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2022年5月6日のアーカイブ

2022年5月6日(金)AM9:00|投稿者:KCLスタッフ

#kclスタッフおすすめ本  『今日は誰にも愛されたかった』

【 とにかく読んでほしい本 】

『今日は誰にも愛されたかった』
(谷川 俊太郎/[著],岡野 大嗣/[著],木下 龍也/[著] ナナロク社 2019年刊)

 

 

この本には、詩人と歌人による詩と短歌の「連詩」と、本人たちによる「感想戦」が収録されています。
「連詩」とは、複数の詩人が同じ場に集い数行の詩を交互に書き連ねていくものですが、この本では、詩人と歌人がそれぞれ別の場で一編一首に三日をかけて制作しています。

 

詩人は谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう)さん、歌人は岡野大嗣(おかの だいじ)さんと木下龍也(きのした たつや)さん。やりとりはLINEで行われました。
岡野さんからスタートし、谷川さん→木下さん→谷川さん→岡野さんに戻るという形で進んでいきます。
「受け取った三日後にはバトンを渡す」というルールで、四ヶ月かけてできあがりました。
この順番でわかるとおり、岡野さんと木下さんの間に必ず谷川さんを挟んでいるので、全三十六作品の内、谷川さんが十八編、岡野さんと木下さんがそれぞれ九首を制作しています。

 

その後、谷川邸で「感想戦」が繰り広げられました。
受け取った作品をどう読み、どのように創作したのか。「感想戦」は三人の話を横で聞いているような気分で読みました。
谷川さんの詩に突如登場する「市川」なる人物に対して、岡野さん、木下さんが「市川」って誰だ? となるところでは、思わず、「そうそう、誰?」とあいづちを打ちました。

 

本の構成は、最初に、一ページ一作品で作者名の入った「連詩」があり、「感想戦」をはさんで、最後にもう一度、作者名をのぞいた「連詩」が掲載されています。
初めの「連詩」はあくまでそれぞれが独立した作品にみえるのですが、後の「連詩」は不思議、これはもう一つの作品、一編の詩です。最初に、後の「連詩」を読めば、「連詩」であることに気づかないかもしれません。

 

親子ほど年齢差のある谷川さんと岡野さん、木下さんが、お互いの詩や短歌についてとても楽しそうに話しています。
あとがきで谷川さんが書いているように、「我々三人が年齢は違っても、コトバといちゃつくことに眉をひそめたりはしない人種だから」こそできたことなのでしょう。

 

ぜひ、詩と短歌による、ちょっと不思議な「連詩」の世界をお楽しみください。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『今日は誰にも愛されたかった』

 

▼出版社
ナナロク社

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

※次回更新は2022年5月20日(金)の予定です