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KCLスタッフブログ ~ブックとラック~
2017年1月5日(木)PM12:21|投稿者:KCLスタッフ

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。
「志るべ」です。
「ブックとラック」では、今年も図書館や桑名の情報をお届けしていきたいと思っております。
ちょっと一息入れたい時にお立ち寄りいただければ幸いです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

みなさま、お正月はいかがお過ごしでしたか。
あっという間にお休みは過ぎ、図書館も新しい一年がスタートしました。
恒例となりましたスタッフ制作の干支と四字熟語が、図書館入口でみなさまのお越しをお待ちしております。

 

さて、今年の干支は「酉」です。

図書館スタッフ作成

「名は体を現す」と言いますが、その名も「オナガドリ」

この鶏のモデルとなっているのは、国の特別天然記念物「土佐のオナガドリ」です。
ご覧の通り、とてもながーーーーい尾を持っています。
尾羽の長さは約5メートルくらいで、長いものになると10メートルを超えるものもあるそうです。
長い尾や骨格、羽のふんわりした感じをマスキングテープだけで表現しています。 ガラスを通して光が入ることも考慮された作品で、ステンドグラスのようですね。

 

この尾羽、そもそもどうしてこんなに長いのでしょう。
『鶏 (NHK美の壺)』という本を読んでみましょう。

 

起源は明暦年間(1655~1658)に遡る。土佐国大篠村(現・高知県南国市)に住む武市利右衛門が飼っていた「小国(しょうこく)」という品種の鶏に尾羽が生え変わらない雄を見つけた。鶏は普通、年に一回、羽が生え変わるが、利右衛門の小国のなかに尾羽が抜けずにどんどん伸びる性質の鶏がいたのである。
この珍しい鶏の尾羽がさっそく土佐藩に献上され、大名行列の先頭で振られる毛槍(けやり)に用いられた。

 

この毛槍は「鳥毛(とりげ)」と呼ばれ、他藩の羨望の的となったようです。 それにしてもこれほど長い尾羽を保つのは、さぞやたいへんなのではないでしょうか。
つづきを読んでみましょう。

 

飛躍的に尾羽が伸びたのは、大正時代に「留箱(とめばこ)」と呼ばれる飼育箱が開発されてからのことだ。この箱は一羽ごとのスペースを確保し、尾羽が傷ついたり抜けたりしないように、活動を抑制して飼育するものである。運動のために外に出すときは、飼い主が尾羽を手に持って鶏の後をついて歩くのだ。

 

散歩するのにお付きを従える鶏がいるとは、驚きです。 天然記念物に指定されている鶏は16種類ありますが、特別天然記念物は「土佐のオナガドリ」だけというのも納得できますね。

 

そういえば「百人一首」の中にも尾の長い鳥を詠んだ歌があったはず・・・
確か「なんとかの 山鳥の尾の しだり尾の・・・」というような・・・
誰が詠んだ歌でしょう?
こんな時、頼りになるのが図書館です。 4階「調べるための本」のコーナーに和歌を調べる本があります。

 

一つは、『新編国歌大観
黒い装丁の分厚い本で、歌集別で10巻に編集されています。各巻は「索引」と「歌集」の2冊に分かれ、全20冊という大部に及びます。「万葉集」から近世に至るまでの和歌を網羅し、歌の各句から検索できるという優れものです。ただし、全巻にわたる索引がありません。そのため調べたい歌がどの歌集に収められているかわからない場合、各巻の索引を順に繰っていくことになります。

 

もう一つは、『校註国歌大系
こちらも歌集23巻と索引5巻で全28冊と大部です。索引は全巻にわたりますが、検索できるのは原則、歌の第一句と第三句からになります。

 

他にはインターネットで調べることができる和歌のデータベースがあります。国文学研究資料館が「古典選集本文データベース」、国際日本文化研究センターが「和歌データベース」を提供しています。ただし検索の言葉にはお気をつけください。「山鳥の尾の」の歌の場合、「やまどり」ではみつからず「やまとり」でヒットするなど、言葉の選び方により検索結果が違ってくるようです。いろいろな言葉をお試しいただくとよいでしょう。

 

ちなみに「山鳥の尾の」の歌は、作者が柿本人麻呂で、拾遺和歌集に収められていることがわかりました。 全文は以下のとおりです。

 

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む

 

夜の時間の長さを長く垂れた山鳥の尾を通して、具象的・視覚的に表現している」(『百人一首の手帖』p7)とあります。なおこの山鳥はキジ科の雄鳥で、オナガドリにはかないませんが、尾の長さは125センチメートルに及ぶそうです。

 

もう一つみなさまをお迎えするもの、今年の四字熟語は、

「読書百遍」

図書館スタッフ作成

今年一年、この言葉でお迎えいたします。

新明解故事ことわざ辞典』によりますと、

 

どんなに難しい書物でも、繰り返し繰り返し読んでいれば、意味は自然とわかるようになる。「読書百遍意自ずから通ず」ともいう。魏の学者董遇(とうぐう) に弟子入りを申し込んだ者に言ったことば。

 

とあります。
中国の歴史書『三国志』の「魏書 王朗伝付王粛・孫叔然伝」(『世界古典文学全集 24A』所収)を出典としています。 『三国志』は中国の歴代正史の一つで、三国時代(魏・呉・蜀)の歴史を記した書物です。
原文ではこう書かれています。

 

讀書百徧而義自見

訳文では、

読書百遍すれば意義は自然と理解される(『世界古典文学全集 24A』所収)

 

とあります。
そういえばよく映画やドラマの時代劇に、幼い子どもが「し いわく まなびて ときに これを ならう ・・・」と繰り返し暗唱している姿が登場しますね。日本でも漢文の勉強は、まず「素読」でした。 忙しい現代では「読書百遍」の精神を実践することは難しくなっていますが、すぐに答えを教えてもらうのではなく、時にはじっくり読んでじっくり調べる時間を持つことも大切なのかもしれませんね。
そんな時にこそ図書館をご利用ください。
そして疲れた時には、このコーナー「ブックとラック」で一息入れていただきますように。
オナガドリの尾のように、末長くよろしくお願いいたします。

 

<引用・参考資料>
鶏 (NHK美の壺)』 NHK「美の壺」制作班/編 日本放送出版協会 2009 646.1ニ
ニワトリ』 高岡 一弥/アートディレクション,久留 幸子/写真 ピエ・ブックス 2004 646.1ニ
新編国歌大観』 第1~10巻(各巻が歌集、索引の2冊に分かれ全20冊)  角川書店 1983~1992 R911.1シ
校註国歌大系』 第1~28巻(歌集23巻、索引5巻) 講談社 1976 R911.1コ1~28
百人一首の手帖』 尚学図書・言語研究所/編 小学館 1989 911.1ヒ
百人一首 (新潮古典文学アルバム 11)』 新潮社 1990 911.1イ
馬場あき子の「百人一首」』 馬場 あき子/著 NHK出版 2016 911.1バ
新明解故事ことわざ辞典』 三省堂編修所/編 三省堂 2001.11 R813.4シ
世界古典文学全集 24A 三国志』 筑摩書房 1982 Z908セ24
集英社世界文学大事典 2』 集英社 1997 R903.3シ2

<志るべ>

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