おすすめ本カテゴリの記事一覧
【予告】#kclスタッフおすすめ本
2021年6月11日(金)|投稿者:kclスタッフ
2021年6月18日(金)より、中央図書館スタッフがおすすめする本の紹介コーナー
#kclスタッフおすすめ本
を当ブログ内でスタートします。
おすすめ本は、次の7つのテーマに沿ってご紹介していきます。
・はじめて買った本
・繰り返し読む本
・人生の転機になった本
・装丁が好きな本
・無人島に持っていく本
・とにかく読んで欲しい本
・衝撃を受けた本
絵本や一般書、最近出版された本から古典まで。
同じテーマであってもスタッフ毎に捉え方が異なれば、選ぶ本の種類も異なります。
常日頃から本に触れ、文字に親しむ図書館スタッフが厳選しておすすめする#kclスタッフおすすめ本、今後の展開をぜひご期待ください。
「雪」の本はいかがでしょうか?
2018年12月9日(日)|投稿者:kclスタッフ
みなさま はじめまして。
新しくブログ担当となりました「ばんこ」と申します。
楽しい児童書を中心に、ご紹介できればと思います。
さっそくですが、今回は、寒い季節にぴったりの「雪」に関する本をご紹介します。
「雪は天から送られた手紙である」
この言葉をご存じでしょうか?
世界で初めて人工的に雪の結晶を作りあげた中谷宇吉郎(なかや うきちろう 1900年~1962年)の言葉です。
中谷宇吉郎は、優秀な科学者であるだけでなく、素晴らしいエッセイも書かれています。
タイトルの印象的な言葉のほか、人工雪を作るプロセスなどが詳細に書かれており、実際に実験がおこなわれた、北海道の寒さを感じることができます。また化学者らしく論理的な思考で、日々のちょっとした疑問に対し、私達にもわかりやすく説明してくれています。
児童書ながら、読みごたえのある1冊です。
『雪は天からの手紙(岩波少年文庫)中谷宇吉郎エッセイ集』
(中谷 宇吉郎/[著],池内 了/編 岩波書店 2002)
大人になると、ついついやっかいだなぁ と思ってしまう雪ですが、雪合戦、雪だるま、ソリ遊びと子ども達には大人気です。
そんな「雪」が大好きな子どもの目線で書かれた絵本があります。
作者はユリ・シュルヴィッツです。
少し灰色がかった表紙一面に降る雪。
一見、暗い印象ですが、読んでみると、大人も子どもも、雪が降ることが待ち遠しくなってきます。
『ゆき』
(ユリ・シュルヴィッツ/作,さくま ゆみこ/訳 あすなろ書房 1998)
みなさんご存じのように、雪の結晶には一つとして同じ形のものはありません。
この雪の結晶が、どのようにつくられているのかを、小さな子どもにも解りやすく教えてくれる本があります。
雪の赤ちゃんは、実は雲の中にある小さなチリです。
このチリを芯にして、雲の中を落ちながらどんどん成長していきます。
地面に向かって落ちながら、湿度や気温によって様々な形に変化し成長するのです。
一つとして同じ形はない 環境によって変化する 雪も人間も同じだなぁと感じます。
『雪の結晶ノート』
(マーク・カッシーノ/作,ジョン・ネルソン/作,千葉 茂樹/訳 あすなろ書房 2009)
こちらは、表紙からとても綺麗な雪の結晶の写真に、谷川俊太郎さんのやさしい詩が添えられています。
中谷宇吉郎も研究をした、北海道 大雪山の雪の結晶の写真です。
『きらきら』
(谷川 俊太郎/文,吉田 六郎/写真 アリス館 2008)
生涯をかけて、雪の結晶の写真を撮り続けた人がアメリカにいます。
ウィルソン・A・ベントレー(1865年~1931年)です。そのベントレーの伝記絵本です。
アメリカの豪雪地帯である、バーモント州生まれのベントレーは、農夫として生活しながら、アマチュアの雪の研究家として、高く評価されています。
彼が死ぬ間際に出版した『snow crystals』(洋書 1931年)は世界中の科学者に影響を与えました。
『雪の写真家 ベントレー』
(ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン/作,メアリー・アゼアリアン/絵,千葉 茂樹/訳 BL出版 1999)
実は日本には、ベントレーよりも100年ほど前、江戸時代に雪の結晶の本を書いた殿様がいます。
下総国古河藩第4代当主(現在の茨城県)土井利位(どい としつら [寛政元(1789)年~嘉永元(1848)年])です。
この殿様は、写真ではなく、絵で雪の結晶を記録し、『雪華図説』(1832年)という一冊の本にまとめています。
こちらから見る事ができますので、ぜひご覧下さい。
『雪華図説』(国立国会デジタルコレクション)
『江戸時代の科学者 2 関東・中部・伊能忠敬ほか』
(西田 知己/著,たごもり のりこ/絵 汐文社 2014)
古くから雪は、多くの人を魅了してきたようです。
綺麗な雪の結晶も良いですが、身近なおもしろい雪の写真がのった本もあります。
題名の通り、おかしな雪の写真がメインになっています。
笑ってしまうような雪や、氷が登場します。
ひらがなで書かれているので、小さなお子様でも自分で読める本になっています。
『おかしなゆきふしぎなこおり』
(片平 孝/写真・文 ポプラ社 2012)
これからどんどん寒さが増してきます。
“天からの手紙”でもある「雪」に、親しんでみてください。
そして、雪の降る日に外に出て、これらの本に描かれていることを体感し、楽しんでみてはいかがでしょうか?
<参考図書>
『雪は天からの手紙』中谷 宇吉郎/[著],池内 了/編 岩波書店 2002
『中谷宇吉郎 雪を作る話』中谷 宇吉郎/著 平凡社 2016
『ゆき』ユリ・シュルヴィッツ/作,さくま ゆみこ/訳 あすなろ書房 1998
『雪の結晶ノート』マーク・カッシーノ/作,ジョン・ネルソン/作,千葉 茂樹/訳 あすなろ書房 2009
『きらきら』谷川 俊太郎/文,吉田 六郎/写真 アリス館 2008
『雪の写真家ベントレー』ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン/作,
メアリー・アゼアリアン/絵,千葉 茂樹/訳 BL出版 1999
『おかしなゆき ふしぎなこおり』片平 孝/写真・文 ポプラ社 2012
『江戸時代の科学者 2 関東・中部・伊能忠敬ほか』西田 知己/著,
たごもり のりこ/絵 汐文社 2014
※以下の2冊は、桑名市立中央図書館では所蔵しておりません
『snow crystals』(by W.A. Bentley and W.J. Humphreys)
『雪華図説』(土井 利位/著,1832)
「雪華図説」は、「近代デジタルライブラリー」でインターネット公開されています。
ぜひご覧ください。
<ばんこ>