春、節目の季節に寄り添う本

2026年3月3日(火)|投稿者:kclスタッフ

はじめまして。六華(ろっか)と申します。

このたび、新しくブログを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

私の名前“六華”は、桑名のシンボルでもある「六華苑」からいただきました。

二代目諸戸清六の邸宅であった六華苑。

建物は、洋館と和風建築が調和した国の重要文化財で、庭園は、四季折々の美しさで人々を魅了し、国の名勝にも指定されています。

洋館の設計は、鹿鳴館などでも有名なジョサイア・コンドルが手掛けています。歴史的価値も高い六華苑について知りたくなったら、ぜひ図書館にも足を運んでみてください。

 

 

 

さて、三月は卒業の季節。

図書館でも、この時期になると進学や新生活に向けた本を探しに来られる方が増えます。

節目を迎え、新しい世界へ踏み出す準備をする時期ですね。

少しずつ大人になっていく子どもたちを、心配しながらもまぶしい気持ちで見守る日々。

「そもそも大人になるってどういうことなんだろう?」と、考えることがあります。

 

そんな私の目に留まったのが、こちら、ティーンズコーナーの一冊です。

 

『おとなになるってどんなこと?』 (吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)

 

 

著者の吉本ばななさんは、ご自身が「初めて大人になった」と感じた瞬間を鮮明に覚えているそうです。それは中学生の頃(早い!)

初めてほんとうの意味で他者を思いやれた」「自分の恵まれた環境を客観的に見られた

そんな変化を自覚した時だったと書かれています。

このエピソードを読み、私も自分の子どもが一つの大きな試練を乗り越え、泣きながら感謝の言葉を伝えてくれた日のことを思い出しました。

あの瞬間、あの子も大人になったのだと感じました。

 

中学生向けのエッセイですが、「大人になるって難しい…」と感じている大人にこそ響く言葉が詰まった、おまもりのような本です。

おとなになんかならなくっていい、ただ自分になっていってください

優しい語り口で、節目の季節に、そっと寄り添ってくれます。

何かにつまずいた時に読み返すと、また一歩を踏み出す元気がもらえるのではないでしょうか。

 

 

次にご紹介するのは、こちらの本です。

 

『ぼくを探しに』
(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)

 

 

何かが足りない それでぼくは楽しくない 足りないかけらを 探しに行く

シンプルな絵と文なので、さらっと読むことができます。けれど、とても哲学的で、“大きい人向け”の絵本といえます。

読んだ後の受けとめ方はきっと人それぞれですが、人生の歩み方について深く考えさせられます。

人生は山あり谷あり。つらい時は立ち止まっても、後戻りしてもいい。

完璧じゃなくても、不完全なままでも、ありのままの自分を受け入れていけば人生は楽しい。

そんな前向きなメッセージを感じられる一冊です。

 

 

続いては、こちら。

 

『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』 (荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)

 

荒井良二さんといえば、児童文学界のノーベル賞と呼ばれるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を、日本人として初めて受賞したことで知られる絵本作家です。

その独創的な色づかいと世界観は国内外で高く評価され、これまでに数多くの賞を受賞してきました。

絵本だけでなく、アート作品や舞台美術など幅広い表現活動にも取り組み、常に新しい表現を探し続ける姿勢が、多くのファンを魅了しています。

 

荒井良二さんの代表作のひとつ『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』は、読む人の心をふっと軽くしてくれる絵本です。

ページをめくるたびに広がる色彩豊かな世界。

どこまでも走っていけそうな力強く駆ける馬とぼくの姿を見ていると、こちらも自然に元気や希望が湧いてきます。

「今日の自分には、思っている以上の力がある」

主人公のまっすぐな気持ちが、子どもにも大人にもやさしく響きます。

特別なことをしなくても、毎日はよろこびと感謝の連続。

気持ちひとつで世界はどこまでも広がっていく──

そんな前向きな感覚が、独特の絵とことばで描かれています。

 

 

最後は、こちらの絵本です。

 

『たくさんのドア』 (アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)

 

 

作者は、ベストセラー『ちいさなあなたへ』を書いたアリスン・マギー。

未来へ踏み出す子どもたちにエールを送る絵本です。

 

子どもたちの目の前に並ぶ“たくさんのドア”。

長い人生の中で、それらを一つひとつ自分の力で開けていく。

どんな未来が待っていても、そのドアを開ける力は必ずあなたの中にある──

そして、いつでも見守り、応援しているよ──

静かで力強いメッセージが胸に残ります。

卒業や進級など、新しい一歩を踏み出す季節にぴったりです。

 

 

 

 

人生の節目にそっと背中を押してくれる本や絵本を集めてみました。

皆さまの春が、あたたかく、素晴らしいものになりますように。
心から応援しています。

 

 

 

<紹介資料>

『おとなになるってどんなこと?』(吉本ばなな/著 筑摩書房 2015.7)

『ぼくを探しに』(シルヴァスタイン/作 倉橋由美子/訳 講談社 1979.4)

『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』(荒井 良二/著 NHK出版 2019.9)

『たくさんのドア』(アリスン・マギー/文 ユ テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010.11)

『ちいさなあなたへ』(アリスン・マギー/ぶん,ピーター・レイノルズ/え,なかがわ ちひろ/やく 主婦の友社 2008.4)

 

<六華>

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