#kclスタッフおすすめ本 『独楽吟』
2021年12月3日(金)|投稿者:kclスタッフ
【 とにかく読んで欲しい本 】
「独楽吟」(『日本古典文学大系 93 近世和歌集』所収)
(橘曙覧/著 岩波書店 1976年刊)
「独楽吟」は福井出身の幕末の歌人・国学者、橘曙覧(たちばなのあけみ)の連作短歌全52首をいいます。
すべての歌が、「たのしみは・・・」ではじまり、「・・・とき」で終わっています。
日々の暮らしのなかで感じる楽しみが、今に通じる分かりやすい言葉で綴られています。
平成6年(1994)6月13日、クリントン米大統領が、天皇・皇后両陛下の訪米歓迎式典のスピーチで「独楽吟」のなかの一首を引用したことで再び注目されるようになったとのこと。ご記憶の方、おられるでしょうか。
本を読む楽しみを詠んだ歌もあります。
たのしみは 珍しき書(ふみ) 人にかり 始め一ひら ひろげたる時 (うん、うん)
たのしみは 人も訪(と)ひこず 事(こと)もなく 心をいれて 書(ふみ)を見る時 (ゆっくり読みたい!)
たのしみは そぞろ読みゆく 書(ふみ)の中に 我とひとしき 人をみし時 (そう、そう)
気の置けない友のありがたさを詠んだ歌も。
たのしみは 心をおかぬ 友どちと 笑ひかたりて 腹をよるとき (アハハ!)
こんな歌も・・・
たのしみは いやなる人の 来たりしが 長くもおらで かへりけるとき (やっぱりね)
人と会うことを控え、家に居る時間の多い今だからこそ「独りを楽しむ歌」が心にしみるのかもしれません。
さいごに、クリントンさんが引用された歌はこちら。
たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無(なか)りし花の 咲ける見る時 (咲いてる!)
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「独楽吟」(『日本古典文学大系 93 近世和歌集』所収)
▼出版社
岩波書店
※次回更新は2021年12月10日(金)の予定です
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