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夏の定番

2024年7月8日(月)|投稿者:kclスタッフ

こんにちは、なばなです。

暑い日が続いていますね。

去年の夏は全国の平均気温が統計開始以降の最高記録だったそうですが、今年も更新しそうな勢いを感じます。

こんな少しでも涼しくなりたい夏の定番の一つなのが ・・・怖い話ですよね。

というわけで、今回はひんやりと涼しくなるような怖い話の本を紹介します。

 

 

まず初めに紹介するのはこちら。

芦沢 央/著『火のないところに煙は』(新潮社刊)

 

 

作家である主人公に舞い込んだ、あるホラー企画。

過去の忌まわしい記憶と向き合う為に、主人公は怪談を集めていきますが、やがて思いもよらない結末に繋がっていき・・・

この小説は短編ホラーでありながら、完成度の高いミステリーでもあります。

それぞれの怪談に残された謎。それが解かれた時に浮かび上がる、話の本当の怖さ。

そして、タイトルに隠された意味。それら全てに気づいた時、納得と恐怖で血の気が引きました。

ホラーとミステリー、二段重ねの恐怖を味わえる本です。

 

 

 

次に紹介するのはこちらです。

井上 宮/著『ぞぞのむこ』(光文社刊)

 

 

架空の町の漠市を中心に、そこに関わった人々の不条理を書いた短編小説です。

漠市に踏み入れてから始まる、白昼夢から悪夢に落とされるような不気味さと理不尽な展開。

怖さと気持ち悪さと悲しさを一気に詰め込まれるような読後感・・・

読んでいる時はお腹いっぱいだと感じていたのに、読み終えても続きを探している自分に、また恐怖を感じました。

 

 

 

最後に紹介するのはこちら。

今までゾッとするような怖さばかりだったので、少し毛色の違った本を紹介します。

大城 道則/著,芝田 幸一郎/著 角道 亮介/著『考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』(ポプラ社刊)

 

 

世界を股にかける考古学者たちが、現地であった怖い体験を書いたノンフィクションエッセイです。

発掘で人骨は当たり前。行く先々で出会うはゲテモノ料理と自然の脅威、果ては本当に怖いのは人間の話まで。

あらゆる面での怖い目に遭っても、遺跡のためにエンヤコラと突き進む考古学者たち。

その情熱とタフさは感動すらしてきます。

未知の怖さも冒険の楽しさも味わえる本です。

 

 

 

怪談と言えば、桑名にも有名な幽霊の話があります。

桑名市清水町に現在もある浄土寺に伝えられた、「幽霊飴」という話です。

こちらは『東海の民話』のP243、『読みがたり三重のむかし話』のP23、『伊勢・志摩の民話』のP17、『桑名の伝説・昔話』のP231と複数の資料に収録されています。

 

江戸時代の頃、浄土寺の門前に飴忠(あめちゅう)という飴屋がありました。

そこに一人の女が毎晩飴を買いに来るようになったのですが、それ以来なぜか売上金の中に木の葉が一枚混ざるようになりました。

あの女が原因だと考えた店主が、帰る後をつけていくと、その女は浄土寺の墓地でフッと消えてしまったのです。

恐ろしくなった店主は、翌日住職と一緒に墓地の女が消えた場所に行くと、墓の下から赤ん坊の声が聞こえます。

驚いて墓を掘ると、女に抱かれた赤ん坊が飴を舐めていました。

女は我が子を育てるために、幽霊になって飴を買いに来ていたのです。

事情を悟った店主と住職は、泣いている赤ん坊を引き取り、女を手厚く埋葬してあげました。

飴忠はこれ以来、地蔵盆の時期に飴を売るようになり、人々はこれを「幽霊飴」と呼んだそうです。

 

幽霊飴の話は各地にあるそうですが、桑名の浄土寺では8月23日、24日の夕方に実際に「幽霊飴」が販売されているそうです。

幽霊の出てくる話ではありますが、怖いというよりも人情を感じる話ですね。

 

幽霊の怖い話、妖怪の怖い話、人間の怖い話。

どんな話でも不思議と最後まで読みたくなるのが、怖い話の一番の怖さかもしれませんね。

 

<参考資料>

『東海の民話』(毎日新聞社学芸部/編 六法出版 1982 YL388ト)

『読みがたり三重のむかし話』(三重県小学校国語教育研究会/編 日本標準 2004.6 AL388ミ)

『伊勢・志摩の民話』(倉田 正邦/編 未来社 1961 AL388イ)

『桑名の伝説・昔話』(近藤 杢/編,平岡 潤/編 桑名市教育委員会 1965 YL388.1ク)

 

 

【開館20周年記念イベント】第2弾 てづくりランプシェード

2024年6月27日(木)|投稿者:kclスタッフ

クリックすると拡大します(PDFで開きます)

 

日 時|2024年7月21日() 10:30 ~ 12:00
場 所|桑名市立中央図書館 4階 研修室2
定 員|16名(先着順)
対 象|小学生以上
工作をするため汚れても良い服装でご参加ください
参加費|無料

 

※2024/7/4 17:05更新
好評につき定員に達したため、申込受付を終了いたしました。
ご関心をお寄せいただき、ありがとうございました。
(キャンセル待ちはありません)

 

申込方法|桑名市立中央図書館窓口、または電話で受付
申込期間|7月4日(木)11:00~7月18日(木)17:00(定員になり次第終了)
申込先|桑名市立中央図書館  0594-22-0562

 

 

桑名市立中央図書館の開館20周年記念イベント第2弾として開催します。
カバーに絵を描き、デコレーションをして、自分だけのランプシェードを作ろう!

 

カテゴリー:イベント | コメント (0) | 

「百科事典を使って調べよう!」を開催します!

2024年6月10日(月)|投稿者:kclスタッフ

クリックすると拡大します(PDFで開きます)

 

日時|2024年7月13日() 10:30 ~ 12:00
場所|桑名市立中央図書館 4階研修室2
対象|小学生
定員|親子8組(先着順、要保護者同伴)
持ち物|筆記用具
参加費|無料

 

申込方法|桑名市立中央図書館児童窓口、または電話で受付
申込期間|6月24日(金)11:00 ~ 7月1日(月)17:00
申込先|桑名市立中央図書館  0594-22-0562

 

※2024/6/30 13:00更新
好評につき定員に達したため、申込受付を終了いたしました。
ご関心をお寄せいただき、ありがとうございました。
(キャンセル待ちはありません)

 

 

『総合百科事典ポプラディア』を使って調べる学習の体験をします。
はじめて自由研究や調べる学習コンクールに挑戦する方におすすめのイベントです。

 

カテゴリー:イベント, 児童, 調べる学習 | コメント (0) | 

【開館20周年記念イベント】第1弾『切り絵を体験しませんか?』を開催しました!

2024年6月4日(火)|投稿者:kclスタッフ

2024年5月26日(日)、「桑名市立中央図書館 開館20周年記念イベント第1弾」として、切り絵の体験イベントを開催いたしました。

 

募集時からたくさんのご応募があり、みなさんの関心の高さを感じました。
中学生からご年配まで幅広い年代にご参加いただきました。

スタッフの説明を熱心に聞いていただき、切り絵に取り組む意欲を感じることができました。

 

 

最初に簡単な図形を切って、カッターの具合や紙の厚さなどに慣れていただきました。

 

 

事前に用意しておいた図案から選び、切っていただきました。

 

 

最後にフォトフレームに入れて完成です!

 

みなさん、終始集中して取り組んでいただきました。

今回の体験を通して、切り絵の無心で打ち込める楽しさや、完成させる達成感などが伝われば幸いです。

 

 

今後も「桑名市立中央図書館開館20周年記念イベント」では、楽しいイベントを企画中です。

第2弾以降もお楽しみに!!

 

 

カテゴリー:イベント | コメント (0) | 

江戸の桑名の水事情

2024年6月1日(土)|投稿者:kclスタッフ

こんにちは、かぶらです。
梅雨の気配が近づき、道端の紫陽花にもよく目がとまる季節になりましたね。
雨の日にお気に入りの傘や雨具を身に着けてお出かけするのも楽しいですが、お家でゆっくり読書をするのはいかがでしょうか?
今回は「雨」にちなんで、江戸時代の桑名の水事情についてご紹介したいと思います。

 

 

現代では、どこの家庭でも蛇口をひねれば綺麗な水が流れる桑名ですが、かつては「白く濁った“桑名の蛤水”」と揶揄されたこともありました。
2017年公開のブログ「諸戸家と桑名」でも少しご紹介しましたが、桑名は木曽・揖斐・長良川の河口に位置し、もともと海であった場所に泥砂が堆積してできた低湿地です。
この為、古来から水質が良くなく、少し白く濁った水を「桑名の蛤水」といわれました。

 

江戸時代の桑名のガイドブックともいえる資料、長円寺の僧・義道による『久波奈名所図会 影印校注 上巻』に天正元亀(1570~1592)以前の桑名の様子を描いた絵図があります。
今とは異なる当時の町屋川(現在の員弁川)・大山田川の流れがよくわかります。
※義道と『久波奈名所図会』については、2020年公開ブログ「桑名駅が生まれ変わりました!」にて詳しくご紹介しています。

 

『久波奈名所図会 影印校注 上巻』 より「益田庄桑名三﨑天正元亀以前之圖」

 

町屋川や大山田川から汲んできた水を飲料水として売る「水売り」が成り立ったのも、当時の桑名の水質によるものでした。
しかし、日々川へ水を汲みに行っては町中で売るというのも中々手間がかかります。
そこで、桑名藩第4代藩主・松平定行の命によって、寛永3年(1626)より上水道が建設され、完成したのが御用水道、のちの「町屋御用水」です。

 

全長は吉津屋御門から町屋川水源まで約2キロメートル。
水源から御門までは自然の勾配に従って開渠(かいきょ/*蓋掛けされていない水路)で通され、御門より城下の町へは、地中の樋管を通って水が運ばれます。
江戸時代に造られた飲料用の水道としては、“水道のはじめ”といわれる江戸の神田水道が有名ですが、町屋御用水は全国で6番目にできたもので、当時の桑名の土木技術の高さを窺えます。
『久波奈名所図会 影印校注 下巻』の「鍛冶町御門」の図では、右上に「用水通」が描かれています。

 

『久波奈名所図会 影印校注 下巻』より「鍛冶町御門」

用水通

 

町中を走る用水通が描かれたものは少なく、大変貴重な図です。
用水通を通る水を汲むため、町の所々に水汲井戸を設けて人々は生活用水に使いました。
このような井戸は「通り井」と呼ばれ、江戸の中頃には城内・武家地・町人地を合わせ、200基を越えたと言われています。

 

通り井の賑わいの様子も『久波奈名所図会 影印校注 上巻』に描かれています。

 

『久波奈名所図会 影印校注 上巻』より「通り井」

 

井戸自体は手前の屋根に半分ほど隠れてしまっていますが、石造りの井戸枠が見えます。
一般的な井戸によく見る滑車は設けられていないことから、この井戸は滑車式ではなく、長い竿の付いた釣瓶を使って人々は水を汲んでいたのでしょう。

 

かつて桑名の町中を巡った町屋御用水ですが、明治37年(1904)に諸戸水道が開通したことにより、およそ280年の役目を終えました。
現在では町屋川からの取水口から益世小学校東側に至る区間の約1キロ少々だけが、かろうじて水路としての姿を偲ばせています。
残る大半については、本来の流路すら定かでない部分が多いようです。

 

しかし、昭和37年(1962)9月23日に行われた江戸町から川口町へかけてのガス・水道工事の折に、通り井の遺構である石組みが発見されました。
これは江戸町通り井のうちの一つで、同じ道筋に位置する川口町でも平成2年(1990)3月に通り井の枡が発見されています。
この位置を後世に伝えるため、発見地点の路面には「井」と彫られた目印の石が埋め込まれました。

 

「井」と刻まれた石(2016年スタッフ撮影)

 

「町屋御用水」の解明を目的とした、本格的な発掘調査はこれまで実施されていません。
川口町の通り井遺構のように、道路工事など偶然によるものでなければ中々発見することは難しく、また、体系的な調査が行われないままに終わることがほとんどです。
しかし、平成30年(2018)に市が行った伝馬町の伝馬公園における遺跡発掘調査で、上水道管が初めて敷設された状態で発見されました。
東西方向に複数接続した状態で出土した土管は、瓦と同じように焼かれ、城下の瓦師が大量生産したものではないかと推測されます。
発掘調査で当時の使用状況が具体的に分かったのは初めてで、とても貴重な成果でした。

 

 

 

今回は江戸の桑名の水事情についてご紹介しました。
雨が上がって外へ出た時に、「もしかして、この下に江戸時代の水道が残っているかも?」なんて考えながら桑名の街を歩いてみるのも楽しいかもしれませんね。
お出かけのお伴に『久波奈名所図会』もいかがでしょうか?

 

 

<参考資料>
『久波奈名所図会 影印校注 上巻』(義道/著,工藤 麟渓/挿図,久波奈古典籍刊行会/編集 光書房 1977序 AL292ギ)
『久波奈名所図会 影印校注 下巻』(義道/著,工藤 麟渓/挿図,久波奈古典籍刊行会/編集 光書房 1977あとがき AL292ギ)
『町屋御用水調査報告書』(桑名市教育委員会 2004 L519マ)
『日本の上水 増補改訂』(新人物往来社 1995 AL518ホ)
『中日新聞地方版縮刷版(三重県北勢版) 平成30年9月~12月(2018)』(双光エシックス(制作) 中日新聞社 [2019] L071チ)
※「町屋御用水」の記事は2018年12月6日p15にあり

 

 

<かぶら>

 

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