#kclスタッフおすすめ本 『アンジュール ある犬の物語』
2021年8月6日(金)|投稿者:kclスタッフ
【 はじめて買った本 】
『アンジュール ある犬の物語』
(ガブリエル・バンサン/作 ブックローン出版 1986年刊)
はじめて買った本には、人それぞれ思い入れがあるのではないでしょうか。
私が自分ではじめて買ったのは、この絵本でした。
大学生で一人暮らしを始めた私は、田舎から都会で洒落た港街に移り住みました。
自分の世界が一気に広がり、開放感、充実感、楽しさを味わう一方、一人で生活する大変さや、寂しさなどを感じ、はじめての事もたくさん経験しながら、今振り返ると刺激的な毎日を送っていたと思います。
どこか自分が少し大人になったような気がして、ちょっと背伸びしたい、そんな時期だったのかなぁと、この絵本を買った時のことを思い出します。
一人でぶらぶらと街歩きをしていた日、当時できたばかりで珍しかった、雑貨も買えるおしゃれな本屋さんで、表紙の犬の絵とPOPに惹かれて手に取りました。
POPの内容は覚えていませんが、とにかく、この絵本に衝撃を受けました。
素敵だな、カッコイイ!とひきつけられて、食費も切り詰めるような生活だったのに、衝動買いをしてしまいました。
それ以来、学生時代はもちろん就職して引っ越しても、結婚して子供ができても、ずっと手放さずに本棚にある大事な本の一つです。
この本は、中央図書館では児童コーナーに配架されていますが(最初にこの本を図書館で見つけた時は、嬉しくてにんまりしてしまいました)、大人の方にも是非読んでみてほしいと思います。
実際には、読むというより感じてもらいたい本です。
文章がなく、鉛筆デッサンだけで表現されている~ある犬の物語~ですが、この物語に言葉は必要ないのです。
犬の容姿と表情で、全て語られているからです。本を開いてページをめくるたびに、この絵にひきつけられ、犬の気持ちに寄り添って自分もうなだれたり絶望したり、そして最後にほっとした気持ちになります。
ずいぶんと大人になった今でも、変わらずこの作品に魅了され、やっぱり素敵だなぁと思うのです。
作品に文章はありませんが、最後のもりひさしさんによる解説も素晴らしいので、興味を持たれた方はこの本を図書館で探してみてください。
そして、皆さんもご自身ではじめて買った本は何だったかな?と思い返して、その本を開いてみてください。
きっと、その本を買われた当時の思い出までよみがえって、懐かしい体験ができると思いますよ!
▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『アンジュール ある犬の物語』(ブックローン出版 1986年刊)
『アンジュール ある犬の物語』(BL出版 2000年刊)
▼出版社
BL出版(前ブックローン出版株式会社)
▼書影画像元
版元ドットコム
※次回更新は2021年8月13日(金)の予定です
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