#kclスタッフおすすめ本 『一万円選書』

2023年2月17日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 読書が苦手な人へ 】

『一万円選書』
(岩田 徹/著 ポプラ社 2021年刊)

 

“一万円選書”という言葉を耳にした事はありますか?
北海道砂川市にある町の本屋さんいわた書店では、二代目店主・岩田徹さんが“たったひとりのための本”を選び、送り届けるというサービスを行っています。
2007年に始まったこのサービス。7年間は鳴かず飛ばずで、利用者は月にひとりふたり。
しかし、2014年にある深夜番組で取り上げられた事がきっかけとなって、今では全国から1年間に約3,700人もの応募がくる大人気サービスとなりました。

 

人口1万6千人ほどの北海道の町で書店を営む岩田さんが、たったひとりで、利用者の思いが込められた「選書カルテ」を参考に本を選ぶ。
いつか私も…と思いながらも、あまりの人気ぶりに応募すら出来ずにいたところ、2021年に今回ご紹介する『一万円選書』が出版されました。

 

ご両親がはじめられた書店を引き継ぐまでのこと。
“一万円選書”のはじまりや、どのように本を選ぶのか。
そして、これまでにどんな本を選び、届けてこられたのか。

 

この本を手に取った時、「今後の読書の参考にしたい」という気持ちで読み始めました。
私の望み通り、巻末にはブックリストが掲載され、本文中ではその本をどんな人物に、どういう意図を持って選んだのかが紹介されています。
助かります!ありがとうございます!と、心で何度も感謝の言葉を叫びながら気になる書名をメモしました。

 

けれど、この本はただ「本を紹介している」だけではありません。
現在の出版業界・書店のあり方。
読書というものへの取り組みについて。
文字から滲み出る岩田さんの強い思いに、ただ深く深く頷きました。

「一万円選書を見つけて広げてくれたのはスマホ世代の方たちです。」
なぜ、一瞬のブームに終わらず、今尚多くの注文が入る人気サービスとなったのか。
なぜ、スマホ世代の方たちに一万円選書が広く受け入れられたのか。
その理由を読んだ時、私の中にある“スマホ世代の方たち”への考え方が大きく変わりました。

 

 

今回、「読書が苦手な方へ」というテーマでこの本を選んだ理由は、本文中のそこかしこに散りばめられています。
『一万円選書』は新書で、薄く手に取りやすい本です。
どの章から読みはじめても面白い内容となっていますので、ぜひ苦手意識のある方にも気軽に手に取っていただきたいです。
個人的にオススメしたいのは第4章ですが、誰かを想って選ばれた本が紹介されている第3章から読むのも面白いと思います。

 

いやぁ、でもやっぱり細かい字を読むのは…という方は、一度映像で岩田さんの取り組みをご覧いただくのはいかがでしょう?

『プロフェッショナル 仕事の流儀 [122] 運命の1冊、あなたのもとへ』
(NHKエンタープライズ 2018年放送)

 

岩田さんの取り組みを追ったドキュメンタリー映像です。
DVDは貸出も、館内で視聴いただく事も出来ます。
映像を見て、興味を持たれたら本を読んでみる。
『一万円選書』でもいいし、映像内で紹介された本でも素敵。

 

「大事なのは、自分は何者なのかでなく、何者でないかだ。
急がないこと。手をつかって仕事すること。
そして、日々のたのしみを、一本の自分の木と共にすること。」

 

岩田さんが紹介された一冊、長田弘さんの『深呼吸の必要』からの言葉です。

 

みなさんの日々のたのしみの一つに、本を読むことが加われば幸いです。

 

 

▼貸出状況は、こちらから確認いただけます
『一万円選書』
『深呼吸の必要』
『プロフェッショナル 仕事の流儀 [122] 運命の1冊、あなたのもとへ』

 

▼出版社/書影画像元
ポプラ社

 

 

※次回更新は2023年3月3日(金)の予定です

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