで表情を変えるあんこのようです。気になる作家のエッセイから、ちょっとつまんで読んでみるのもおすすめです。
今回ご紹介した本以外にも、図書館にはたくさん和菓子に関連した本があります。ぜひ探して読んでみてください。
和菓子の本をたくさん読んだので、無性に食べたくなってきました。今年の嘉祥の日には、和菓子を食べて健康を祈願してみたいと思います。みなさんもぜひ嘉祥の日を楽しんでみてください!
<参考資料>
『季節を愉しむ366日』(三浦 康子/監修 朝日新聞出版 2022.3)
『江戸時代の和菓子デザイン』(中山 圭子/著 ポプラ社 2011.4)
『ようかん』(虎屋文庫/著 新潮社 2019.10)
(芝崎 本実/実験・検証・菓子作製・文 女子栄養大学出版部 2024.11)
『ずっしり、あんこ』(青木 玉/[ほか]著 河出書房新社 2015.10)
<たがね>
疲れと悩みに寄り添う本
2025年5月6日(火)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、しちりです。
新年度が始まって1か月が経ちましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
新しい環境になる人もいれば、新しい人を迎え入れる人もいるかと思います。
中には、忙しく働き、疲れたり神経をすり減らす1か月を過ごした方もいるのではないでしょうか?
環境の変化で、疲れや悩みが出てくる時でもありますね。
今回は、そんな時に寄り添ってくれる本をご紹介したいと思います。
まず、1冊目はこちら。

『挫折しそうなときは、左折しよう』 マーク・コラジョバンニ/文,ピーター・レイノルズ /絵,成田 悠輔/訳 光村教育図書 2023.5
だじゃれ? と思わず笑ってしまいそうな絵本ですが、不安に思っている時には逆にこの楽しい題名がいいのかもしれません。
誰でも挫折しそうな時はありますよね。これでいいのかな? また失敗しちゃうかな? 私たちは日々考えながら過ごし、決断しなくてはいけません。不安を感じる時もあると思います。
そんな時、どうすればいいのか?
そう、「左折する」のだそうです。
これだけだと??? と思うかもしれませんが、読んでいただければ、「左折する」とはどういうことなのかがよくわかります。
自分の気持ちの整理の仕方や前向きに考えるヒントが、わかりやすく描かれており、読んだ後には心がすーっと軽くなります。
「左折」の意味をかみしめることができます。
絵本ではありますが、大人でも充分に堪能できる内容です。親子で読んでも楽しめます。
経済学者で起業家の成田悠輔(なりた ゆうすけ)さんが、翻訳をされているのも注目です。
次はこちら。

『休養学』 片野 秀樹/著 東洋経済新報社 2024.3
仕事、家事、育児、介護等、私たちは日々忙しく働いています。
疲れていてもやることがたくさんあって休めない。
休んでも疲れがうまくとれない。
そんな人もいるのではないでしょうか?
そんな方に読んでいただきたいのが、この本です。
休み方を20年間考え続けた著者が、「疲れとは何か」、「疲れているのに休まずにいるとどうなるのか」、「どんな休み方をすればよいのか」を解説してくれます。
だらだらと寝ているだけでは、疲れはとれません。
疲れのメカニズムと対処法を正しく理解することで、上手に疲労を回復し、自分に休養を与え、生活の質まで向上することができます。その秘訣がこの本には詰まっています。
身体だけでなく、考え方も前向きになる休養の方法で、毎日を生き生き過ごしてみませんか?
最後の1冊はこちらです。

『だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?』 ロリ・ゴットリーブ/著,栗木 さつき/訳 海と月社 2023.4
この作品は著者自らの経験を書き記したものです。彼女は、現役のセラピストであり、作家の仕事もこなすシングルマザー。
そのセラピストがセラピーに通うという、なんとも不思議な内容です。
彼女のところには、さまざまな人が患者としてやってきます。
暴言をはきまくるハリウッドのプロデューサー、結婚直後に癌で余命を宣告された女性、離婚歴のあるうつ病の女性等々。
彼女はセラピストとして、これらの患者に真正面から向き合い、信頼関係を築くために懸命に寄り添い、的確なアドバイスを繰り出します。
忙しいながらも充実した日々を送っていました。
ところが、つきあっていた彼氏が突然別れを宣告し、彼女のもとを去ってしまいます。
さあ大変。
友人に勧められ、セラピーを受けることになるのですが、いざ自分が患者の立場になると、ひたすら元カレを非難し続け、泣きわめき続ける…。
セラピストとしての、冷静で努力家の著者の姿はどこにいったの? と思うくらいの取り乱しようです。
彼女を担当した男性セラピストは、今までのセラピストの手法とはかなり違うやり方をする、変わった人物でした。そんな彼は、著者の真の悩みをズバリと言い当て、彼女をドキリとさせます。彼女は、反発しながらもセラピーに通うことになるのですが…。
セラピストとして患者と向き合い、一方で患者としてセラピストと対峙する彼女。一体どうなるのか、目が離せない展開に引き込まれます。
やがて、著者自身と彼女の患者たちが、それぞれ自分の悩みと向き合い乗り越えていく場面では、セラピストと患者の強い絆を感じることができ、感動で涙がとまりませんでした。
人は、深い悲しみや悩みを抱えていても、自分自身で再生することができる、そんな自信をつけさせてくれる本です。
今回は、3冊の本をご紹介しました。
疲れた時、不安になる時、あなたに寄り添い、あなたの心を癒してくれる本がきっとあると思います。
図書館でじっくりゆっくり本を読んでいただければ幸いです。
<紹介資料>
・『挫折しそうなときは、左折しよう』 マーク・コラジョバンニ/文,ピーター・レイノルズ /絵 成田 悠輔/訳 光村教育図書 2023.5
・『休養学』 片野 秀樹/著 東洋経済新報社 2024.3
・『だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?』 ロリ・ゴットリーブ/著,栗木 さつき/訳 海と月社 2023.4
<しちり>
浮世絵ってなんだ?
2025年2月1日(土)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、かぶらです。
暦の上ではもうすぐ春。しかし、まだまだ寒い日が続きますね。
あんまり寒いと家に籠りがちになってしまいますが、少しでも暖かな日にはお散歩がてら図書館へお越しになりませんか?
中央図書館では、3月25日(火)まで4階「歴史の蔵」前にて郷土特集「浮世絵に見る桑名」を開催中です。
あの有名絵師が描いた桑名や、桑名をテーマとした浮世絵によく見られる“ある物”についてなどをパネルでご紹介しています。
江戸の人々が見た色鮮やかな「描かれた桑名」を、ぜひご覧ください。
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ところで、浮世絵と聞くと、どんな絵を思い浮かべますか?
日本髪を結った美人画、ド迫力の役者絵、風景を鮮やかに切り取った名所絵…
思い浮かぶものは数あれど、ではその浮世絵とは一体何なのか?どうやって描かれているの?
今回は、そんな知っているようで実は知らない浮世絵にまつわる資料をご紹介します。
まずは、浮世絵とは何か?どう描かれているのか?の疑問を一挙に解決してくれるこちら。
日本文化歴史研究家でもある著者が「いいなぁ」と思った浮世絵を厳選し、それをもとに浮世絵の世界を紹介してくれる入門書です。
ただ作品そのものだけではなく、浮世絵の制作工程や、絵師に比べると見落とされがちな彫師・刷師による超絶技巧なども紹介されています。
浮世絵が生まれた江戸時代から明治時代初期の新聞錦絵まで、豊富な浮世絵をオールカラーで楽しめる一冊です。
そういえば、どこかで桑名の風景を描いた浮世絵を見たことがあるような、ないような…?
でも誰の作品だったのかわからない!という方におすすめなのが、こちら。
2013年に桑名市博物館で開催された「特別企画展 北斎・広重・国芳 浮世絵に見る東海道五十三次・桑名」の公式図録です。
桑名市博物館所蔵作品のほか、全国各地からお借りした桑名を描いた浮世絵が収録され、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳等が描いた色鮮やかな桑名を一挙にご覧いただけます。
作品解説や論考もあり、読み応えたっぷりです。
日本各地の博物館や美術館に大切に収蔵されている浮世絵は、世界中の博物館や美術館でも見られます。
中でもイギリスの大英博物館では「北斎展」を開催するほどのコレクションがあり、現地の人々にとっても浮世絵は身近な存在となっているようです。
世界中の人々を魅了する浮世絵。
そんな浮世絵に魅せられた、ある一人の芸術家の人生を書いた作品があります。
売れない画家・ゴッホと、そんな兄を献身的に支える弟で画商のテオドルス。
代表作「ひまわり」や、本書の表紙にも使用された「星月夜」で知られ、日本人に広く愛されるゴッホですが、生前に売れた彼の作品はたった1点だけだったといいます。
そんな彼が抱えた孤独と闇、そこに刺した一筋の光“浮世絵”との出会いとその後を、フィクションとノンフィクションを織り交ぜて書かれた、読み始めたら手を止めることができない作品です。
本書に登場する日本人画商「林忠正」は、明治期に実在した人物です。
ゴッホはよく知っていても、彼の名はあまりなじみがない、という方も多いのではないでしょうか。
彼とゴッホが実際に友人関係にあったかはわかりませんが、当時の日本では屑同然に扱われた浮世絵を、世界に誇る日本の芸術として広めた手腕を知ることが出来る一冊がこちら。
林忠正は嘉永6年(1853)に越中国高岡(現在の富山県高岡市)に生まれ、大学南高(現在の東京大学)でフランス学を学びました。
明治33年(1900)にフランス・パリで開催されたパリ大博覧会では、日本の事務総長を務めています。
語学力と商才、そして美術作品に対する深い愛情を持ち合わせた彼がいたからこそ、貴重な浮世絵が失われることなく今も世界中で大切にされていることがよくわかる一冊です。
本書では北斎の代表作「神奈川沖波裏」に深く影響を与えた、といわれる「波の伊八」についても取り上げています。
「波の伊八」とは、彫工・武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)のことで、彼の彫刻作品「波に宝珠」は北斎の「神奈川沖波裏」の波によく似ています。
伊八の作品が北斎に影響を与えたように、北斎をはじめとした浮世絵師の作品もまた、後の芸術家に多くの影響を与えました。
明治に入ると、新政府は近代化を推し進めるため西洋の技術をどんどん取り入れました。
印刷技術もそのひとつで、300年もの間日本で広く用いられてきた木版印刷は衰退し、版元の数も次第に減ってしまいました。
それでも、月岡芳年や小林清親ら現役浮世絵師により、版画の技術は紡がれていきます。
当時、世界の愛好家に好まれたのは北斎や歌麿など江戸期の有名浮世絵師の作品でしたが、国内では伊東深水や吉田博、川瀬巴水など新しい作風の絵師が登場し、「新版画」が確立されました。
現在では新版画も江戸期の浮世絵師と同様に世界で愛され、Apple者の共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏も新版画の熱心なコレクターであったそうです。
オランダの美術商でキュレーターである本書の著者も日本の版画に魅了された一人で、各地で日本美術を紹介する展覧会を企画し、アムステルダムの私設美術館「日本の版画」の館長兼キュレーターを務めています。
そんな彼が厳選した美しい「新版画」を楽しめる一冊です。
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今回ご紹介いたしました資料の他にも、当館には浮世絵に関する資料がたくさんございます。
図書館へ行くのは難しい…という方は、次のサイトからご覧いただけます。
お家で、もしくは旅先などで美しい日本の芸術に触れてみてください。
●国立国会デジタルコレクション
国立国会図書館所蔵の錦絵のうち、江戸期のものはほぼ全て画像公開されています。
対象欄の「錦絵」を選択し、階層欄の「巻号を除く」のチェックを外して検索してください。
●ジャパンサーチ
ジャパンサーチは、国が保有する様々な分野のコンテンツのメタデータを検索・閲覧・活用できるプラットフォームで、国立国会図書館がシステムを運用しています。
気になる浮世絵師の名前や作品を入力すると、様々な資料をご覧いただくことができます。
●デジタル浮世絵博物館
立命館大学アート・リサーチセンターが運用する浮世絵のデータベースです。
国内だけでなく、世界の美術館・博物館のデータベースからも浮世絵をご覧いただけます。
<参考資料>
『面白いほどよくわかる浮世絵入門』(深光 富士男/著 河出書房新社 2019)
『北斎・広重・国芳』([葛飾 北斎/ほか画],桑名市博物館/編集 桑名市博物館 2013)
『たゆたえども沈まず』(原田 マハ/著 幻冬舎 2017)
『海渡る北斎』(神山 典士/文,蟹江 杏/絵 冨山房インターナショナル 2023)
『新版画の世界』(クリス・ウーレンベック/著,ジム・ドウィンガー/著,フィーロ・オウウェレーン/著,古家 満葉/訳監修,鮫島 圭代/訳 パイインターナショナル 2023)
『海を越えた日本人名事典 新訂増補』(富田 仁/編集 日外アソシエーツ,紀伊國屋書店(発売) 2005)
<かぶら>


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