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#kclスタッフおすすめ本 『こいぬがうまれるよ』

2022年1月14日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 繰り返し読む本 】

『こいぬがうまれるよ』
(ジョアンナ・コール/文,ジェローム・ウェクスラー/写真,つぼい いくみ/訳 福音館書店 1982年刊)

 

皆さんは、動物は好きですか?犬や猫などのペットは飼っていますか?

 

子どもの頃、私は動物、特に犬が大好きでした。当時、週末や長期休暇になると、犬や猫がいる祖母の家に泊まりに行くことが楽しみで仕方がなかった記憶があります。

 

そんな私が幼稚園の頃からずっと繰り返して読んでいる本が、今回紹介する『こいぬがうまれるよ』という写真絵本です。
約40年前に出版された絵本なので、一度は読んだことがある方もいるかもしれません。
児童書でよく見かける、カラフルで、かわいいイラストの絵本ではなく、白い表紙にセピア色の子犬の実写、そして黒字のタイトル…
今思えば、写真絵本とはいえ、子ども向けにしては随分シックな感じだと思います。
それでも、セピア色の写真の子犬1匹が愛くるしい目でこちらを向いている表紙に私はそそられました。

 

ページをめくると、
「いいことおしえてあげようか?」
と問いかけられ、「え?なに?なに?」と好奇心でページをめくりたくなります。
当時の自分と同じくらいの女の子の目線で、親犬の出産から、生まれた子犬1匹を引き取って飼うまでを写真と文で追いかけていきます。

 

地面につきそうなくらい大きなお腹の母犬が陣痛と出産で苦しんでいる姿…
生まれた子犬たちが日に日に成長していく姿…

 

子どもの頃は、子犬の愛くるしさ、主人公の女の子目線で読んでいましたが、大人になってからは、主人公の女の子目線ではなく、母犬に対してのいろいろな思いが強くなります。無償の愛で母犬が子犬たちを育てていく姿を見て、私を産んでくれた母親のことを思い出すと共に、感謝の気持ちが溢れてきます。

 

「あぁ、最近、お母さんと話していないなぁ…」
「オカン、いちいちうるさいなぁ…」
こんなこと、思った方はぜひ…

 

命の大切さを知るとともに、母親への感謝の気持ちが溢れる絵本です。

 

!ご注意!
児童向け絵本とはいえ、生まれた瞬間の写真もありますので、苦手な方はご注意ください。

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『こいぬがうまれるよ』(1982年刊)
『こいぬがうまれるよ』(2000年刊)

 

▼出版社
福音館書店

 

※次回更新は2022年1月21日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『ミライの授業』

2022年1月7日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 とにかく読んで欲しい本 】

『ミライの授業』
(瀧本 哲史/著 講談社 2016年刊)

 

テレビで著者のニュースをやっていました。社会を変革する若者を育てたいと、エンジェル投資家として活躍し、京都大学でも学生を指導する彼の人柄に惹かれた私。
早速図書館で著者の本を調べ、この本を見つけました。

 

私は、めまぐるしく変わる世の中のスピードについていけず、SNSやアプリの活用、そして携帯の操作自体にも、日々の進化に戸惑うばかり。
そんな私が子どもたちに「勉強しなさい」と言っても説得力はなく、彼らは華麗にスルー。
そりゃそうだ、子どもたちの方がパソコンもアプリもSNSもサクサク使いこなしています。
こんな調子だから、未来を生きる子どもたちに何を伝えていったらいいのか、わからなくなってしまいました。そんな時に出会ったこの本。藁をも掴む思いで読み始めます。

 

この本は、2015年に著者の瀧本哲史さんが、未来を生きる14歳の生徒に向けて行った講義を、ぎゅっと凝縮したものです。
「何をどう考えるのが大事なのか」が、分かり易くしかも鋭く指摘されていて、世の中を変えて未来をつくる若者を育てたいという、著者の熱い思いがビシバシ伝わってきます。

 

この本の中で、瀧本さんは、大人たちをこう記しています。
「大人たちは過去の住人だ」
「古い世代の人たちに世界を変える力はない。世界を変えるのは、いつも「新人だ」(トーマス・クーンという科学者の言葉を引用)」
「いま、みなさんには『大人にはみえないもの』が見えています」
等など。
私にはグサグサ突き刺さるものばかり。でも納得です。だからどうしたらいいかわからず、困っていたのだもの。

 

その上で、若者に学ぶ意味を解説し、未来をつくる5つの法則を伝授していきます。
彼は、本気で未来をつくろうと思うなら、過去を知る必要があると断言し、過去の偉人たちが、どんなふうに育ち、何を考え、何に疑問を抱き、どんな壁を乗り越えて世の中を変えたのかを紹介。

 

そこからみえてくる法則を解説します。
世界を変えたニュートンは万有引力そのものを発見したわけではない?
「戦場の天使」と言われるナイチンゲールが、暴いた戦争の真実とは?

戦後、22歳の女性が日本社会を変えた?等。
全部で19人の偉人たちを引き合いに導き出される法則は、まさに圧巻。「なるほど。そう考えればいいのか!」と私の心にストンと落ちてくるのでした。

 

読み終わった後に思ったことは、「ああっ、私が14歳の時にこの本に出会いたかった!」ということ。
しかし彼は最後に、この本を14歳の人だけでなく、すべての「かつて14歳だった大人たち」におくりたいと書いてくれています。たとえ何歳であろうと未来をあきらめることは許されないし、彼自身が未来を信じているからだそうです。少し救われました。未来をつくる法則を実行できるよう、がんばってみようと思えたのです。

 

そして私はいつにもまして真剣に、「この本には、世の中を変え、未来をつくる方法が書かれているの。きっと勉強をする意味もわかるはず」と子どもたちに手渡しました。
子どもたちは、今度はスルーせず、読んで「面白かった!こんな授業があれば良いのに」と言ってくれました。

 

皆さんも、是非!

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『ミライの授業』

 

▼出版社
講談社

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

※次回更新は2022年1月14日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『あるヘラジカの物語』

2021年12月24日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 衝撃を受けた本 】


『あるヘラジカの物語』
(星野 道夫/原案,鈴木 まもる/絵と文 あすなろ書房 2020年刊)

 

星野道夫が遺した一枚の写真から生まれた物語。
自然で暮らす動物たちの壮絶なドラマと命の繋がりが描かれている。

 

星野道夫といえば、教科書にも載っている『森へ』が有名だが、多くの野生生物の姿を写真におさめている。
同じ動物好きとして親交のあった鈴木まもるは、ある夜、星野の遺した二頭のヘラジカの不思議な写真を夢にみて、アラスカへ飛び、この絵本ができあがった。
命をかけて戦うオス同士の激しい戦いのあと、絡まってはずれなくなってしまった角。
引くに引けない戦いが緊張感をもって描かれ、死をもって二頭の戦いは終わる。

 

しかし、その後も命のリレーは繋がっていく。
読み終わったあと、何とも言えない喪失感と生命の残酷さ、それでも命を繋いでゆく自然界の姿に衝撃を受けた。
荒々しい戦いの描写の後、また始まる新しい命の描写。失う「命」と生まれる「命」。
どちらの命も美しいと思える素晴らしい絵本。

 

読んだ後、みなさんはどのように感じますか?

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『あるヘラジカの物語』
『森へ』(星野 道夫/文・写真 福音館書店 1996年刊)

 

▼出版社
あすなろ書房

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

※次回更新は2022年1月7日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『日本史を学ぶための図書館活用術』

2021年12月17日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 とにかく読んで欲しい本 】

『日本史を学ぶための図書館活用術』
(浜田 久美子/著 吉川弘文館 2020年刊)

 

調べごとがある人はもちろん、さしあたり調べたいことがない人も、本書を読めばさまざまな辞典を引きたくなる、図書館に来たくなるのではないでしょうか。

 

初めて日本史を学ぶ人のために、辞典や年表の活用方法を紹介した一冊です。

タイトルに「図書館活用術」とありますが、図書館の利用案内ではなく図書館の所蔵する参考図書のガイドブックとなっています。

著者は国立国会図書館で長年人文系のレファレンスを担当した浜田久美子氏。

日本古代史の研究者でもあり、その立場から学生の辞典の利用機会が減少していることへの危惧もあって執筆を決意したと記しています。

本の冒頭にはレポートを作成するための情報収集の仕方や、集めた資料のまとめ方、出典の書き方なども紹介されており、初めて課題に取り組む学生にはよい道案内となるでしょう。

 

さて、本書の内容ですが、辞典ごとに項目数や配列方法、収録範囲、索引の有無といった基本事項や図版・付録の使い方まで解説するほか、辞典の成立背景まで知ることができます。

また、紙の辞書のほか、最近の研究論文を探すためのデータベースも取り上げられています。辞典類は刊行から数十年以上経過しているものも多く、先行研究の把握も必要なためです。

 

さらに本書では、史料を読むための古語辞典やくずし字辞典も扱っています。

当館の「歴史の蔵」にも江戸時代の資料などがありますが、中を開いて「読めない……」とがっかりするのではなく、これらの辞典も駆使して取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに、本書を刊行した吉川弘文館からは『日本史を学ぶための<古代の暦>入門』『日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法』『日本古代史を学ぶための漢文入門』『日本近代史を学ぶための文語文入門』なども出版されています。

 

いずれも中央図書館で所蔵しているので、調べものの際はこちらもぜひ参考にしてください。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『日本史を学ぶための図書館活用術』
『日本史を学ぶための<古代の暦>入門』(細井 浩志/著 吉川弘文館 2014年刊)
『日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法』(苅米 一志/著,日本史史料研究会/監修 吉川弘文館 2015年刊)
『日本古代史を学ぶための漢文入門』(池田 温/編 吉川弘文館 2006年刊)
『日本近代史を学ぶための文語文入門』(古田島 洋介/著 吉川弘文館 2013年刊)

 

▼出版社
吉川弘文館

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

※次回更新は2021年12月24日(金)の予定です

#kclスタッフおすすめ本 『わすれられないおくりもの』

2021年12月10日(金)|投稿者:kclスタッフ

【 繰り返し読む本 】

『わすれられないおくりもの』
(スーザン・バーレイ/さく え,小川 仁央/やく 評論社 1986年刊)

 

ご紹介する本は、スーザン・バーレンさんが書かれた『わすれられないおくりもの』という絵本です。

 

年老いたアナグマは、知らないことがないくらい物知りで、自分に死が迫っていることも知っていました。
そして森の友達たちに手紙を残して、とうとう旅立ってしまいました。
かけがえのない友を失った森のみんなは、深い悲しみを抱えて冬を越しました。
そして春になり、外に出られるようになったみんなは、お互いにアナグマとの思い出を語り合ったのです…。

 

この絵本は、「死」というテーマについて、悲しい気持ちをそっと包み込んでくれる温かく優しい物語です。
大切な人を残して旅立つ者の気持ち、そして残された者の気持ちが丁寧に描かれています。
森の動物たちはアナグマからそれぞれ知恵や工夫という「宝物」をもらい、お互い助け合っていくことができました。
「死」を通して、生き方をも教えてくれるお話です。

 

私は読む度に、もし自分がアナグマだったら何ができるだろうと考えてしまいます。
これからも、人生の折に繰り返し読みたい本です。

 

お子さんだけでなく、大人の方にもぜひ読んでいただきたいです。

 

 

▼本の貸出状況は、こちらから確認いただけます
『わすれられないおくりもの』

 

▼出版社
評論社

 

▼書影画像元
版元ドットコム

 

※次回更新は2021年12月17日(金)の予定です

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