秋といえば・・・虫?
2021年10月1日(金)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは。ばんこです。
今月の児童特集は「〇〇の秋」です。
みなさんはどんな秋がお好きでしょうか?
うるさいほどのセミの声から、カナカナとなく
蜩の声をきくと、一気に秋を感じます。
俳句の世界で「虫」といえば、秋に草むらで「鳴く」虫の総称だそうです。
今回はイロイロな「虫」の本を紹介します。
同じ「なく」でも絵本の世界で有名なこの「むし」は、お腹が痛いと泣いています。
『はらぺこあおむし』
(エリック=カール/さく,もり ひさし/やく 偕成社 1989)
小さな葉っぱの上にうまれたあおむしが、きれいな蝶になるまでのお話。
コラージュと呼ばれる貼り絵の技法を使い、色鮮やかに表現されています。
だんだん増えていく食べ物、丸くあいた、アオムシが食べたであろう穴も
子どもの好奇心をくすぐる仕掛けになっています。
実は、1969年にアメリカで出版された原書『The very hungry caterpillar』
の初版の奥付には「printed Japan」と印刷されているそうです。
当時のアメリカでは、穴あきの仕掛けや、ページの大きさも違うこの本を、
印刷・製本してくれる会社が見つからず、なんと、日本で印刷・製本を引き受けてくれる
会社がみつかり、作られることになったそうです。
世界で最初の『はらぺこあおむし』は日本の会社によってつくられました。
50年以上前の絵本ですが、今でも大人気。
こんなにも素敵な絵本が、実は日本で作られていた!と知ると
なんだかうれしくなります。
エリック・カールさんのコラージュと呼ばれる貼り絵の技法を詳しく知りたい方は
こちらの本をご覧ください。
『エリック・カール絵本の世界 いろのまほうつかい』
(ブックグローブ社 2004.4)
実は桑名には、虫の絵がとても上手なお殿様がいました。増山雪斎です。
『増山雪斎~大名の美意識』
(増山 雪斎/[画],桑名市博物館/編集 桑名 桑名市博物館 2007.10)
写実的な虫類写生図譜『虫豸帖』(ちゅうちじょう)の作者として知られる増山雪斎
(ましやませっさい)
=増山正賢は、宝暦4年(1754年)10月14日、伊勢長島藩主正贇(まさよし)
の長子として江戸にうまれ、父の死去とともに、安永5年(1776年)23歳で遺領2万石を
襲封しました。
『虫豸帖』(ちゅうちじょう)は東京国立博物館 デジタルコンテンツから見ることができます。
今度は、虫の切り紙です。
『本物そっくり!昆虫の立体切り紙 ハサミだけでつくれる』
(今森 光彦/著 東京 日本ヴォーグ社 2015.5)
写真家・切り絵アーティストとして有名な今森光彦さんの本です。
画用紙とハサミで、簡単に立体的な昆虫を作る事ができます。
細い足の部分などは、切ることが少し難しいですが、おうち時間に、
ぜひチャレンジしてみてください。
タイトルに「ちゅう」とつきますが、虫ではありません。
(松岡 篤/監修,かんちく たかこ/文 アリス館 2019.7)
漢字で書くと「放散虫」「虫」とつきますが、いわゆる「昆虫」でも
「節足動物」でもありません。
5億年前から、海に暮らす小さな生き物が「放散虫」です。
この本は、「放散虫」の骨の写真集です。
「放散虫」の骨は、ガラス質でできていて、とてもきれい。
そして、とても不思議な形をしています。
ぜひ、一度この不思議な生き物を見てください。
地球上には、まだまだ知らない生き物がいっぱいです。
「放散虫」と同じくらい大昔からいる生き物の祖先たち。
一体、どんな大きさだったのか?何cm、何mと数字で書かれていても
よくわかりませんが、写真でみるとよくわかります。
『リアルサイズ古生物図鑑 古生物のサイズが実感できる! 古生代編』
(土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2018.8)
大昔に絶滅した生き物が、現代社会に登場します。
日常生活に溶け込んだ「三葉虫」や、巨大トンボの「メガネウラ」等の生き物たち。
ヒトデ類が、フライングディスクになっていたり…と、
リアルなサイズ感を楽しむ事ができます。
実際にいたらビックリですが、想像しながら楽しんでください。
古生代・中生代・新生代 3巻あり、恐竜好きなら、新生代がおすすめです。
普通の図鑑にあきた~という方もどうぞ。
『リアルサイズ古生物図鑑 古生物のサイズが実感できる! 中生代編』
(土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2019.8)
『リアルサイズ古生物図鑑 古生物のサイズが実感できる! 新生代編』
(土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2020.10)
最後は、イロイロな虫がいるなかで、図書館に多いであろう虫・・・
『エリザベスは本の虫』
(サラ・スチュワート/文,デイビッド・スモール/絵,福本 友美子/訳
アスラン書房 2003.10)
本が大好きな実在の人物、メアリー・エリザベス・ブラウンを元にしたお話です。
子どもの時から本好きで、大人になっても、とにかくいつも本を読んでいるエリザベス。
この絵本の表紙裏、裏表紙裏に描かれているのは、本棚です。
横倒しになっていたり、本の上に本が載せられていたり・・・
図書館員としては、そのあたり少し気になってしまいますが、
絵から、エリザベスは読む事は好きだけど、あまり読み返すことはしなかったのかな?
などと、いろいろ想像してしまいます。
好きなものに囲まれたエリザベスの一生 うらやましくもありますが、
好きな事が一つだけではない身としては、ちょこちょこ手をだす
今ぐらいがちょうど良いのかもしれません。
イロイロな「むし」の本を紹介しました。
エリザベスはちょっと読みすぎですが、「読書の秋」に「むし」の本を
手に取ってみてはいかがでしょうか?
参考図書
『はらぺこあおむし』
エリック=カール/さく,もり ひさし/やく 改訂 偕成社 1989.2
『エリック・カール絵本の世界 いろのまほうつかい』 ブックグローブ社 2004.4
『増山雪斎~大名の美意識』
増山 雪斎/[画],桑名市博物館/編集 桑名 桑名市博物館 2007.10
『本物そっくり!昆虫の立体切り紙 ハサミだけでつくれる』
今森 光彦/著 日本ヴォーグ社 2015.5
『ほうさんちゅう ちいさなふしぎな生きもののかたち』
松岡 篤/監修,かんちく たかこ/文 アリス館 2019.7
『リアルサイズ古生物図鑑 古生物のサイズが実感できる! 古生代編』
土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2018.8
『リアルサイズ古生物図鑑 古生物のサイズが実感できる! 中生代編』
土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2019.8
『リアルサイズ古生物図鑑 古生物のサイズが実感できる! 新生代編』
土屋 健/著,群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2020.10
『エリザベスは本の虫』サラ・スチュワート/文,デイビッド・スモール/絵
福本 友美子/訳 アスラン書房 2003.10
「放散虫」の美しさと不思議さを感じさせる素晴らしい写真集ですね、まさに地球の深い歴史が感じられます!
aisyah 様
スタッフブログをご覧いただきありがとうございます。
5億年前に誕生し、少しずつ姿を変え進化してきたという「放散虫」
その生態はいまだ謎につつまれています。
自然が生み出す美しさには圧倒されますね。