こんにちは、「志るべ」です。
朝夕、めっきりすずしくなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今年の夏は、熱中症対策とコロナ対策、本当にたいへんでした。
と、息つく暇もなく、次はインフルエンザ対策とコロナ対策、油断はできません。
そんな緊張のつづく日々ではありますが、桑名にニュースが・・・
桑名駅が新しくなりました!
2017年にスタートした「桑名駅自由通路」の工事が終了し、踏切まで迂回しなくても東西を自由に通行できるようになりました。
以前のブログでご紹介した場所がこの通り。
こちらは、新旧の桑名駅入口です。
電車を降りて、いつものホームを上がると、改札の向こうには見たことのない景色が広がっています。
オシャレな長い通路、なんだか知らないところに来たみたい。
旅先の駅に降り立ったような新鮮な気持ちになりました。
列車に揺られて、遠くへ行く旅はもちろんすてきですが、いつもの町も少し角度を変えれば、違う景色が見えてくるようです。
この時期だからこそ、住み慣れた桑名の町を旅の気分で歩いてみませんか?
今回、町歩きのおともにご紹介したいのが、桑名のガイドブック『久波奈名所図会』です。
なにやら古めかしいタイトルですが、それもそのはず、書かれたのは江戸時代。序文の日付は享和2年(1802)7月、奥付には文化元年(1804)6月とあります。
ガイドブックは最新版を見るのが基本ですが、ここまで古いとまた別の景色が見えてくるのではないでしょうか。
享和2年から文化元年といえば、初めて実測による日本地図を完成させた、あの伊能忠敬(いのう ただたか)が測量のために日本中を歩いていたころです。伊能忠敬の緻密さと粘り強さ、そしてその健脚ぶりには圧倒されますが、『久波奈名所図会』の作者にも驚かされます。
書いたのは、長円寺(伝馬町)の住職、魯縞庵義道(ろこうあん ぎどう)
この名前、どこかで聞いたことあるという方、おられるのではないでしょうか。桑名の方ならご存じ、あの連鶴「桑名の千羽鶴」の折り方を考案した人物です。
「桑名の千羽鶴」は一枚の紙から複数羽(97羽のものまであります)の連続した鶴を折る独特の連鶴で、桑名市の無形文化財(芸能)に指定されています。
もともと地理や歴史に興味があった義道は、桑名の地理、歴史を研究して地誌『桑府名勝志』を書きあげました。
ところが『桑府名勝志』は少しむずかしくて読みづらいため、誰もが読めるように、挿絵を入れてやさしくまとめ直しました。こうして『久波奈名所図会』が生まれました。
『久波奈名所図会』(長円寺所蔵)も桑名市の有形文化財(典籍)に指定されています。
当時、名所旧跡を挿絵入で紹介した「名所図会」がはやっていました。京の都を描いた『都名所図会』や桑名の時雨蛤も登場する『東海道名所図会』を参考に、『久波奈名所図会』も編集されました。
「名所図会」の魅力はなんといっても挿絵。挿絵の善し悪しで売れ行きが左右されると言われるほどでした。義道はその挿絵を、鍋屋町の工藤麟溪(くどう りんけい)に依頼しました。
麟溪は俳人で、義道も俳句を嗜んでいたことからつながりがあったのではないかと考えられています。
出版をめざして編纂された『久波奈名所図会』ですが、刊行されることはありませんでした。どういう事情があったのでしょうか?
本として出版されなかったのは少し残念ですが、義道が『久波奈名所図会』を書き残してくれたおかげで、わたしたちは今、当時の桑名を知ることができるのですね。
連鶴の折り方を編み出し、桑名の歴史や地理を研究し、『久波奈名所図会』をはじめ数々の著作を残した義道は、まさに「スーパー」住職です。
では少し、『久波奈名所図会』を開いてみましょう。
こちらは、当時の豪商山田彦左衛門の庭園です。
今は、「諸戸氏庭園」となり、紅葉の季節には一般公開されています。
国の重要無形文化財にも指定されている「伊勢大神楽」の様子が「大々神楽獅子舞図」に描かれています。右ページでは「獅子舞」が、左ページでは「放下芸」(曲芸)が行われています。
今も、大福田寺の桑名聖天火渡り祭で「伊勢大神楽」が行われています。
その大福田寺は、
今の大福田寺山門は、こちら。
桑名の町は変わったのでしょうか?それとも、変わっていない?
『久波奈名所図会』を手に、当時の町やそこに暮らす人々に思いを馳せながら、町歩きに出かけてみませんか?
<参考資料>
※桑名市立中央図書館では『久波奈名所図会』の写本と翻刻本(活字本)を所蔵しています。
(写本)
『久波奈名所図会』〔義道/著〕,〔工藤 麟渓/書・画〕享和2年[1802]序 3冊 L292ギ
『久波奈名所図会 上』〔義道/著〕,〔工藤 麟渓/装画〕享和2年7月序 1冊 L292ギ
(翻刻本)
『久波奈名所図会 影印校注 上巻』 義道/著,工藤 麟渓/装画 久波奈古典籍刊行会 1977 AL292ギ
『久波奈名所図会 影印校注 中巻』 義道/著,工藤 麟渓/装画 久波奈古典籍刊行会 1977 AL292ギ
『久波奈名所図会 影印校注 下巻』 義道/著,工藤 麟渓/装画 久波奈古典籍刊行会 1977 AL292ギ
『桑府名勝志 1~6』 義道/編 北勢史談会 1951 L292ソ
※デジタル資料を公開(PDFファイルで開きます)
『桑名市博物館紀要 第14号』 桑名市博物館 2020 AL069ク
『連鶴史料集 魯縞庵義道と桑名の千羽鶴』 桑名市博物館/編纂 岩崎書店 2016 AL754レ
<志るべ>
日時|2020年11月22日(日)
10時00分~11時30分
場所|桑名市立中央図書館 4階 研修室2
定員|先着20名(大人向けの講座ですが保護者同伴で小学三年生以上のお子様なら参加可能)
参加費|500円
持ち物|下敷き/筆(太筆、小筆)/文鎮/墨・墨汁/すずり(プラスチック容器でも可)
※半紙とはがきはこちらで用意します
※汚れても大丈夫な服装でお越しください
申込方法|直接または電話で中央図書館へ
申込開始|11月5日(木)午前9時から
申込先|桑名市立中央図書館 (桑名市中央町三丁目79) 0594-22-0562
内容|デザイン書道は「イメージを筆文字で表現」します。
今年は型にはまらない、オリジナルの年賀状で新年を彩ってみませんか?
外部講師による「クリエイターズINライブラリー」の第3弾『幸せを結ぶ縁enリボン』が、10月18日(日)に行われました。
当日参加者には、作っていただくリボンの色選びから始めてもらい、製作時間も込みで2時間程でした。簡単で、可愛くお洒落なリボン作りは、大人から子供まで世代の垣根を超えて楽しんでいただけたようです。帰り際に早速ヘアゴムとして着用されていたお子様も見受けられ、ご満悦いただけた様子でした。
ML連携とは、博物館(Museum)と図書館(Library)が連携して、共通のテーマに沿って各館の資料を活用した企画を実施し、それぞれの館の特徴や役割を発信する企画です。
中央図書館では博物館展示テーマの関連書籍展示のほか、博物館職員によるセミナーやワークショップを行います。昨年度に引き続き、年間を通して実施しています。ぜひご参加ください。
画像を押すとチラシが表示されます。(pdfファイル)第3弾は博物館展示「三重刀剣紀行-村正の煌めき-」の開催に合わせて、関連書籍展示と博物館職員によるセミナーを行います。
三重県には、著名な「村正」を始めとして、多くの魅力的な刀工が活躍しています。その刀工たちが鍛えた、長い年月を経ても変わらぬその刀の煌めき---「不滅の刃」についてセミナーを聞いて、博物館展示への理解を深めてみませんか?
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企画名:博物館×中央図書館 令和2年度ML連携企画 セミナー「三重刀剣紀行のみどころ」
講師:桑名市博物館館長 杉本 竜
日時:令和2年11月1日(日) 午後1時30分から午後3時
場所:くわなメディアライヴ 2階 保健栄養指導室
定員:20名(先着順、事前申込制)※定員になり次第締め切ります
申込み方法:電話で中央図書館へ
申込み開始:10月19日(月)9時~ ※受付は午後5時まで
い合わせ:桑名市立中央図書館 〒511-0068 桑名市中央町三丁目79 ☎0594-22-0562
いつも桑名市立中央図書館をご利用いただき、ありがとうございます。
よりよい図書館にしていくため、皆様のご意見をお伺い致したく、アンケートにご協力をお願いします。
実施期間は以下の通りです。
アンケート用紙は桑名市立中央図書館で配布中です。館内の各所にアンケート用紙と回収ボックスを設置してあります。記入いただいたアンケート用紙をお入れください。
または、下のバナーよりPDFファイルを印刷して、図書館へお持ちいただくことでアンケートに回答することも可能です。
ご参加・ご協力をお待ちしております。