#kclスタッフおすすめ本 『どうぶつのおやこ』
2022年6月3日(金)|投稿者:kclスタッフ
【 気軽に読む本 】
『どうぶつのおやこ』
(薮内 正幸/画 福音館書店 1966年刊)
「字のない絵本」
いくつか出版されているのを知ってはいたが、私はそれをあまり選んでこなかった。
子どもが生まれ、夜に絵本を読むようになっても、私は短いストーリーのあるものや言葉の響きが楽しいものを好んで読んでいた。
二人目の出産後、健診に行くとブックスタートとして、『どうぶつのおやこ』をもらった。
渡される時に「この本は絵だけなので、自由に読んであげてね」と言われ、その時は「へー」と思ったくらいで深くは考えなかった。
その後、娘(第一子)がその絵本を見つけ、「読んで読んで」とねだる。よしよしと思い、読み始める。
表紙を見せ、「どうぶつのおやこ」ページをめくり…「うさぎがいるね~」、ページをめくり…「………」なかなか言葉が出てこない。
このやさしい感じのどうぶつの絵をみるだけでも楽しいなと思い、ペラペラとめくるが、娘が「おはなしは?」と要求する。悩みつつも適当にストーリーを考えて読み進める。
それも単調になり、もう限界と思った頃に、娘が自分で息子(第二子)に「読んであげる」と言い出した。
私は内心、(いいよいいよ、やってみな。難しいんだから。)と思っていた。
すると、娘は私のマネをし、表紙を見せ、「どうぶつのおやこ!」と始めた。
ひらがなが読めるようになった頃で表紙にだけある唯一の文字をどうどうと読んだ。
ひらがなが読めるようになったから、読みたいと言い出したのだろうと思いながらも、お手並み拝見。
ページをめくっても娘の読み聞かせはとまらない。
どうぶつのおやこが人間の親子のように会話をしており、会話が一段落すると次のページに進む。
「うまい!やるな。」と思い最後まで読んでもらった。
読後、とても上手だったし、面白かったと娘に伝え、その夜の絵本の時間は終了した。
自分がうまくできなかった悔しさを感じつつ、
「どうぶつの会話だけで話を成り立たせてたな。無理にストーリーを考えなくていいのかぁ。どうぶつ以外の絵(背景など)が何もないから、「〇〇へ行った」とか「△△をした」というストーリーが全然浮かばなかったもんなぁ。自分にも子どもの頃は想像力がいっぱいあったはずなのに。もう、そういう力もなくなってきてしまったんだな」と悲しく思った。
その後も、子どもたちは「どうぶつのおやこ」が好きなようで、何度も読んだ。
それからは、そんなに思い込まず、気軽に読むようにしている。
適当に読む方が思ってもみなかった面白い展開になり、私も楽しく読めるようになった。
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※次回更新は2022年6月17日(金)の予定です
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