「木簡」と桑名
2016年2月28日(日)|投稿者:kclスタッフ
桑名市立中央図書館スタッフブログ『ブックとラック』をご覧のみなさま、こんばんは。
花粉の飛ぶこの季節は、快適な室内で読書をしながら春の訪れを待っている
<くわにゃん>です。
私が読んでいるのは主に紙の本ですが、紙が生まれるより前の時代には、本の歴史とも関わりの深い「木簡(もっかん)」というものが使われていたようです。
広辞苑 第六版によると、木簡は「木札に文字などを書きしるしたもの。中国では、付札にしたり、横に並べ、紐で綴って文書としたりして、戦国時代から唐代まで使用。日本でも平城宮跡などから出土。(後略)」と説明されています。
木簡は、紙が発明されるまで、記録メディアのひとつとして、主に中国で使われていました。
木簡以外は、世界各地で甲骨・石板・粘土板や、パピルス、パーチメント(羊皮紙)、木の葉なども使われていました。
長い文章は、何枚もの木簡に書き、ひもで編んで、巻物状にしていたようです。
図書・図書館史には「古代中国では、紙の発明以前の記録メディアは、竹や木の細長い板(竹簡・木簡)であった。紀元前1000年頃から使われ始めたとみられている。記録方法は、筆を使って『書く』形に変わった。木や竹を短冊形に削り、これを獣の皮や糸で綴じて巻き物にしたのが、東アジアでの図書の始まりである。(中略)日本の場合、8世紀頃(律令政府時代)まで、ヒノキやスギを原材料とする木簡が多く使われた。」とあります。
日本でも、奈良時代にはすでに使われていた歴史ある木簡ですが、
実は日本で最初に発見されたのが、ここ桑名市・多度町の柚井遺跡(ゆいいせき)なのです!
桑名のいろは によると、「(前略)昭和36年(1961)平安神宮跡から40点発見されて話題となりました。(中略)この遺跡からは昭和3年(1928)に地元の郷土史家伊東富太郎によって木簡が発見されて、2点が県の指定文化財になっています。」
桑名市博物館紀要 第二号に、『柚井遺跡出土の木簡(第三号)の緊急報告』という記載がありました。それには、柚井遺跡で発掘されたのは木簡だけではなく「(前略)主な遺物は、土器・木製品・竹製品・金属製品・獣骨・種子・貝殻・石片などである。」となっています。
また、桑名市博物館には、柚井遺跡より発見された「墨書土器(ぼくしょどき)」の所蔵があります。
<くわにゃん>
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