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#kclスタッフおすすめ本 『明日から使える死亡フラグ図鑑』

2022年11月4日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 気軽に読む 】

『明日から使える死亡フラグ図鑑』
(茶んた/著 宝島社 2020年刊)

 

 

「死亡フラグ」とよばれるものをご存じでしょうか。
それは、ドラマや漫画、小説などにおける特定のシチュエーションにて、登場人物が死んでしまう前にありがちな行動やセリフの事です。
倒れた写真立てに映る人、お金で助かろうとする人、戦いが終わったら結婚する人などがあてはまります。

 

この本では、アクション、サスペンス、SFなどのジャンル別に分けられた様々な死亡フラグが紹介されています。
死亡と聞くと、暗いシーンが次々と紹介されるのではないかと感じる方もいるかもしれませんが、死亡フラグを現した1コマか2コマのコミカルな漫画と一緒に、なぜ死亡フラグになってしまうのかという解説がユーモアを交えて1~2ページでまとめられており、空いた時間にお手軽に読んでいただけます。

 

きっと、どこかで見たことのある、読んだことのあると感じるものも多いのではないでしょうか。
この本を読みながら、このシチュエーションはあの話であった!と今までみたドラマや漫画を思い返してみるのも楽しいです。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『明日から使える死亡フラグ図鑑』

 

▼出版社
宝島社

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

※次回更新は2022年11月18日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『スティル・ライフ』

2022年10月21日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 とにかく読んで欲しい 】

『スティル・ライフ』
(池沢 夏樹/著 中央公論社 1988年刊)

 

 

小説の中に出てくる、自分の知らない言葉や気になる単語を辞書で調べることがあります。

 

「ひょっとしてチェレンコフ光が見えないかと思って」

 

バーの高い椅子に座り、ウィスキーと水の入ったグラスを前に男二人が星の話をしている冒頭の場面。
二人の会話に出てくる「チェレンコフ光」という言葉が気になって辞書で調べてみました。

 

「チェレンコフ光」はチェレンコフ放射ともいい、「物質中を荷電粒子がその物質中の光の速度よりも速い速度で通過するときに発する放射光」(『日本国語大辞典 第8巻』)であり、この光を発する現象をチェレンコフ効果というそうです。
一九三四年に物理学者チェレンコフが発見したそうです。

 

男が言うには、「一万年に一度くらいの確立」の「光ってもみえないだろう」そのチェレンコフ光が見えないかと思って、水の入ったグラスをじっと見ていたというのです。
そして「なるべく遠くのことを考える。星一番遠い。」とも。

 

なぜ二人は星の話をしているのか、気になった方はぜひ読んでみてください。

 

 

参考資料:
『日本国語大辞典 第8巻 第2版』(小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年刊)

 

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『スティル・ライフ』

 

▼出版社
中央公論新社

 

 

※次回更新は2022年11月4日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『あなたの すてきな ところはね』

2022年10月7日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 繰り返し読む 】

『あなたの すてきな ところはね』
(玉置 永吉/作,えがしら みちこ/絵 KADOKAWA 2021年刊)

 

 

この絵本には、お母さんが子どもに語りかける詩のような言葉がつづられています。

 

子育てをされた事がある方ならきっと、そうそう!と共感されるような、子どもの可愛らしい様子が、素敵な言葉と絵で表現されていて引き込まれます。
小さい子の子育て真っ最中のお母さんが読めば、優しい気持ちになって、子どもに伝えたい言葉があふれてくるかも知れません。

 

実際、この本の最後のページには子どもの素敵なところを書き込めるシートがついています。
絵本の中で季節はめぐり、子どもは少し大きくなります。
そして、その言葉がいつの間にか読み手に語りかけてくるように感じられるのは私だけでしょうか。

 

みんなが誰かのかけがえのない人です。
自分は誰かにとって、こんな風に大事に思われている存在で、今日ここにいてくれるだけで、幸せな人がいるという事に気づかされ、なんだかじんわりあたたかい涙があふれてきます。

 

新しい世界にふみ出す子ども達への贈り物としても良いですし、失敗して落ち込んだり、少し自信がなくなっている時には、元気を出して!と手渡したい一冊です。ぜひ一度、手に取ってみてください。

 

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『あなたの すてきな ところはね』

 

▼出版社
KADOKAWA

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

※次回更新は2022年10月21日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『本日のメニューは。』

2022年9月23日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 気軽に読む 】

『本日のメニューは。』
(行成 薫/著 集英社 2019年刊)

 

 

自分はお腹に心がある人間なのかもしれない。
料理がテーマの本を読むと、よくそう思います。
アツアツの湯気、ほおばる描写。
本に出てくる食べ物というのは、何故か皆とても美味しそうに見えます。
大して凝った料理でなくても不思議と「食べたーい」という気持ちにさせてくれるグルメの本が私は大好きです。

 

そして、そんなご飯に特に合うと思うのが、料理を取り巻く人間の人情ストーリー。
情と飯のマリアージュ、まさに絶品の一皿のような組み合わせです。

 

もちろん、これは私個人の感想なので、共感しない方も多いかもしれません。
ですが、もし「ちょっとわかる…」という方がいたら是非読んで欲しい本がこちら。

 

短編集『本日のメニューは。』です。

 

収録された短編は全部で5つ。その全てが一つの料理を中心に描かれています。
ラーメン、おにぎり、ロコモコ丼…出てくる料理は誰もが知っていて、愛されるようなものばかり。
そこに絡むのは、少しほろ苦い、でもどこにでもある現実と、それに負けないほど厚くてほろりと優しい人の情。
この配合がまた絶妙で、気づけば物語に引き込まれて、彼らの奮闘や涙に共感し、読み終えた後は、お腹がほっこり温まるような満足感が広がります。

 

そして何より料理の描写が本当に美味しそう。
「海苔がぱつんとはじける」おにぎりなど、よく知る料理だからこそ、これ絶対美味しいやつだ!と想像できてしまう見事な描写は憎たらしいほどですが、読まずにはおれません。
読めばお腹がすくのに、読み終えればお腹も心も満たされる。
グルメ小説の好きな人にはぜひ読んで欲しい。でも、そうでなくても、興味があれば一度は読んで欲しい。
そう思える逸品です。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『本日のメニューは。』

 

▼出版社
集英社

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

 

※次回更新は2022年10月7日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『こんぴら狗』

2022年9月9日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 とにかく読んで欲しい 】

『こんぴら狗』
(今井 恭子/作,いぬんこ/画 くもん出版 2017年刊)

 

私は犬を飼っています。とてもやんちゃな性格なので、いつも目が離せません。
どこの家も同じだと思うのですが、犬や猫一匹で旅に出すなんて恐ろしい事、実行できませんよね。
ですが、江戸時代には犬だけで旅をさせることがあったそうです。

 

 

お伊勢参りをする「おかげ犬」は、長旅できない主人の代わりに一匹で伊勢まで旅したと言われています。

『犬の伊勢参り』
(仁科 邦男/著 平凡社 2013年刊)

『犬の伊勢参り』によると、江戸時代後期の大名、松浦静山は、日光東照宮へ参った帰り道で赤毛の参代犬に遭遇したそうです。
その犬は木札を首にかけ、紐には多くの小銭を通していました。
この赤犬と共にいた人が言うには、奥州からお伊勢参りをしているらしい。
共にいた人も犬が誰に木札を付けられたのかは知らず、とりあえずお伊勢参りに行く犬なのであれば日光までは一緒に連れて行ってあげようということで共にいたそうです。

 

そして数日後、松浦静山は早朝に再び赤犬と出会います。
静山が乗った輿の隣を、吠えもせず、また余所の犬に吠えられることもなくついてきました。
そうして過ごすうち、いつの間にか赤犬は消え、どこかに行ったようです。
静山は、犬が人の手を借りずに伊勢神宮へお参りをしていたことを珍しく思い、自らの随筆に書き記しました。

 

こういった資料が他にもいくつか残っていて、私はとても驚きました。
実際旅した犬たちは、どんな様子だったのだろう…。
どんな感じで江戸から伊勢へ、そしてまた江戸へ帰っていたのか…。

 

 

そこで『こんぴら狗』を紹介したいと思います。
この本は、江戸時代、裕福な商人の家で飼われていた犬・ムツキが、主人の代わりにこんぴら参りをするというお話です。
ムツキの飼い主である線香問屋「郁香堂」の跡継である長男が病で帰らぬ人となり、その翌年にはムツキを可愛がっていた娘、弥生も病になったため、ムツキは弥生の快癒を祈願する「こんぴら狗」としてこんぴら参りに向かうことになりました。

 

この本は、『犬の伊勢参り』に書いてあるような事がしっかりとしたストーリーで描かれていて、感情移入しながら読むことができました。
ムツキもたくさんの人たちに助けられ、いくつもの困難を乗り越えてこんぴら参りをやり遂げます。
中でも印象的なエピソードは、ムツキが三重県を通過する時のことです。

 

伊勢湾を船で渡る際、大嵐にあい、同行していたご隠居が風邪をひいてしまいます。
ムツキが心配そうにご隠居の様子を見るシーンがとても胸にぐっときました。
鈴鹿山脈を越えてもご隠居の体調は戻らず、このあたりからムツキにとってつらく悲しい旅路となっていき、ついにはご隠居も帰らぬ人となってしまいます。

 

ひとりになったムツキは、このあとどのようにして金毘羅までたどり着き、江戸へ帰還するのか…
この部分はぜひ読んでいただければと思います。

ひとつ言えることは、犬好きなら感動で号泣すること間違いなしです!興味がある人はぜひお手に取ってみてください。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『こんぴら狗』
『犬の伊勢参り』

 

▼出版社
くもん出版 (こんぴら狗)
平凡社 (犬の伊勢参り)

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

 

 

※次回更新は2022年9月23日(金)の予定です

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