児童カテゴリの記事一覧
旅に出よう
2026年5月1日(金)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、六華です。
毎年5月16日は、「日本旅のペンクラブ」が制定した「旅の日」。
松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅へ出発した5月16日(旧暦1689年3月27日)に由来しています。
忙しい現代の中で「旅の心」を大切にし、旅のあり方を考えるきっかけとして設けられました。
![]()
『おくのほそ道』といえば、国語の教科書でもおなじみの作品です。
月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり
この冒頭の部分を音読した記憶がある方も多いのではないでしょうか。
けれど、作品全体の内容を詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
そこで、まずおすすめしたいのが、小学生向けに作られたこちらの本です。

『写真で読み解く おくのほそ道大辞典』(佐藤 勝明/監修 あかね書房 2022.1)
『おくのほそ道』は、江戸時代に書かれた紀行文学で、関東、東北、北陸から大垣までの約2,400キロメートル、156日に及ぶ旅の様子が描かれています。
芭蕉と弟子の河合曽良が旅の途中で詠んだ俳句や原文の内容が、美しい写真やイラストとともに紹介された、まさに『おくのほそ道』辞典の決定版!
ページをめくるたびに、まるで自分も旅に出ているような気持ちになれる一冊です。
また、俳句の季語や意味も掲載され、俳句の鑑賞方法から俳句作りのコラムまで、俳句について学習したい時にも役立ちます。
巻末に松尾芭蕉の記念館・資料館なども紹介されていますので、親子で訪れてみるのもおすすめです。
原文の言葉の美しさをじっくり味わいたい方には、次の本がぴったりです。

『すらすら読める奥の細道』(立松 和平/著 講談社 2004.1)
原文と現代語訳が見やすく並び、エッセイも添えられているので、タイトルの通りすらすら読めます。
芭蕉は人生そのものを旅になぞらえ、『おくのほそ道』の旅を終えたあとも歩みを止めません。
大垣から伊勢へ向かった旅の記録が『野ざらし紀行』です。
その道中、桑名で詠まれた俳句については、以前のブログ記事「文学と桑名~松尾芭蕉と泉鏡花~」(2024年2月10日)で詳しく紹介しています。こちらもご覧ください。
「旅の日」にちなんで、芭蕉の旅に思いを馳せてみるのも素敵です。
本を通して旅の空気に触れると、実際にどこかへ出かけたくなるかもしれません。

江戸時代の旅といえば、ひたすら歩き続けるもの。
では、現代のおじいちゃんと孫の二人旅はどんな風景になるのでしょうか。
そんな旅の姿を描いた絵本がこちらです。

『りょこう』(麻生 知子/作 福音館書店 2025.5)
こうたくんとおじいちゃんが電車で旅に出かける物語です。
車内で駅弁を食べ、旅館に泊まり、温泉に入って・・・そんな旅のワクワクが丁寧に描かれています。
おじいちゃんがこうたくんにシウマイを分けようとする場面など、温かいやりとりも魅力。
電車や旅館の様子が上から見えたり横から見えたりと、細部まで遊び心が詰まっていて、絵を眺めるだけでも楽しい発見がたくさんあります。
最後にもう一冊、旅をテーマにした絵本をご紹介します。

『ぼくのたび』(みやこし あきこ/作 ブロンズ新社 2018.11)
小さくて居心地のいいホテルを営む“ぼく”。
世界中から訪れるお客さんから知らない町の話を聞き、”ぼく”の町のことを語りながら、いつも心のどこかで旅への憧れをあたためています。
そして夜になると、夢の中で自由な旅へと出かけていくのです。
日常の場面はモノクロで、旅のシーンは淡い色彩で描かれています。
そのコントラストが、どこか儚く、ノスタルジックな雰囲気を生み出しています。
旅好きのみやこしあきこさんが、リトグラフという技法で紡ぎ出す世界は、読む人によって軽やかにも深くも感じられる、不思議な魅力に満ちています。
皆さんはこの絵本をどのように味わうでしょう。
ぜひ一度、ページを開いてみてください。
なお、絵本ができあがるまでの制作過程は、ブロンズ新社の公式YouTubeチャンネルでも
絵本『ぼくのたび』メイキングビデオとして紹介されています。
(https://www.youtube.com/watch?v=ObZgQ0DN9rc&t=4s)
![]()
桑名市立図書館では、さまざまな旅のガイドブックを借りることができます。
さらに「くわな電子図書館」を利用できる方(桑名市在住で、図書館の利用券をお持ちの方)は、旅行先でもスマホで『るるぶ』を読むことが可能です。館内にもポスターが掲示されています。
旅の準備にぜひご活用ください!
<紹介資料>
『写真で読み解くおくのほそ道大辞典』(佐藤 勝明/監修 あかね書房 2022.1)
『すらすら読める奥の細道』(立松 和平/著 講談社 2004.1)
『りょこう』(麻生 知子/作 福音館書店 2025.5)
『ぼくのたび』(みやこし あきこ/作 ブロンズ新社 2018.11)
<六華>
春、節目の季節に寄り添う本
2026年3月3日(火)|投稿者:kclスタッフ
はじめまして。六華(ろっか)と申します。
このたび、新しくブログを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。
私の名前“六華”は、桑名のシンボルでもある「六華苑」からいただきました。
二代目諸戸清六の邸宅であった六華苑。
建物は、洋館と和風建築が調和した国の重要文化財で、庭園は、四季折々の美しさで人々を魅了し、国の名勝にも指定されています。
洋館の設計は、鹿鳴館などでも有名なジョサイア・コンドルが手掛けています。歴史的価値も高い六華苑について知りたくなったら、ぜひ図書館にも足を運んでみてください。
![]()
さて、三月は卒業の季節。
図書館でも、この時期になると進学や新生活に向けた本を探しに来られる方が増えます。
節目を迎え、新しい世界へ踏み出す準備をする時期ですね。
少しずつ大人になっていく子どもたちを、心配しながらもまぶしい気持ちで見守る日々。
「そもそも大人になるってどういうことなんだろう?」と、考えることがあります。
そんな私の目に留まったのが、こちら、ティーンズコーナーの一冊です。

『おとなになるってどんなこと?』 (吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)
著者の吉本ばななさんは、ご自身が「初めて大人になった」と感じた瞬間を鮮明に覚えているそうです。それは中学生の頃(早い!)
「初めてほんとうの意味で他者を思いやれた」「自分の恵まれた環境を客観的に見られた」
そんな変化を自覚した時だったと書かれています。
このエピソードを読み、私も自分の子どもが一つの大きな試練を乗り越え、泣きながら感謝の言葉を伝えてくれた日のことを思い出しました。
あの瞬間、あの子も大人になったのだと感じました。
中学生向けのエッセイですが、「大人になるって難しい…」と感じている大人にこそ響く言葉が詰まった、おまもりのような本です。
「おとなになんかならなくっていい、ただ自分になっていってください」
優しい語り口で、節目の季節に、そっと寄り添ってくれます。
何かにつまずいた時に読み返すと、また一歩を踏み出す元気がもらえるのではないでしょうか。
次にご紹介するのは、こちらの本です。

『ぼくを探しに』
(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)
「何かが足りない それでぼくは楽しくない 足りないかけらを 探しに行く」
シンプルな絵と文なので、さらっと読むことができます。けれど、とても哲学的で、“大きい人向け”の絵本といえます。
読んだ後の受けとめ方はきっと人それぞれですが、人生の歩み方について深く考えさせられます。
人生は山あり谷あり。つらい時は立ち止まっても、後戻りしてもいい。
完璧じゃなくても、不完全なままでも、ありのままの自分を受け入れていけば人生は楽しい。
そんな前向きなメッセージを感じられる一冊です。
続いては、こちら。

『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』 (荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)
荒井良二さんといえば、児童文学界のノーベル賞と呼ばれるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を、日本人として初めて受賞したことで知られる絵本作家です。
その独創的な色づかいと世界観は国内外で高く評価され、これまでに数多くの賞を受賞してきました。
絵本だけでなく、アート作品や舞台美術など幅広い表現活動にも取り組み、常に新しい表現を探し続ける姿勢が、多くのファンを魅了しています。
荒井良二さんの代表作のひとつ『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』は、読む人の心をふっと軽くしてくれる絵本です。
ページをめくるたびに広がる色彩豊かな世界。
どこまでも走っていけそうな力強く駆ける馬とぼくの姿を見ていると、こちらも自然に元気や希望が湧いてきます。
「今日の自分には、思っている以上の力がある」
主人公のまっすぐな気持ちが、子どもにも大人にもやさしく響きます。
特別なことをしなくても、毎日はよろこびと感謝の連続。
気持ちひとつで世界はどこまでも広がっていく──
そんな前向きな感覚が、独特の絵とことばで描かれています。
最後は、こちらの絵本です。

『たくさんのドア』 (アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)
作者は、ベストセラー『ちいさなあなたへ』を書いたアリスン・マギー。
未来へ踏み出す子どもたちにエールを送る絵本です。
子どもたちの目の前に並ぶ“たくさんのドア”。
長い人生の中で、それらを一つひとつ自分の力で開けていく。
どんな未来が待っていても、そのドアを開ける力は必ずあなたの中にある──
そして、いつでも見守り、応援しているよ──
静かで力強いメッセージが胸に残ります。
卒業や進級など、新しい一歩を踏み出す季節にぴったりです。
![]()
人生の節目にそっと背中を押してくれる本や絵本を集めてみました。
皆さまの春が、あたたかく、素晴らしいものになりますように。
心から応援しています。
<紹介資料>
『おとなになるってどんなこと?』(吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)
『ぼくを探しに』(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)
『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』(荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)
『たくさんのドア』(アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)
『ちいさなあなたへ』(アリスン・マギー/ぶん,ピーター・レイノルズ/え,なかがわ ちひろ/やく 主婦の友社 2008.4)
<六華>
第29回「図書館を使った調べる学習コンクール」の受賞作品
2026年1月15日(木)|投稿者:kclスタッフ
第29回「図書館を使った調べる学習コンクール」(公益財団法人 図書館振興財団)の 受賞作品が発表されました。
全国から12万点を超える作品が応募され、桑名市からは「第21回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」で最優秀賞・優秀賞に選ばれた3作品が出品されました。
そして、気になる結果はこちら!
![]()
■優良賞(2作品)
・小学生の部(中学年)
「夜空の宝石箱~過去から未来へ~」
服部 永和さん(桑名市立長島北部小学校 4年)
・子どもと大人の部
「メダカの学校はどこにある?」
西田 紗季子さん(桑名市立在良小学校 1年)・西田 純さん(父)
■奨励賞(1作品)
・小学生の部(高学年)
「調べて広がる多肉植物ワールド」
平井 理菜さん(桑名市立大山田南小学校 6年)

受賞されたみなさん、おめでとうございます。
お子さん個人だけでなく、小学生以上のお子さんと一緒に大人の方でも応募できますので、みなさんが日常の中で興味・関心を持ったことをぜひ調べる学習コンクールの作品づくりに挑戦してみてください。
これからも、図書館は皆さんの調べる学習を応援・サポートいたします。
新年のごあいさつ 2026
2026年1月4日(日)|投稿者:kclスタッフ
あけましておめでとうございます
今年も桑名市立中央図書館とスタッフブログ「ブックとラック」を
よろしくお願いいたします
![]()
みなさま、お正月はいかがお過ごしでしょうか? 志るべです。
今年の干支は「午」ですね。今や、日々の暮らしの中で馬を目にする機会はなくなりましたが、かつて馬が身近にいた時代がありました。
江戸時代、桑名は東海道五十三次の内42番目の宿場町で、交通の要衝として重要な役目を担っていました。宿場には2つの役割がありました。ひとつは旅人に宿泊や休憩の場を提供する役割、もうひとつは人、物、情報を次の宿場へ運ぶ役割です。もちろん鉄道も車もありません。活躍したのが宿場に常備された「伝馬(てんま)」と呼ばれる馬でした。
公用の信書や荷物を人と馬が次の宿場まで運び、次々とリレー形式で目的地まで運ぶ制度を伝馬制度といいます。
慶長6年(1601)、「御伝馬之定」(『三重県史 資料編 近世4上』所収)が幕府から発布され、桑名宿には伝馬用の馬36疋(匹)を常備しておくことが定められました。そして、伝馬を利用するには「伝馬朱印状」(『三重県史 資料編 近世4上』所収)が必要でした。
馬だけでなく人も大活躍でした。その健脚ぶりには驚かされます。腹掛けに脚絆、はちまき巻いて飛脚箱をかついで走る姿、目に浮かびませんか? 大名や旗本から商人、名主、文人と利用層は拡大し、飛脚は次第にビジネス化していきます。御用(公用)荷物と町人荷物が同時に「公私混載」で運ばれていたといいます。
くわしくはこちら。

『飛脚は何を運んだのか』(巻島 隆/著 筑摩書房 2025.2)
『南総里見八犬伝』で有名な戯作者、曲亭(滝沢)馬琴の日記を読み解いて、飛脚について分析しています。馬琴は、江戸から伊勢国松坂(松阪市)に手紙を早便で、八日間を指定して出しています。早便は並便より短い規定日数(日限(ひぎり)という)で運ぶ特急便で、四日限(よっかぎり)、五日限、六日限などの日数設定がありました。手紙や原稿、資金や物資だけでなく各地の火災、地震、洪水といった情報も運ばれました。それによって人々は遠くで起きた災害の状況を知ることができたのです。
伝馬制度は、新政府が近代化を進める中、明治5年(1872)に廃止されました。
そんな頃、海外で人と馬はどういう関係にあったのでしょう?
明治10年(1877)、イギリスで『黒馬物語』という物語が発表されました。著者は、アンナ・スーウェル (Anna Sewell)、原題は「ブラックビューティ」(Black Beauty)。馬の視点で描かれた物語です。
『少年少女世界名作全集 6 黒馬物語』(ぎょうせい 1995.2)
著者は、子どもの頃のけががもとで一生足の痛みに苦しみ、『黒馬物語』を書いていた頃は外へ出ることもできなくなっていました。6年かけて作品を完成させ、出版の翌年に亡くなりました。生涯にこの作品1冊しか残していません。
訳者の足沢良子(たるさわ よしこ)さんが書かれた「解説」には、「彼女が生きた時代は、ビクトリア朝時代として、イギリスがもっとも富み栄えた時代でした。けれど富み栄えた都市の底辺には、ひどい貧困があったのです。(中略)彼女は作品の中で、その矛盾を、静かにけれど強く、馬という動物を通して訴えています」とあります。
また、馬について、「当時のイギリス人の生活には、なくてはならない動物でした。狩りや競馬のほかに、馬車というものが、現在の列車(当時、汽車はまだ、非常にぜいたくな乗り物でした)や車の役目を果たしていましたから」と書いています。
幼いころの黒馬ブラック・ビューティーは、牧場でかあさんと幸せに暮らしました。けれどその後、持ち主が次々と変わり、生活は一変します。つらい経験が描かれますが、著者の文章には馬への愛情、あたたかいまなざしが感じられます。
最後の1冊は、こちらの絵本。

『名馬キャリコ』(バージニア・リー・バートン/え・ぶん,せた ていじ/やく 岩波書店 1979.11)
作者は、『ちいさいおうち』や『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』でおなじみのバージニア・リー・バートン。
カウボーイのハンクと馬のキャリコが暮らすサボテン州は、どこにも囲いがなく、かぎがなく、牢屋がありません。それをいいことに、すごみやスチンカーと仲間たちは、牛どろぼうを企てます。さて、この悪漢どもをどうやって撃退するのか?
挿絵はモノクロで、見返しには写真のフィルムのようにすべての場面が順に載せられています。
最後のページは、みんなで新年を迎える場面で終わります。
かしこいキャリコのように、わたしたちも問題を解決していきたいものです。
どうぞ今年が平和な年でありますように。
![]()
<参考・紹介資料>
『日本交通史』(児玉 幸多/編 吉川弘文館 1992.11 )
『三重県史 資料編 近世4上』(三重県/編集 三重県 1998.3)
『飛脚は何を運んだのか』(巻島 隆/著 筑摩書房- 2025.2)
『少年少女世界名作全集 6 黒馬物語』(ぎょうせい 1995.2)
『名馬キャリコ』(バージニア・リー・バートン/え・ぶん,せた ていじ/やく 岩波書店 1979.11)
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン/文・絵,石井 桃子/訳 岩波書店 1991)
『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』(バージニア・リー・バートン/ぶん え,むらおか はなこ/やく 福音館書店 1961.8)
<志るべ>
「第21回桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」表彰式
2025年11月25日(火)|投稿者:kclスタッフ
2025年11月14日(金)に、第21回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクールの表彰式が行われました。
今年は100作品のご応募いただきました。
![]()

![]()
そのうち、
☆最優秀賞 1作品
☆優秀賞 2作品(うち、子どもと大人の部1作品)
☆奨励賞 17作品(うち、子どもと大人の部1作品、地域賞3作品)
が入賞し、22名の方々が表彰されました。
今年度の受賞作品の一覧はこちらからご覧いただけます。
➡ 第21回 桑名市図書館を使った調べる学習コンクール入賞作品発表(PDF)
みなさんの疑問・興味を持ったことを一生懸命調べる姿がとても素敵でした。
これからも調査のお手伝いが出来るよう、図書館スタッフ一同サポートしてまいります。
最優秀賞・優秀賞に選ばれた作品は全国コンクールへ出品されます。
入賞作品の閲覧をご希望の方は、児童コーナー窓口へおたずねください。

