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夏休みの厄介者
2022年6月2日(木)|投稿者:kclスタッフ
こんにちは。ばんこです。
ジメジメとした季節がやってきました。しかし、この季節が終わる頃には、夏休みです。
さて、夏休みと言えば、やはり、「自由研究」(桑名では「調べる学習」)ではないでしょうか?
これが休みの最後まで、どっしりと残っていると、なかなか夏休みを楽しめない…
この気持ちは、もしかしたら子どもたちよりも、保護者の方が共感していただけるかもしれません。
ということで、今回は、「自由研究」=「調べる学習」についての本を、いろいろご紹介したいと思います。
夏休みの自由研究に、自分自身の国を作ってしまった男の子の絵本があります。
『ウエズレーの国』
ポール・フライシュマン/作,ケビン・ホークス/絵,千葉 茂樹/訳
あすなろ書房 1999.6
いじめられっ子で、家族とも上手くいっていないウエズレー少年は、夏休みに自分だけの国を作る事にしました。
植物を育て、住むところ、服、食べ物、遊びまで、必要なものは何でも自分で作り上げていきます。
仕上げにはなんと文字までつくって、ウエズレーの国の歴史書を書いてしまいます。
近所の友達は、夏休み中、なんだか楽しそうなウェズレーに興味津々。
しょうがないから、少しお手伝いをさせてあげたりもします。
さて、夏休みが終わるころ、ひとりぼっちだったウェズレーには、どんな変化が
起きているのでしょうか?
とても楽しい自由研究のお話です。
何を研究するか?テーマを決めることもなかなか難しいです。
やってみたい事と、内容が年齢に合わず、どうやって調べよう?どうやってまとめよう?等…
ウェズレーのような自由研究は、なかなかハードルが高いですが、
まずは、ちょっとした疑問に目を向けてみてはいかがでしょうか?
『NHKカガクノミカタ 自分だけの「フシギ」、見つけよう,小学生・中学生の「問い」をたてる力を育てる! 1 観察してみよう』
NHK「カガクノミカタ」制作班/編,ヨシタケシンスケ/絵 NHK出版 2019.8
ヨシタケシンスケさんの絵が非常に目を引くこの本は、教育番組を書籍化したものです。
一つの不思議から、予想をたて、次の不思議へと探っていく過程を紹介しています。
シリーズは3冊あり、取り上げられているテーマが面白いです。
テーマを見つけるきっかけにしてみてはどうでしょうか?
後半には、研究のまとめ方も、簡単にのっています。
まずは、気になる不思議を探してみてください。
『NHKカガクノミカタ 自分だけの「フシギ」、見つけよう,小学生・中学生の「問い」をたてる力を育てる! 2 予想してみよう』
NHK「カガクノミカタ」制作班/編,ヨシタケシンスケ/絵 NHK出版 2019.8
『NHKカガクノミカタ 自分だけの「フシギ」、見つけよう,小学生・中学生の「問い」をたてる力を育てる! 3 実験してみよう』
NHK「カガクノミカタ」制作班/編,ヨシタケシンスケ/絵 NHK出版 2019.8
気になる不思議を見つけたら、それが、もしかしたらものすごい発明につながるかもしれません。
『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』
マウゴジャタ・ミチェルスカ/文,アレクサンドラ・ミジェリンスカ/絵,
ダニエル・ミジェリンスキ/絵,阿部 優子/訳 徳間書店 2016.2
大昔から現代までの、非常におもしろい発明の成功作・失敗作を集め、ユニークなイラストで紹介しています。
古代の神殿の自動ドアから、3Dプリンターでつくる月面基地まで、突っ込みどころ満載ですが、なぜそうなる?と、他人の思考をちょっとのぞいてみるのも楽しいものです。
さて、実際に自由研究をやってみよう!…となると、家にあるもので出来ないかなぁ~とか、短時間で終わらないかなぁ~とか…希望はいろいろ出てくると思います。
そこで、子供が楽しめ、お腹もいっぱいになり、宿題も終わるそんな一石三鳥な本です。
『ふしぎ!理科実験スイーツ おいしい自由研究』
WILLこども知育研究所/編著,ダンノマリコ/料理,尾嶋 好美/科学監修 金の星社 2021.6
この本のなによりうれしいところは、家にあるモノで手軽に出来るところ。
わざわざ薬局や、ホームセンターで買ってきて準備するものが(ほとんど)ない!←この準備が面倒くさい…
実験→予想→結果→わかったこと の順番でのっているので、この通りに書いていけば、まとめまで、出来てしまいます。(まとめかたの例ものっています。)
保護者にとっても、夏休みの「お昼ごはん」と「おやつ」は、重大案件なので、自分でつくってくれるのであれば、非常に助かります…
そして、作るのが楽しい!と思ってもらえたら、ちょっと変わったスイーツを作る本があります。
『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』
前川 佳代/著,宍戸 香美/著 かもがわ出版 2021.9
平安時代の古典に出てくるスイーツレシピの本です。枕草子の「けずり氷」、源氏物語の「椿餅」等…
現代風の材料に置き換えてはありますが、平安時代の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか?
簡単な作者の紹介や、作品の内容なども載っています。
これをきっかけに、読書感想文に、古典作品を読んでみよう!
なんていうことになるかも?しれません。
調べるのは良いけど、やっぱりまとめ方がよくわからない…自由研究の際、一番悩むポイントではないかと思います。
賞をとった人の研究を、がっつりと見てみたい方におススメするのが、第22回「図書館を使った調べる学習コンクール」の小学生部門で、「文部科学大臣賞」を受賞した作品を書籍化したものです。
『桃太郎は盗人なのか? 「桃太郎」から考える鬼の正体』
倉持 よつば/著 新日本出版社 2019.9
作者の倉持よつばさんは、この作品のために、200冊以上の本を読み、いろいろな鬼に関係する場所に出かけ、専門家の話を聞き、作家さんの講演会に参加し…
とにかく調べる事に対する熱量がすごい!
調べようと思ったきっかけは、『空からのぞいた桃太郎』という一冊の絵本だったそうです。
『空からのぞいた桃太郎』
影山 徹/著 岩崎書店 2017.9
絵本から、調べたい事を見つけ、それを実行する、本人も素晴らしいですが、周りの大人の方々の協力も素晴らしいなぁと思います。
中央図書館には、第17回「桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」の上位入賞作品のレプリカが展示してあります。そちらも是非参考にして見てください。
自由研究ではないですが、夏休みの宿題によくある工作。
学校の授業でも、最近はキットが多いなぁ~と個人的に思います。
『ノマはちいさなはつめいか』
ヒョン ドク/文,チョウ ミエ/絵,かみや にじ/訳 講談社 2010.5
小さなノマが、段ボールで汽車を作る それだけのお話なのですが、自分の作りたいものを考え、材料をそろえるところから始めて、試行錯誤し、何かを作ることって、最近あったかな?
と考えてしまいました。
なんでもお店でそろう時代です。
今どきではない事も、忙しい保護者の面倒くささもわかっていますが、この本を読むと、自分で考える事は大事だなぁと思います。
子どもたちが、新しい事をはじめる時によく言っていたのが、「失敗したら恥ずかしい」です。
でも、自由研究は『失敗』しないと良いものが出来ません。
予想通りの結果に終わってしまったら、そこで終わり。
予想と結果が違う事を『失敗』とするのなら、どんどん『失敗』したら、どんどん研究が進みます。
「『失敗』してもいいんだよ」と教える絶好の機会!かもしれません。
ぜひ、今年の夏休み、親子でも、自由研究に挑戦してみてはいかかでしょうか?
(「図書館を使った調べる学習コンクール」には親子の部もあります。)
参考図書
『ウエズレーの国』ポール・フライシュマン/作,ケビン・ホークス/絵,千葉 茂樹/訳 あすなろ書房 1999.6
『NHKカガクノミカタ 自分だけの「フシギ」、見つけよう,小学生・中学生の「問い」をたてる力を育てる! 1 観察してみよう』NHK「カガクノミカタ」制作班/編,ヨシタケシンスケ/絵 NHK出版 2019.8
『NHKカガクノミカタ 自分だけの「フシギ」、見つけよう,小学生・中学生の「問い」をたてる力を育てる! 2 予想してみよう』NHK「カガクノミカタ」制作班/編,ヨシタケシンスケ/絵 NHK出版 2019.8
『NHKカガクノミカタ 自分だけの「フシギ」、見つけよう,小学生・中学生の「問い」をたてる力を育てる! 3 実験してみよう』NHK「カガクノミカタ」制作班/編,ヨシタケシンスケ/絵 NHK出版 2019.8
『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』マウゴジャタ・ミチェルスカ/文,アレクサンドラ・ミジェリンスカ/絵,
ダニエル・ミジェリンスキ/絵,阿部 優子/訳 徳間書店 2016.2
『ふしぎ!理科実験スイーツ おいしい自由研究』WILLこども知育研究所/編著,ダンノマリコ/料理,尾嶋 好美/科学監修 金の星社 2021.6
『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』前川 佳代/著,宍戸 香美/著 かもがわ出版 2021.9
『桃太郎は盗人なのか? 「桃太郎」から考える鬼の正体』倉持 よつば/著 新日本出版社 2019.9
『ノマはちいさなはつめいか』ヒョン ドク/文,チョウ ミエ/絵,かみや にじ/訳 講談社 2010.5
イベント情報『「大人の図書館ツアー」を開催します!』
2022年5月31日(火)|投稿者:kclスタッフ
日時|2022年6月26日(日) 13:30~16:00
場所|桑名市立中央図書館 4階 研修室2
対象|18歳以上の方
定員|12名 ※申込多数の場合は抽選となります
参加費|無料
申込方法|電話または中央図書館カウンターへ
申込期間|2022年6月9日(木)10:30~6月16日(木)17:00
申込・問合先|桑名市立中央図書館 0594-22-0562
※6/17 追記
申込受付を終了いたしました。
申し込みされた方へは、順次連絡いたしますので、しばらくお待ちください。
ご関心をお寄せいただき、ありがとうございました。
普段見ることができない返却ポストの中など館内の見どころをご案内します。
また、本を棚に並べる配架体験や、レファレンス(調べ物)体験を企画しています。ぜひご参加ください!
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加される際は、マスクの着用やアルコール消毒の利用などのご協力をお願いいたします。
また、発熱等の症状がみられる方、県外の利用者の皆様につきましては参加をご遠慮いただきますようお願いいたします。
#kclスタッフおすすめ本 『司書が書く図書館員のおすすめ本』
2022年5月20日(金)|投稿者:kclスタッフ
【 とにかく読んでほしい本 】
『司書が書く図書館員のおすすめ本』
(日本図書館協会図書紹介事業委員会/編 日本図書館協会 2021)
2021年6月18日より始まりました、#kclスタッフおすすめ本。
およそ1年間に渡り、今回の1冊を含めて合計30冊の本をご紹介してまいりました。
みなさまと本との出会いのキッカケとなっていれば幸いです。
ご紹介した30冊は、こちらからご覧いただけます。(PDFファイルで開きます)
常日頃から本に触れ、文字に親しむ図書館スタッフが厳選しておすめした#kclスタッフおすすめ本ですが、その「図書館員が本を紹介する」という事自体をテーマに書かれた本があります。
それが、今回ご紹介する『司書が書く図書館員のおすすめ本』です。
この本は、日本図書館協会図書紹介事業委員会が、『図書館雑誌』(2016年10月~2019年2月号)に掲載された全国の司書による書評101点を収録し、書評集としてまとめたものです。
「司書は、書評の書き手としてまだまだ認知されていないのが現状です。」
と、はじめに記載がある通り、「本を紹介する」人として司書を思い浮かべる人は、中々少ないのではないでしょうか。
この本は、司書が書評を書く意味自体に触れ、現在の図書館の選書や蔵書構成の問題についても考えさせられます。
司書の書評だけでなく、その書評を読んだ出版人、書店員、研究者の方々による評価も掲載されています。
どんな時に、どんな人の事を思い本を選んだのか。
その司書の思いを読み取り、想像し、書評を評価する。
ただ「おすすめ本」が掲載されているだけでなく、書評をどう書くのかを知る事も出来ます。
内容が少し難しく感じるかもしれませんが、図書館員だけでなく、本を愛する全ての人に読んでいただきたい一冊です。
来月からも、#kclスタッフおすすめ本はテーマを新たにして続きます。
今後の展開をご期待ください。
▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『司書が書く図書館員のおすすめ本』
▼出版社
日本図書館協会
▼書影画像元
版元ドットコム
博物館×中央図書館 令和4年度ML連携企画(第1弾)「『とりてん』の見どころ」を開催します!
2022年5月19日(木)|投稿者:kclスタッフ
ML連携とは、博物館(Museum)と図書館(Library)が連携し、共通のテーマに沿って企画展示やセミナーを開催する協力活動です。
中央図書館では、博物館展示のテーマに合わせた関連書籍の展示や、博物館職員等によるセミナーを行います。
第1弾は博物館展示「とりてん」の開催に合わせて、関連書籍展示と桑名市博物館職員によるセミナー「『とりてん』の見どころ」を行います。
私たち人間にとって「鳥」は、その姿や声を鑑賞するだけでなく、絵画作品に描いたり、昔話などの物語に登場させたり、文化的にも親密な関係であったといえるでしょう。
初夏の企画展では「とりてん」と題し、鶴や鷹、雀など、様々な種類を‘‘とり’‘揃え、館蔵品コレクションの中から鳥を題材にした作品を展示します。
またセミナーでは展覧会出品作を例に、鳥たちの姿を創作のモチーフにし、絵画や工芸品などに表現したその背景をご紹介します。
博物館展示「とりてん」について、セミナーを聞いて、博物館展示への理解を深めてみませんか?
※状況により変更・中止となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願いいたします。
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企画名:博物館×中央図書館 令和4年度ML連携企画 セミナー「『とりてん』の見どころ」
講師:桑名市博物館 竹上 友梨
日時:令和4年6月4日(土) 午後1時30分から午後3時
場所:くわなメディアライヴ 2階 第1会議室
定員:30名(先着順、事前申込制)※定員になり次第締め切ります
申込み方法:直接窓口、または電話で中央図書館へ
申込み開始:5月23日(月)午前10時30分~ ※受付は午後5時まで
問い合わせ:桑名市立中央図書館 〒511-0068 桑名市中央町三丁目79 0594-22-0562
#kclスタッフおすすめ本 『今日は誰にも愛されたかった』
2022年5月6日(金)|投稿者:kclスタッフ
【 とにかく読んでほしい本 】
『今日は誰にも愛されたかった』
(谷川 俊太郎/[著],岡野 大嗣/[著],木下 龍也/[著] ナナロク社 2019年刊)
この本には、詩人と歌人による詩と短歌の「連詩」と、本人たちによる「感想戦」が収録されています。
「連詩」とは、複数の詩人が同じ場に集い数行の詩を交互に書き連ねていくものですが、この本では、詩人と歌人がそれぞれ別の場で一編一首に三日をかけて制作しています。
詩人は谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう)さん、歌人は岡野大嗣(おかの だいじ)さんと木下龍也(きのした たつや)さん。やりとりはLINEで行われました。
岡野さんからスタートし、谷川さん→木下さん→谷川さん→岡野さんに戻るという形で進んでいきます。
「受け取った三日後にはバトンを渡す」というルールで、四ヶ月かけてできあがりました。
この順番でわかるとおり、岡野さんと木下さんの間に必ず谷川さんを挟んでいるので、全三十六作品の内、谷川さんが十八編、岡野さんと木下さんがそれぞれ九首を制作しています。
その後、谷川邸で「感想戦」が繰り広げられました。
受け取った作品をどう読み、どのように創作したのか。「感想戦」は三人の話を横で聞いているような気分で読みました。
谷川さんの詩に突如登場する「市川」なる人物に対して、岡野さん、木下さんが「市川」って誰だ? となるところでは、思わず、「そうそう、誰?」とあいづちを打ちました。
本の構成は、最初に、一ページ一作品で作者名の入った「連詩」があり、「感想戦」をはさんで、最後にもう一度、作者名をのぞいた「連詩」が掲載されています。
初めの「連詩」はあくまでそれぞれが独立した作品にみえるのですが、後の「連詩」は不思議、これはもう一つの作品、一編の詩です。最初に、後の「連詩」を読めば、「連詩」であることに気づかないかもしれません。
親子ほど年齢差のある谷川さんと岡野さん、木下さんが、お互いの詩や短歌についてとても楽しそうに話しています。
あとがきで谷川さんが書いているように、「我々三人が年齢は違っても、コトバといちゃつくことに眉をひそめたりはしない人種だから」こそできたことなのでしょう。
ぜひ、詩と短歌による、ちょっと不思議な「連詩」の世界をお楽しみください。
▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『今日は誰にも愛されたかった』
▼出版社
ナナロク社
▼書影画像元
版元ドットコム
※次回更新は2022年5月20日(金)の予定です