#kclスタッフおすすめ本 『こちらあみ子』
2021年10月22日(金)|投稿者:kclスタッフ
【 衝撃を受けた本 】
『こちらあみ子』
(今村 夏子/著 筑摩書房 2011年刊)
この本を読み終わった後、何日かずっとモヤモヤした気持ちが残っていた。
登場人物達の声が、映像が、消えることなく胸を締めつけてくる作品だった。
あみ子の純粋な気持ちや言葉や行動は誰とも交わることがなく、時に無下にされ、その理由があみ子にはわからない。
あみ子と周囲とのズレが文章では淡々と描かれていき、その背面に潜む狂気が少しずつ、目立たぬように顔をのぞかせ、はっとさせられる。
誰しも自分の気づかぬ間に人を傷つけ、壊してしまう可能性がある。
無垢は時に凶器となり、常識は時に誰かの首を絞める。
相手を気遣う、敬う、思いやる─それが掛け違ってしまうと、こうも相手を打ちのめしてしまうのか。
救いようがなく、ただひたすらに苦しいのに、あみ子の言葉で紡ぎだされた日常は飄々としていて、ある意味すがすがしくも感じられる。
どんな形であれ、いつまでも心に残るということは名作なんだと思う。
読んだ人、一人一人にこの本の感想を聞いてみたい。
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『こちらあみ子』
▼出版社
筑摩書房
▼書影画像元
版元ドットコム
※次回更新は2021年11月12日(金)の予定です
あみ子の純粋さと周囲とのズレが心に残り、読後に深く考えさせられる作品ですね。
aisyah 様
コメントありがとうございます。
確かにこの作品はいろんな意味で考えさせられますね。いつまでも心に残る作品だと思います。