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桑名市立中央図書館、開館20周年を迎えました!
2024年4月1日(月)|投稿者:kclスタッフ
2004年10月に開館した桑名市立中央図書館は、2024年に20周年を迎えます。
みなさまのおかげで20周年を迎えることができました。ありがとうございます。
これを記念して、図書館では「つなぐ・つながる」をテーマに2024年4月~2025年3月までの1年間に記念イベントを開催いたします!
2023年に募集したデザインで作成したペーパーブックカバーの配布や、スタッフからのメッセージ、ワークショップなど1年を通して図書館を盛り上げていきたいと思います。ぜひご参加ください☆
また、特集内容も20周年を記念した内容での開催予定です。
各イベントの詳細は、随時、ホームページにてお知らせします。
ご期待ください。
4月最初のイベント
2024年4月1日(月)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、なばなです。
春麗らかな日、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
4月1日は、エイプリールフールです。
エイプリルフールとは、どのような日なのでしょうか? なぜ嘘をついてもよいのでしょうか?近年は、企業や組織などが嘘のニュースやコンテンツを発信しており、どれもおもしろい嘘ばかりです。この機会に嘘に関する本を読んでみては、いかがでしょうか。
最初にご紹介するのは、こちらです。
(マーク・カーランスキー/著,橋本 恵/訳 あすなろ書房 2023.8)
いつの時代も噓を活用する為政者がいました。なぜ人は「大きな噓」にだまされてしまうのか、世界的ベストセラー作家が歴史上の大きな噓を検証し、正しい判断をするためのヒントを示しています。
次にご紹介するのは、こちらです。
(トリ・テルファー/著,富原 まさ江/訳 原書房 2023.2)
本書は、カリフォルニアで起きた「マリーアントワネットの首飾り事件」についてです。2018年のカリフォルニアで発生した、史上最大のボランティア詐欺です。登場する
女詐欺師の生き様は実に多様で、19世紀末から20世紀にかけてアメリカに生きたキャシー・チャドウィック。噓一つで、銀行家や実業家から数百万ドルの大金を巻き上げました。
前世紀初頭の欧米に、革命の犠牲となったロシア皇帝のニコライ二世の四女・アナスタシアを名乗る女性が出現し、己を裕福に見せ、富豪一族にふさわしい財産の持ち主だと信じさせました。そんな女性を描いた1冊です。
最後は、こちらの1冊です。
(フランシス・ハーディング/著,児玉 敦子/訳 牧野千穂/装画 大野リサ/装幀 東京創元社 2017.10)
2015年に、コスタ賞(旧ウィットブレッド賞)の児童文学の全部門を受賞し、2017年に刊行された『影を呑んだ少女』の最終候補作に選ばれました。
19世紀英国を舞台に、嘘をつき続けながら、真実を問う不思議な木を描いています。
今回は嘘に関する本を3冊ご紹介しました。
「嘘」を「嘘」だと告げることができる、エイプリルフールこそ、正直な日なのかもしれませんね。
博物館×中央図書館 令和5年度ML連携セミナー(第8弾)「『刀剣アラカルト』の味わい」を開催します!
2024年3月5日(火)|投稿者:kclスタッフ
ML連携とは、博物館(Museum)と図書館(Library)が連携し、共通のテーマに沿って企画展示やセミナーを開催する協力活動です。
中央図書館では、博物館展示のテーマに合わせた関連書籍の展示や、博物館職員等によるセミナーを行います。
画像をクリックすると拡大します(PDF)
第8弾は博物館企画展「刀剣アラカルト」の開催に合わせて、関連書籍展示と桑名市博物館職員によるセミナー「『刀剣アラカルト』の味わい」を行います。
<セミナー紹介>
刀剣は皆、この世に二つとないただ一振りだけの個性を持っています。
「刀剣アラカルト」展では各刀剣のユニークな特徴に着目し、刀工の美意識が表現された全体の姿、鉄を折り返し鍛錬することによって生み出される刀身の肌、焼き入れによって現れる刃文など、その刀剣だけにしかない魅力をご紹介しています。
今回のセミナーでは、それぞれの好みや視点から作品をご賞味いただくために、刀剣・刀装具の鑑賞方法や展示作品の見どころなど、展覧会の「味わい方」についてお話します。
※状況により変更・中止となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願いいたします。
<日程>
博物館×中央図書館 令和5年度ML連携企画 セミナー「『刀剣アラカルト』の味わい」
講師:桑名市博物館 塩田 奈実
日時:3月24日(日) 午後1時30分から午後3時
場所:くわなメディアライヴ 2階
資料代:200円 ※おつりのないようご用意ください
定員:50名(先着順、事前申込制)※定員になり次第締め切ります
申込み方法:直接窓口、または電話で中央図書館へ
申込み開始:3月11日(月)午前11時~ ※受付は各日午後5時まで
問い合わせ:桑名市立中央図書館 〒511-0068 桑名市中央町三丁目79 0594-22-0562
「こばと春休みスペシャル2024」を開催します!
2024年2月27日(火)|投稿者:kclスタッフ
文学と桑名~松尾芭蕉と泉鏡花~
2024年2月10日(土)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは、志るべです。
立春を過ぎ、季節はもう春。
とはいえ、まだまだ寒い日がつづいています。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
4階「歴史の蔵」の前では、2月1日~3月26日(2月2日~7日は蔵書点検で休館)、「文学と桑名」と題して特集展示を行っています。
今年度の「昭和の記憶収集資料展」の講演会のテーマも文学でした。
講師は郷土史家の西羽晃(にしは あきら)先生で、昭和初期の桑名ゆかりの文学者、堺利彦、高橋俊人、中原中也についてお話ししていただきました。
今回の特集展示では、松尾芭蕉と泉鏡花を取り上げています。
伊賀上野出身の松尾芭蕉は、三重県人にとって身近な存在で、「芭蕉さん」と親しく呼ばれています。
生涯旅をつづけた芭蕉は各地にゆかりの地がありますが、ここ桑名にも何度か立ち寄っています。
展示では、桑名の白魚を詠んだ句を紹介しています。
芭蕉さんも、桑名産の白魚を賞味されたのでしょうか。
「野ざらし紀行」の旅の途中、桑名で詠んだ句がこちら、
明ほのやしら魚しろきこと一寸
(『芭蕉全句 上巻』 加藤 楸邨/著 筑摩書房 1969 所収)
同じ白魚を詠んだ句ですが、『笈日記』(各務支考/編)には、
雪薄し白魚しろき事一寸
(『日本名著全集 江戸文芸之部 第3巻 芭蕉全集』所収)
とあります。
この二作、「雪薄し」の句が初案の句とされ、最初「雪薄し」と詠みましたが、雪の白と白魚の白では印象が散漫になるため、「明ほのや」に改めたと考えられています。
現在、浜の地蔵(龍福寺)には両方の句碑があり、昭和43年2月20日、「芭蕉「野ざらし紀行」跡白魚句碑等」として、市の指定文化財(史跡)に指定されました。
くわしくは4階の特集展示をご覧ください。
句碑について書かれた本は、こちらをどうぞ。
『桑名市の指定文化財』(桑名市教育委員会 1985)
『くはな文学碑めぐり』(むらさき会/編 むらさき会 1991.1)
『三重県の文学碑 1 北勢編』(本城 靖/著 三重県郷土資料刊行会 1976)
また、春日神社には芭蕉直筆の短冊があります。
明ほ乃や白魚白き事一寸 芭蕉桃青
こちらも昭和41年(1966)11月22日、市の文化財(書跡)の指定を受けています。
さて、もう一人は、泉鏡花です。
鏡花は、石川県金沢町(現・金沢市)生まれで、父・清次は彫金師、母・鈴は能楽師の娘です。
鏡花は母親を早くに亡くし、母への感情は、作品の主要なテーマの一つとなっています。
桑名を舞台とした作品に『歌行燈』(泉 鏡花/作 改版 岩波書店 2017.6)があります。
明治42年(1909)、鏡花ら文芸革新会の一行は、鳥羽、宇治山田、桑名、名古屋などを旅行し、講演会を開いています。この講演旅行の際の見聞を踏まえて『歌行燈』は執筆されました。
鏡花らは船津屋に宿泊しました。
船津屋は、昔の大塚本陣を改築した旅館兼料理屋で、揖斐川を臨む絶景の地にあり、作中では、「湊屋」として登場しています。
当時の船津屋は戦災で焼失し、現在の船津屋は戦後に建てられました。
昭和14年(1939)、久保田万太郎が新生新派のために劇化した縁で、船津屋には久保田万太郎の句碑があります。句には、湊屋裏河岸から這いあがっていたずらする獺(かわうそ)の姿が詠まれています。
かはをそに火をぬすまれてあけやすき 久保田万太郎
などと、さも鏡花の作品にくわしいかのように書いておりますが・・・
これまで何度も『歌行燈』(読破)にチャレンジし、その度に挫折。
読み通せたことがありませんでした。
『歌行燈』が発表されたのは明治43年(1910)
今から100年以上前の作品とはいえ、きちんと活字化されているし、注もたくさん付いています。
明治の文豪、鴎外や漱石よりも後に生れている鏡花の作品が読み進められないなんて。
お恥ずかしい限りですが、文章に馴染めないのです。
独特の文体もさることながら、話がややこしい。
うどん屋と湊屋、二つの場面が入れ替わりながら話が進んでいきます。
おまけに『東海道中膝栗毛』(『新編日本古典文学全集 81 東海道中膝栗毛』 小学館 1995.6 所収)の一節が随所に組み込まれていて、これまたややこしい。
言い訳ですが、挫折する要素、満載です。
そんな体たらくの私なのですが、今回初めて読み終えることができました。
その力強い味方となったのがこちらの一冊。

『本当にさらさら読める!現代語訳版 泉鏡花<観念・人世>傑作選』(泉 鏡花/著,秋山 稔/監修,白水 銀雪/訳 KADOKAWA 2020.8)
タイトルに歌われているとおり、さらさら読めるように訳されています。
ストーリーがわかってから読み直すと、原文も読みやすく感じました。
作中に登場する『東海道中膝栗毛』も、現代語抄訳でいかがでしょう。

『現代語抄訳で楽しむ 東海道中膝栗毛と続膝栗毛』( [十返舎 一九/作],大石 学/監修 KADOKAWA 2016.9)
『東海道中膝栗毛』に親しむことで、『歌行燈』の世界をよりお楽しみいただけるのではないでしょうか。
茶屋で焼蛤を食べて一休みする旅人の姿、行燈が掛かる町を走り抜ける人力車、当時の桑名の風景が浮かんできます。
図書館の展示を見て「おうち読書」を楽しみながら、あと少し、本格的な春の訪れを待ちませんか?
<引用・参考資料>
『芭蕉全句 上巻』 加藤 楸邨/著 筑摩書房 1969 /911.3/カ/1
『日本名著全集 江戸文芸之部 第3巻 芭蕉全集』 日本名著全集刊行会 1929 /918/ニ/
『くはな文学碑めぐり』 むらさき会/編 むらさき会 1991.1 AL/902/ク/
『三重県の文学碑 1 北勢編』 本城 靖/著 三重県郷土資料刊行会 1976 AL/902/ミ/
『桑名市の指定文化財』 桑名市教育委員会 1985 AL/709/ク/
『泉鏡花<観念・人世>傑作選 本当にさらさら読める!現代語訳版』 泉 鏡花/著,秋山 稔/監修,白水 銀雪/訳 KADOKAWA 2020.8 /913.6/イズ/
『歌行燈』 泉 鏡花/作 改版 岩波書店 2017.6 AL/936/イ/
『新編日本古典文学全集 81 東海道中膝栗毛』 小学館 1995.6 Z/918/シ/81
『現代語抄訳で楽しむ東海道中膝栗毛と続膝栗毛』 [十返舎 一九/作],大石 学/監修 KADOKAWA 2016.9 AL/292/ジ/
<志るべ>