「たべる」

2022年10月1日(土)|投稿者:kclスタッフ

こんにちは。ばんこです。そろそろ食欲の秋。
今回は「たべる」をテーマに、いろいろな本をご紹介します。

記憶に残っている中で、一番最初に「おいしそうだなぁ」「たべたいなぁ」と思った絵本です。

 

しろくまちゃんのほっとけーき
わかやま けん/[絵],森 比左志/[文],わだ よしおみ/[文]
こぐま社 1980

 

知らない人はいないのではないか?と思われるほど、長く読み続けられている本です。

現在でも、書架に並べばすぐに貸し出しされる人気ぶり。
桑名市のゆめはま文庫(2歳Cセット)にも入っています。
実は、ほっとけーきを作って、お片付けをするまでに、しろくまちゃんのエプロンは、色が何回も変わります。
何回変わるのか?何色に変わるのか?知っている人は、スゴイ!!

 

好きなものを「たべる」ことは、とても楽しいことですが、嫌いなものを「たべる」のは、大人になってもつらい…
誰かかわりに食べてくれないかなぁと、みなさん一度は思った事があるのではないでしょうか?

たべてあげる
ふくべ あきひろ/ぶん,おおの こうへい/え 教育画劇 2011.11

 

りょうたくんには、好き嫌いがたくさん。
誰かかわりに食べてくれないかなぁと思っていると、小さいりょうたくんが登場し、りょうたくんの嫌いなものを全部食べてくれるようになります。
何でも食べてくれる小さいりょうたくんは、どんどん大きくなっていき・・・
さて、最後に一体何を食べるのでしょうか?
衝撃的なラストです。

 

同じりょうたくんですが、この本にでてくるりょうたくんは、食べないわけではないのです。
でも、早く遊びに行きたくて、お茶碗に、ほんのすこ~し、お昼ごはんのシラス丼を残してしまっただけ・・・

しらすどん
最勝寺 朋子/作・絵 岩崎書店 2021.7

 

気が付くと、りょうたくんは、自分のお茶碗に残された小さなシラスになっています。
この後、りょうたくんは残されたシラスがどうなっていくのかを、身をもって体験します。
きれいに食べる、のこさず食べる。
大事な事です。

 

好き嫌いがあったり、残したり・・・この本は、そんなことありません。
好き嫌いなし!なんでも「たべる」男の子のお話。

いただきます。ごちそうさま。
あさの あつこ/作,加藤 休ミ/絵,東 雅夫/編 岩崎書店 2021.1

 

作者は、あさのあつこさん 岩崎書店の怪談えほんシリーズの一冊です。
このシリーズは、大人向けかな?と思う本もあるのですが、これは、ストレートにこわい。
なんでも「たべる」ことが、こんな風に怖い絵本になるとは・・・
なんでも「たべる」ことを、ちょっと考えてしまうようになるかも?

 

しんでくれた
谷川 俊太郎/詩,塚本 やすし/絵 佼成出版社 2014.4

自分たちの食べている物、お肉もお魚も、スーパーのパックしか知らない、という子もいるかもしれません。
毎日食べている物が、どのようにして自分の口に入ることになったのか、当たり前ですが、食べ物も命です。
谷川さんの詩は、本当に大切な事をわかりやすく教えてくれます。

 

「好き嫌いはダメ」「ご飯はキレイに食べなさい」言われたことも言ったことも、嫌になるくらいたくさんありますが、気持ちも所作も、ちゃんと「たべる」を子どもに伝えること、難しいなぁと思います。
自分の身を振り返れば、あまりきつく言うこともためらわれ、きれいごとばかりもちょっとなぁ・・・という時の絵本です。

読み終わった後、すこし考える余白のあるような絵本は、子供が読んでも、大人が読んでもいいなぁ、と思います。
一緒に読んで、お互いちょっと考えることができたら、良い時間になるのではないでしょうか?

ぜひ、食欲の秋に、家族で「たべる」ことを考えるきっかけにしていただければと思います。

 

紹介資料

しろくまちゃんのほっとけーき
わかやま けん/[絵],森 比左志/[文],わだ よしおみ/[文]こぐま社 1980

たべてあげる
ふくべ あきひろ/ぶん,おおの こうへい/え 教育画劇 2011.11

しらすどん』最勝寺 朋子/作・絵 岩崎書店 2021.7

いただきます。ごちそうさま。
あさの あつこ/作,加藤 休ミ/絵,東 雅夫/編 岩崎書店 2021.1

しんでくれた
谷川 俊太郎/詩,塚本 やすし/絵 佼成出版社 2014.4

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#kclスタッフおすすめ本 『本日のメニューは。』

2022年9月23日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 気軽に読む 】

『本日のメニューは。』
(行成 薫/著 集英社 2019年刊)

 

 

自分はお腹に心がある人間なのかもしれない。
料理がテーマの本を読むと、よくそう思います。
アツアツの湯気、ほおばる描写。
本に出てくる食べ物というのは、何故か皆とても美味しそうに見えます。
大して凝った料理でなくても不思議と「食べたーい」という気持ちにさせてくれるグルメの本が私は大好きです。

 

そして、そんなご飯に特に合うと思うのが、料理を取り巻く人間の人情ストーリー。
情と飯のマリアージュ、まさに絶品の一皿のような組み合わせです。

 

もちろん、これは私個人の感想なので、共感しない方も多いかもしれません。
ですが、もし「ちょっとわかる…」という方がいたら是非読んで欲しい本がこちら。

 

短編集『本日のメニューは。』です。

 

収録された短編は全部で5つ。その全てが一つの料理を中心に描かれています。
ラーメン、おにぎり、ロコモコ丼…出てくる料理は誰もが知っていて、愛されるようなものばかり。
そこに絡むのは、少しほろ苦い、でもどこにでもある現実と、それに負けないほど厚くてほろりと優しい人の情。
この配合がまた絶妙で、気づけば物語に引き込まれて、彼らの奮闘や涙に共感し、読み終えた後は、お腹がほっこり温まるような満足感が広がります。

 

そして何より料理の描写が本当に美味しそう。
「海苔がぱつんとはじける」おにぎりなど、よく知る料理だからこそ、これ絶対美味しいやつだ!と想像できてしまう見事な描写は憎たらしいほどですが、読まずにはおれません。
読めばお腹がすくのに、読み終えればお腹も心も満たされる。
グルメ小説の好きな人にはぜひ読んで欲しい。でも、そうでなくても、興味があれば一度は読んで欲しい。
そう思える逸品です。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『本日のメニューは。』

 

▼出版社
集英社

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

 

※次回更新は2022年10月7日(金)の予定です

博物館×中央図書館 令和4年度ML連携企画(第5弾)「秋の夜長の物語 –中世の逸話-」を開催します!

2022年9月20日(火)|投稿者:kclスタッフ

ML連携とは、博物館(Museum)と図書館(Library)が連携し、共通のテーマに沿って企画展示やセミナーを開催する協力活動です。

 

中央図書館では、博物館展示のテーマに合わせた関連書籍の展示や、博物館職員等によるセミナーを行います。

 

画像を選択すると拡大します(PDFファイル)

第5弾は博物館展示「秋・ものや想ふ」の開催に合わせて、関連書籍展示と桑名市博物館 歴史専門官によるセミナー「秋の夜長の物語 –中世の逸話-」を行います。

 

<セミナー紹介>

秋はなぜかもの悲しく想う季節です。これは月に対する古代人からのDNAかも知れません。『万葉集』を始め多くの歌集に月の名歌が出てきます。

そして、秋と言えば現代では「読書の秋」ですが、昔は「秋の夜長」に囲炉を囲んでお話が始まります。特に中世の戦いの中から生まれた物語は好まれ、『平家物語』などが生まれています。秋の夜長の物語を聞いて中世にものや想ってはいかがでしょうか?

 

※状況により変更・中止となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願いいたします。

 

<日程>

博物館×中央図書館 令和4年度ML連携企画 セミナー「秋の夜長の物語 –中世の逸話-」

講師:桑名市博物館 歴史専門官 大塚 由良美

日時:10月1日(土) 午後1時30分から午後3時

場所:くわなメディアライヴ 2階 第一会議室

定員:50名(先着順、事前申込制)※定員になり次第締め切ります

申込み方法:直接窓口、または電話で中央図書館へ

申込み開始:9月22日(木)午前10時30分~  ※受付は各日午後5時まで

問い合わせ:桑名市立中央図書館  〒511-0068 桑名市中央町三丁目79  0594-22-0562

#kclスタッフおすすめ本 『こんぴら狗』

2022年9月9日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 とにかく読んで欲しい 】

『こんぴら狗』
(今井 恭子/作,いぬんこ/画 くもん出版 2017年刊)

 

私は犬を飼っています。とてもやんちゃな性格なので、いつも目が離せません。
どこの家も同じだと思うのですが、犬や猫一匹で旅に出すなんて恐ろしい事、実行できませんよね。
ですが、江戸時代には犬だけで旅をさせることがあったそうです。

 

 

お伊勢参りをする「おかげ犬」は、長旅できない主人の代わりに一匹で伊勢まで旅したと言われています。

『犬の伊勢参り』
(仁科 邦男/著 平凡社 2013年刊)

『犬の伊勢参り』によると、江戸時代後期の大名、松浦静山は、日光東照宮へ参った帰り道で赤毛の参代犬に遭遇したそうです。
その犬は木札を首にかけ、紐には多くの小銭を通していました。
この赤犬と共にいた人が言うには、奥州からお伊勢参りをしているらしい。
共にいた人も犬が誰に木札を付けられたのかは知らず、とりあえずお伊勢参りに行く犬なのであれば日光までは一緒に連れて行ってあげようということで共にいたそうです。

 

そして数日後、松浦静山は早朝に再び赤犬と出会います。
静山が乗った輿の隣を、吠えもせず、また余所の犬に吠えられることもなくついてきました。
そうして過ごすうち、いつの間にか赤犬は消え、どこかに行ったようです。
静山は、犬が人の手を借りずに伊勢神宮へお参りをしていたことを珍しく思い、自らの随筆に書き記しました。

 

こういった資料が他にもいくつか残っていて、私はとても驚きました。
実際旅した犬たちは、どんな様子だったのだろう…。
どんな感じで江戸から伊勢へ、そしてまた江戸へ帰っていたのか…。

 

 

そこで『こんぴら狗』を紹介したいと思います。
この本は、江戸時代、裕福な商人の家で飼われていた犬・ムツキが、主人の代わりにこんぴら参りをするというお話です。
ムツキの飼い主である線香問屋「郁香堂」の跡継である長男が病で帰らぬ人となり、その翌年にはムツキを可愛がっていた娘、弥生も病になったため、ムツキは弥生の快癒を祈願する「こんぴら狗」としてこんぴら参りに向かうことになりました。

 

この本は、『犬の伊勢参り』に書いてあるような事がしっかりとしたストーリーで描かれていて、感情移入しながら読むことができました。
ムツキもたくさんの人たちに助けられ、いくつもの困難を乗り越えてこんぴら参りをやり遂げます。
中でも印象的なエピソードは、ムツキが三重県を通過する時のことです。

 

伊勢湾を船で渡る際、大嵐にあい、同行していたご隠居が風邪をひいてしまいます。
ムツキが心配そうにご隠居の様子を見るシーンがとても胸にぐっときました。
鈴鹿山脈を越えてもご隠居の体調は戻らず、このあたりからムツキにとってつらく悲しい旅路となっていき、ついにはご隠居も帰らぬ人となってしまいます。

 

ひとりになったムツキは、このあとどのようにして金毘羅までたどり着き、江戸へ帰還するのか…
この部分はぜひ読んでいただければと思います。

ひとつ言えることは、犬好きなら感動で号泣すること間違いなしです!興味がある人はぜひお手に取ってみてください。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『こんぴら狗』
『犬の伊勢参り』

 

▼出版社
くもん出版 (こんぴら狗)
平凡社 (犬の伊勢参り)

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

 

※次回更新は2022年9月23日(金)の予定です

博物館×中央図書館 令和4年度ML連携企画(第4弾)「北村けんじの児童文学観」を開催します!

2022年9月2日(金)|投稿者:kclスタッフ

ML連携とは、博物館(Museum)と図書館(Library)が連携し、共通のテーマに沿って企画展示やセミナーを開催する協力活動です。

中央図書館では、博物館展示のテーマに合わせた関連書籍の展示や、博物館職員等によるセミナーを行います。

 

画像を選択すると拡大します(PDFファイル)

 

第4弾は博物館展示「北村けんじ ―ぼくがサムライになった日―」の開催に合わせて、関連書籍展示と桑名市博物館職員によるセミナー「北村けんじの児童文学観」を行います。

 

北村けんじ(1929-2007)は、多度の小学校で教師として働きながら、また、その退職後も児童文学作家として活躍した人物です。

身近にあった多度の自然と人間をテーマに、多くの物語を生み出しました。今回のセミナーでは、北村けんじが手記に綴ったり、雑誌に寄稿した「児童文学観」-作家の児童文学そのものへの考えや自身の文学作品で描きたかったことを紐解き、児童文学作家として作品を執筆した作家の想いを紹介します。

 

博物館展示「北村けんじ ―ぼくがサムライになった日―」について、セミナーを聞いて、博物館展示への理解を深めてみませんか?

 

※状況により変更・中止となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願いいたします。

 

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企画名:博物館×中央図書館 令和4年度ML連携企画 セミナー「北村けんじの児童文学観」

講師:桑名市博物館 川端 蒼海

日時:9月17日(土) 午後1時30分から午後3時

場所:くわなメディアライヴ 2階 第一会議室

定員:50名(先着順、事前申込制)※定員になり次第締め切ります

申込み方法:直接窓口、または電話で中央図書館へ

申込み開始:9月10日(土)午前10時30分~  ※受付は午後5時まで

問い合わせ:桑名市立中央図書館  〒511-0068 桑名市中央町三丁目79  0594-22-0562

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