「ゆめはま文庫」が再開しました!
2018年5月8日(火)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、「志るべ」です。
新緑がまぶしい季節となってまいりました。みなさま、お待たせしました!
しばらくお休みをいただいておりました「ゆめはま文庫」が、4月より再開しました。
「ゆめはま文庫」をご存じでしょうか?
「あかちゃんに絵本を読んであげたいけれど、どんな本を選べばいいのかわからなくて・・・」
そんな悩みをお持ちの保護者の方々の強い味方になるのが「ゆめはま文庫」です。
あかちゃんと絵本の出会いを、図書館がお手伝いいたします。
0歳(はじめてセット 2種類)、1歳(よちよちセット 3種類)、2歳(わくわくセット 3種類)とそれぞれの年齢に合わせて絵本を選び、5冊セットにしたものを専用の袋(ゆめはまちゃんの絵入り)に入れて貸出します。
桑名市内にお住まいの方であれば、どなたでもご利用いただけます。
セットの内容は「ゆめはま文庫 乳幼児向け絵本リスト」(PDF)をご覧ください。
貸出期間は2週間。次にお待ちの方がいなければ延長することもできます。
カウンターで受付いたしますので、ぜひご利用ください。
先日(と言ってもまだ寒いころでしたが)、ラジオを聴いていたら、「ゆめはま文庫」の中の一作品を書かれた方がお話をされていました。
その方は、中川李枝子(なかがわりえこ)さん。
中川李枝子さんといえば、
ぼくらの なまえは ぐり とぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら
(『ぐりとぐら』 中川 李枝子/さく, 大村 百合子/え 福音館書店 1980 より引用)
絵本『ぐりとぐら』を書かれた方です。
『ぐりとぐら』はゆめはま文庫の2歳向けセットに収められています。
「おりょうりすること と たべること」が大好きな「ぐり」と「ぐら」は、なかよしのふたごの野ねずみです。
『ぐりとぐら』は昭和38年(1963)に出版され、その後『ぐりとぐらのおきゃくさま』『ぐりとぐらのかいすいよく』『ぐりとぐらのえんそく』と一冊ずつ増えていき、今ではシリーズになっています。
最初の作品が出版されてから50年以上経ちますが、今なお愛され、読み継がれています。
返却カウンターで、「ぐり」と「ぐら」が帰ってくるところに出会うこともたびたびあります。
お話はもちろんですが、なんといってもこの絵本の魅力は、中川さんの実妹、山脇(旧姓:大村)百合子さんが描かれた絵にもあるように感じます。
なんともキュートな「ぐり」と「ぐら」
細かいところまで、とてもていねいに描かれています。
「ぐり」と「ぐら」の帽子のとんがり具合が微妙に違うのをご存じでしょうか。
では、どちらが「ぐり」でどちらが「ぐら」?
答えは表紙の中に描かれています。
青い字で「ぐり」、赤い字で「ぐら」と書いてあります。
青い帽子に青い服が「ぐり」、赤い帽子に赤い服が「ぐら」です。「ぐり」と「ぐら」のファッションの基本アイテムは色違いのつなぎですが、実はふたりはとてもおしゃれです。
最近のベストセラーに『フランス人は10着しか服を持たない [1]』(ジェニファー・L.スコット/著,神崎 朗子/訳 大和書房 2014)という本がありましたが、「ぐり」と「ぐら」の着こなしにはパリジェンヌも驚くのではないでしょうか。
作品によって、つなぎの下にセーターやT シャツを組み合わせて、上手に着まわししています。
七部の袖丈や、襟ぐりの色あわせなど、かなりのおしゃれセンスだと思います。
なかでも『ぐりとぐらのおきゃくさま』のマント姿は素敵です。
絵本『ぐりとぐら』のシリーズにはファッション以外にもいろいろな楽しみがつまっていますが、「このよでいちばんすきなのは おりょうりすること たべること」というだけあって、お話には「たべもの」がたくさん登場します。
なかでもふたりの焼く「カステラ」のおいしそうなこと!
見ているだけで食べたくなってきます。
番組の中で、中川さんは『ぐりとぐら』が世界各国で翻訳されていると話されていました。
作品に登場する「カステラ」が、国によってその国独自のお菓子に訳されているのだそうです。
ちなみに英語版(『Guri and Gura 』Nakagawa,Rieko/Yamawaki,Yuriko E/BY)では、sponge-cake(スポンジケーキ)、フランス語版ではgalette(ガレット)となっています。
でもやっぱりわたしたちにとっては、ふんわりきいろい「カステラ」ですよね。
ますます食べたくなってきました。
そんな時には作ってみましょう!
レシピは、『絵本からうまれたおいしいレシピ[1]』(きむら かよ/レシピづくり 宝島社 2005)でご確認ください。
「ぐり」と「ぐら」の魅力が満載された 『ぼくらのなまえはぐりとぐら』(福音館書店母の友編集部/編 福音館書店 2001)でも、ご覧いただけます。
中川さんは、保育士として長年子どもにかかわってこられました。
ご自身の経験をもとに、保育園を舞台にした作品『いやいやえん』(中川 李枝子/さく,大村 百合子/え 福音館書店 1980) を発表されたのが最初ですが、絵本やお話以外に、子どもや子どもの本についても書かれています。
『本・子ども・絵本』(中川 李枝子/著,山脇 百合子/絵 新版 大和書房 2013)の中では、いろいろな質問に答えておられます。
「どうしたら落ち着いて絵本を見る子になるでしょうか?」というお悩みに対しては、
「・・・子どもに与えたい絵本を選んでいつも身近に用意しておき、チャンスがくるのを楽しみに待っていればよいのです。・・・」と。
『本・子ども・絵本』は、児童コーナーの「児童文学研究」の棚に並んでいます。
子どもの本について迷った時には、ぜひこちらのコーナーにもお立ち寄りください。
何かヒントが得られるのではないでしょうか。
そして、最初の一冊として、「ゆめはま文庫」をご利用いただければ幸いです。
期待通りの反応が得られなくても、どうぞ「チャンスがくるのを楽しみに待って」、
お子さまといっしょに絵本を開くひと時を、お楽しみいただきますように!
<参考・引用図書>
『ぐりとぐら』 中川 李枝子/さく,大村 百合子/え 福音館書店 1980 Eヤ(児童)
『ぐりとぐらのおきゃくさま』 中川 李枝子/さく,山脇 百合子/え 福音館書店 1980 Eヤ(児童)
『ぐりとぐらのかいすいよく』 なかがわ りえこ/さく,やまわき ゆりこ/え 福音館書店 1977 Eヤ(児童)
『ぐりとぐらのえんそく』 なかがわ りえこ/[著],やまわき ゆりこ/[絵] 福音館書店 1983 Eヤ(児童)
『Guri and Gura(英語版) 』 Nakagawa,Rieko/Yamawaki,Yuriko E BY(児童)
『絵本からうまれたおいしいレシピ[1]』 きむら かよ/レシピづくり,晶子/レシピづくり,鳥越 美希/レシピづくり 宝島社 2005 H596.6エ(書庫)
『ぼくらのなまえはぐりとぐら』 福音館書店母の友編集部/編 福音館書店 2001 KQ726.5ヤ(児童研究)
『いやいやえん』 中川 李枝子/さく,大村 百合子/え 福音館書店 1980 913ナ(児童)
『本・子ども・絵本』 中川 李枝子/著,山脇 百合子/絵 新版 大和書房 2013 019.5ナ(児童研究)
<志るべ>
『ぐりとぐら』、小さな頃に大好きな1冊でした。
1歳半になる子どもの絵本棚にも並べてあるのですが、我が家ではまだ「チャンスがくるのを楽しみに待って」いるところです。
いつかあのカステラも一緒に作ってみたいです。
この頃は何だか忙しなく、絵本の時間があまり取れない日が続いていました。
今夜は久しぶりに子どもとゆっくり絵本を楽しもうと思います。
素敵な記事をありがとうございました。
gurikkoさま
コメントありがとうございました。
昨夜は「絵本の時間」をお楽しみいただけましたでしょうか?
忙しい毎日をお過ごしのことと思います。
でも、忙しいからこそ「待つ」という時間も大切なのかもしれませんね。
中川李枝子さんは、『本・子ども・絵本』(中川李枝子/著 山脇百合子/絵 新版 大和書房 2013)の中で、こんなことも書いておられます。
「・・・「忙しくてかまってやれない」と心配するお母さんは、心配しているぶん、子どもに心をかけていることになり、心のかけようは子どもに通じているはずです。・・・」
そして、
「・・・お母さんが子どもと絵本を見るとき、いっしょに楽しい思いをしながら、絵本を通して我が子の姿を再発見するという、大へん貴重な「おまけ」もつくのです。」と。
「ぐり」と「ぐら」の焼く「カステラ」のレシピ本を借りに来ていただく日を楽しみにお待ちしております。
<志るべ>