ちょっと気になるR本~Part2~

2015年10月24日(土)|投稿者:kclスタッフ

桑名市立中央図書館スタッフブログ「ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。平八郎です。

今回のブックとラックは5年ほど前の記事「ちょっと気になるR本」(クリックでリンクします)の第2回ということで、参考図書ことR本のお話です。なぜ参考図書のことを「R本」と呼ぶのか?ということが気になる方は上記のリンクから前回の記事をご覧ください。

このR本なんですが、参考図書は調べ物をするために非常に有用なため、常に図書館で利用できるようにという考えもあり、基本的に図書館外への持出が禁止で貸出も行っておりません。

そのため、貸出ができないなら……今は調べるものがないし……といった理由でR本を手に取ったことがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それではもったいない!R本はもっと面白いんです!

例えば桑名名物の「はまぐり」を調べてみます。

図書館でもよく使われる広辞苑(第6版 岩波書店 2008.1)では……
『マルスダレガイ科の二枚貝。殻長約八センチメートルに達する。日本各地の内湾の砂泥中に産するが、近年は絶滅状態にまで減少した。殻の表面は平滑で、色や模様は変化に富む。内面は白色。肉は食用。「はまぐり」の名で市場に出ているもののほとんどがシナハマグリ。』
といった説明です。

一方、新明解国語辞典(第7版 三省堂 2012.1)では……
『遠浅の海にすむ二枚貝の一種。食べる貝として、もっとも普通で、おいしい。殻はなめらか。』
とあり、短い文章ながらユーモアを含んでいます。全国的にはアサリやシジミなどのほうが普通ではないのか?という疑問が浮かびますし、「おいしい」なんて味にまで言及しているのは、この辞典くらいしか私は知りません。編集者にはまぐり好きの人でもいたのでしょうか?
新明解国語辞典は解説や例文が面白いので、他のキーワードでも引いてみてください。
一言余計であったり、思わず深読みしてしまったり、編集者の主観が垣間見えたりと、ツッコミ所がたくさんあり読んでいてとても面白い!私は「洒落」の項目ににやりとしてしまいました。
面白い項目を書き出して、感想を書いているだけで、ブログの文字数が大変なことになる勢いです。

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こちらの辞書

世界人物逸話大事典 角川書店 1996.2

ノーベル賞受賞者業績事典 日外アソシエーツ 2013.1

地名苗字読み解き事典 丹羽 基二/著 柏書房 2002.3

日本ミステリー事典 新潮社 2000.2

名句鑑賞辞典 角川書店 2000.4

などは読み物として面白いですし、変わったR本としては、他にもこんなものがあります。

参考図書解説目録 2011-2013 日外アソシエーツ,紀伊國屋書店(発売) 2014.3
2011~2013年に刊行された参考図書7813冊を一覧できる図書目録。辞書・辞典・事典・ハンドブックなどの参考書が網羅してあります。参考図書の参考図書といえます。

当て字・当て読み漢字表現辞典 三省堂 2010.11
運命(さだめ)、女性(ひと)、生命(いのち)、本気(まじ)など、普通の辞書には載らない漢字表現を、漫画・歌詞・テレビ・小説等から採録。表記のニュアンスや背景、文字史・表記史に基づく知識を、用例とともに解説しています。時間を表す“とき”の項目だけで時間(とき)、時空(とき)など50項目もあり、日本語の可能性を考えさせられました。

図書館でR本を使うようになるまでは、私もあまり意識してこなかったのですが、意外な分野の事典があったり、変わった手順で引ける辞書があったりと、今ではつい見入ってしまいます。

辞書といえば2012年の本屋大賞に選ばれた「舟を編む」。こちらは辞書編集部に異動した主人公が右往左往しながら働く物語で、辞書を読んでいると「舟を編む」を思い出し、こんな苦労があったのかも?と想像して楽しい気分になりました。

調べて役立ち、読んで楽しいR本。図書館にあるR本をもっと知りたい!と興味が沸いた時は、是非4階までお越しください。きっと楽しい発見があります。

< 平八郎 >

今回の記事の作成にあたり、参考にした図書です。
この辞書・事典が面白い! トラベルジャーナル 1999.6
学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方 サンキュータツオ/著 角川学芸出版 2013.3
辞書がこんなに面白くていいかしら JICC出版局 1992.6

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