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図書館で本を探すには!(基礎編)

2016年1月29日(金)|投稿者:kclスタッフ

桑名市立中央図書館スタッフブログ「ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。平八郎です。

先日のブックとラックでは読みたい本を探すには、ということで図書館の蔵書検索機「OPAC」について触れました。今回は本を探して、手に取るまでを実践したいと思います。

例えば、「まだまだ寒い日が続くので寒中見舞いの手紙を出してみようかな。」と思い立ったとします。年賀状を出し忘れてしまった方は、近況の報告にいかがでしょうか。

『大人の冠婚葬祭マナー新事典』には
「寒中見舞いは松の内(元日~1月7日)が開けた8日から立春(2月4日頃)までに出す。立春を過ぎたら、「余寒お見舞い申し上げます」にする。」とありますので、今からでも間に合います。

ということで早速、OPACで資料を検索してみましょう。
まずは標準蔵書検索のキーワードに「寒中見舞い」と入力します。

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検索画面です

すると、検索結果が表示されます。

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検索結果です

今回は二番目の「美しく書くかなの年賀状」という資料を確認します。

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資料詳細画面です

ここの画面の右の方に「印刷」というボタンがあります。こちらをクリックすると、レシートが印刷されます。
ちなみに、ちょっとした小技ですが左の方の「資料詳細」を選ぶと、資料の詳しい内容などを見ることができます。

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レシートの印刷機です。

このレシートを見れば、館内のどこに資料が保管されているかが、すぐにわかるようになっています。

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赤いラインに注目してください

まずは①「所蔵館」をご覧ください。これは中央図書館、多度ふるさと文学館、長島輪中図書館のどこが持っているかという項目です。レシートの資料が中央図書館にあれば、「所蔵館:中央」と出ます。ここが「多度」や「長島」となっていると、残念ながら中央図書館が持っていない資料ですので、直接所蔵館へ借りに行っていただくか、予約をしていただいて、取り寄せとなります。
②「所蔵場所」を確認します。ここは中央図書館内のどこにあるか、という項目です。「所蔵場所:一般」は3階の一般書コーナーですね。「一般」の他には「児童」「ティーンズ」は児童コーナー、「桑名・三重」「調べるための本」は4階など、目的の資料が今どこにあるかを一目で把握できるよう、細かく分けられています。ただし「書庫」となっている場合はスタッフがお出ししますので、レシートをカウンターへお持ちください。
③「請求記号」をご覧ください。 請求記号はどういう順番に資料が並んでいるかを示すもので、図書館資料の背表紙の下の方に貼ってあるラベルに書かれています。ほとんどの資料には3~5桁の数字+1~2文字のカタカナでこの請求記号がついています。この資料の場合「728.5 オ」ですね。
この数字は資料を分類するためにNDC(日本十進分類法)を基に決められています。カタカナは主に著者の頭文字から取っています。
④「状態」のチェックも忘れてはいけません。ここが「貸出中」になっていると、その資料は借りられていて、館内にないということです。そんな時は資料の予約サービスをご利用ください。「予約・リクエスト用紙」に記入してカウンターにお持ちいただくか、図書館ホームページのOPACからも予約が可能です。

それでは、レシートを手に一般書フロアを探索しましょう!
棚の側面を見ながら通路を進みます。

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棚の側面は本を探す際の重要な手がかりです

このように、棚の側面には「この棚にはこの請求記号の資料がありますよ!」との案内が出ています。レシートに印字されている請求記号を見ると「728.5」……側面に見える723~760に含まれます。
棚の本は請求記号の順番で並んでいますので、まずは数字を見て、カタカナを五十音順に確認していくと……

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著作権で保護されているため、本の表紙は写せません。申し訳ありません!

この通り、「728.5 オ」のところで無事に資料を発見できました! ただ、背が高い資料は棚の一番下の段に並んでいることがあります。見つけられない時はレシートの「大きさ」もご確認ください。大きさが23cmの資料は、下の段に並んでいる可能性があります。
図書館では、請求記号を基に資料を並べて探しやすいようにしていますが、同じ請求記号が付けられている資料も多くあります。その際はお手数ですが資料の題名や著者等、確認し易い項目で目的の資料をお探しください。

ここまで資料を探す時の基本的な流れを説明させていただきました。ブックとラックをご覧のみなさまの、快適な図書館ライフの一助となれば幸いです。また、レシートを見て探してみたけど資料が見つけられない!という時もあると思います。その場合はカウンターへお問い合わせください。

次は、今回で紹介しきれなかった「所蔵場所」と「請求記号」の話を掘り下げた応用編を予定していますのでお楽しみに!

< 平八郎 >

今回の参考資料(書名をクリックするとOPACの詳細ページのリンクが開きます)
大人の冠婚葬祭マナー新事典』 岩下 宣子/監修 朝日新聞出版 2015.8
美しく書くかなの年賀状』 奥江 晴紀/著 木耳社 2004.10

年末年始のお休みに読みたい本を探すには?

2015年12月17日(木)|投稿者:kclスタッフ

桑名市立中央図書館スタッフブログ「ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。平八郎です。

早いもので2015年もあと少し。もういくつか寝ると、お正月がやってきますね。今回は年末年始の図書館の休館と、貸出期間延長のお知らせです。

【桑名市立中央図書館の休館期間】
12月28日(月)~1月3日(月)

【図書・雑誌の延長】
12月14日(月)~12月27日(日)の貸出……3週間の貸出

【CD・DVDの延長】
12月21日(月)~12月27日(日)の貸出……2週間の貸出

期間中は、通常より一週間長く貸出ができますので、たくさん本を借りていってください!

たくさん本を借りたいけれど、図書館には本がありすぎて……という方もいらっしゃると思います。以前のブックとラック(クリックでリンクします)では図書館発行のフリーペーパーL.A.Kや、図書館のBSコーナー、一般特集コーナーといった展示物を紹介しました。ご活用していただければ幸いです。

今回は年末年始のお休みに向けて、「図書館に来てみたけど、探している本はあるかな?」という時に使えるものをご紹介したいと思います。
図書館内に設置してあるOPACと呼ばれるものです。

OPAC (2)

3階にあるOPACです

図書館ではOPACと呼称しますが、簡単に言えば蔵書検索用の端末のことです。なぜOPACという名前なのかといいますと……

『図書館用語集 四訂版』 日本図書館協会 には
オーパック OPAC:Online Public Access Catalog
「〈オンライン利用者用目録〉または〈オンライン閲覧目録〉の略称。オパックとも読む。図書館蔵書の書誌情報をコンピュータに記録し、その図書館の蔵書データベースを作成すると、その図書館のMARC(マーク、機械可読目録)ができる。このMARCを利用して、利用者が直接端末機からオンラインで図書館のセンターマシンと接続し、蔵書データベースを検索できるようにした目録システムのことで、オンライン目録といわれることもある。」

『図書館情報学』 上田 修一/編著 勁草書房 には
「OPACは「Online Public Access Catalog」の頭文字であるが、オンラインの利用者向け目録という意味である。」

という説明が記載されています。

図書館ホームページにある検索ページも、OPACと呼ばれるものです。中央図書館のスタッフは、ホームページのOPACを「Web OPAC」。館内に設置してあるOPACを「館内OPAC」と区別して呼んでいます。

今回のブックとラックは、今ではほとんどの図書館にあるであろう、このOPACについて触れたいと思います。

中央図書館のOPACは一般フロアに三台、児童フロアに一台、四階に一台設置してある他、実はくわなメディアライヴの一階にも設置してあります。

OPAC (3)

机の上には端末の他にも利用案内や掲示物が置いてあります。

まずは基本的なところから。マウスとキーボードの操作もできますが、実は画面がタッチパネルになっていて、画面に触れるだけで操作もできます。

メニュー画面です。

メニュー画面です。

クリックまたはタッチすると、メニュー画面がでてきます。ここで使いたい機能を選択します。

標準蔵書検索
キーワード検索のみのシンプルな検索ですね。

詳細蔵書検索
「図書を探す」「雑誌を探す」「CD/DVDから探す」「全てから探す」「一般書を探す」「児童書を探す」「絵本・紙芝居を探す」と図書の大きな括りを選択します。探したい項目を選択すると、タイトル、著者、出版社、キーワードなどが入力できます。標準蔵書検索では検索ヒット数が多すぎて、もう少し絞り込みたいときなどに有効です。

新着図書
新しく入った本を一覧で見ることできます。新着図書は約3ヶ月の間、ここに表示されます。新着図書をご覧になられる時、注意していただきたいのが、新着図書は「図書館に新しく入った本」であるということです。出版年が少し前のものでも、当館に受け入れたのが最近であれば、新着図書として表示されます。

テーマ一覧
テーマに沿って集めた本の一覧を見ることができます。常時掲載されているものもありますが、特集のように期間限定のものもありますので、定期的にチェックしてみてください。

予約の多い資料
中央図書館でたくさんの予約があった資料を、ランキング形式で見ることができます。図書、雑誌、AVとそれぞれの分野で、今何が人気なのかを知ることができます。

お知らせ・カレンダー
図書館の休館やイベントの情報などを見ることができます。

Myライブラリ・設定変更
現在借りている資料や予約中の資料、My本棚の確認。登録のメールアドレスなどの設定変更ができます。

様々な検索方法でOPACから資料を検索して、目的の本が見つたったら、どこの棚にあるのかを調べることができます。資料詳細画面の「Map」をクリックすると本のある位置に印が表示されます。また印刷されるこのレシートを見れば、この本がどこにあるのかが素早くわかるようになっています。

図書の詳細が記されたレシートがでてきます。

一枚のレシートに、その資料の情報が詰まっています

レシートの見方、本の探し方はまたブログで取り上げたいと思っていますのでお楽しみに!

< 平八郎 >

桑名の郷土について調べたい時には・・・

2015年12月5日(土)|投稿者:kclスタッフ

「ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。
「12月24日」といえば、増田神社で行われる”伊勢大神楽”を連想するようになりました、< かぶら >です。

普段は、全国各地を回って神楽を奉納している”伊勢大神楽”。
この日ばかりは、桑名の増田神社境内で全曲奉納が行われます!
桑名っ子としては、ぜひ一度は見てみたいこの行事。
見てみたいけれど、都合が悪くて・・・。
という方は、中央図書館内にある、”KCL桑名市映像アーカイブス”をご利用ください!
NHKアーカイブス 旅する獅子~三重・滋賀~にて、奉納の様子だけでなく、伝統芸能を受け継ぐ伊勢太神楽講社の方々の貴重な姿もご覧いただけます。
アーカイブスのご利用方法は、こちらの記事で紹介しております☆

 

今でこそ、”伊勢大神楽”に夢中な私< かぶら >ではありますが、実はその存在を知ったのはここ数年のこと・・・。
存在を知り、もっとよく知りたいと思った私の手助けをしてくれたのは、中央図書館内各所に設置している、この”パスファインダー”です!

郷土担当スタッフの力作です!

郷土担当スタッフの力作です!

2015年12月現在で、全6種類ございます。

・伊勢大神楽について
・桑名藩士について
・諸戸家について
・上げ馬神事について
・~日本一やかましい祭~石取祭について
・桑名の千羽鶴について

各分野毎に、よく寄せられる質問と、それに関する豆知識・関連資料をご紹介しています。
関連資料は、中央図書館内にあるものですので、お手にとってご覧いただけます♪

 

ではここで、実際にパスファインダーを使って調べてみましょう!
今回は、特に多い「桑名藩士のご先祖様探し」の方法をご紹介します☆

例:「『桑名日記』の“渡部平太夫”について知りたい」

幕末の頃、桑名藩士として勤めていた平太夫。桑名藩の飛び地であった柏崎にいる息子と、日々の出来事を綴った日記を交換していました。
わかるのは“幕末に桑名にいたこと”“名前”。
さて、パスファインダーによると・・・
「桑名藩主は、本多家久松松平家奥平松平家の三つの家系が入れ替わっています。
そのため「桑名藩士」と言っても、仕えた家によって調べる資料が異なります。」

なんと!ずっと同じ一族が藩主を務めていたわけではないのですね・・・。
更に、それぞれ資料が違うだなんて・・・
どこに仕えていたのかもわからないのに・・・
なんだか難しそう・・・

と、ここで諦めてしまうのはもったいない!
もう一度、パスファインダーをよく読んでみましょう。

 

まずは、徳川家康の重臣として有名な、本多忠勝の「本多家」

桑名藩初代藩主でしたが、その後他の藩へと移り、幕末の頃は現在の愛知県岡崎市で維新を迎えたそうです。
となると、幕末の頃に桑名にいた平太夫は、本多家の家臣ではないことがわかりました。

同じく「奥平松平家」も、現在の埼玉県行田市で維新を迎えたとあるので、ここではない。

となると、残っているのは・・・

「久松松平家は越後国高田藩、陸奥国白河藩などを経て、桑名で幕末を迎えます」

よし!これで平太夫が「久松松平家」に仕えていたことがわかりました!
藩主の国替えと一緒に史料も移動してしまうけれど、「久松松平家」なら中央図書館で調べられます。

家臣の資料なら・・・
『本の籬(もとのまがき)』インターネットでも公開しています。※ご覧いただくには、Adobe Reader が必要です)
家中永代分限帳といえるもの。
御書院格の各家累代略歴など。

『桑名藩分限帳』
各年代の分限帳や、町割軒別名前覚(住所録のようなもの)など。

『桑名藩史料集成』
『桑名藩分限帳』にはない時代の分限帳など。

※分限帳とは、家臣の名前や禄高、地位や役職を記したものです。

 

この他にも、たくさん資料はあるけれど今回は『桑名藩分限帳』を見てみましょう。
『桑名藩分限帳』は、一番後ろに家臣の名前索引が付いているので、とっても調べやすい♪

索引で“渡部平太夫”を探すと、分限帳や町割に名前が見つかりました!
なるほど、今でいうここに住んでいて、こんな仕事をしていたんだなぁ・・・。

 

おっと、今回ご案内するのはここまでにしておきましょう。
平太夫のことが気になってしまった方、他のパスファインダーも気になってしまった方は、ぜひ中央図書館内にあるパスファインダーをご覧ください。
3階の一般カウンター、書架案内図の下、4階のカウンターの3箇所にございます。

 

このパスファインダーを使えば、郷土の歴史を自分自身の手で調べることができます。
もうすぐ年末。
学校の宿題や、親戚が集まる場での話のネタに、パスファインダーを使って郷土のことを調べてみませんか??

 

< かぶら >

図書館の本を末長くご利用いただくために。

2015年11月30日(月)|投稿者:kclスタッフ

ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。
年越し準備を前に、自室の積読の山を崩しにかかっている< ぐりこ >です。
積読の本は、自分で気に入って買ったもの、しかも新品同様のピカピカなものばかり。
本を手に取ると、ついついページを開いて読み始めてしまうので、その時間(意思の弱さ?)も計算に入れて、蔵書の整理を楽しんでいます。

そんな個人の積読とは反対に、図書館の本は、たくさんの方に何度も何度も読まれます。
本は読まれれば読まれるほど、どうしても傷んでしまうことがあります。
ページがはずれたり、破れたり…
みなさまが大切に読んでくださっても、紙で出来ている以上、避けられない劣化です。

図書館では、市民のみなさまの財産である大切な本を、できるだけきれいな状態で長期間ご利用いただけるよう、傷んでしまった本を、専門の道具や技術で修理しています。

桑名市立中央図書館の修理道具

普段使っている修理道具の一部です

わたしたち図書館スタッフは、修理が必要な資料の製本の種類紙の性質利用頻度などを見極めて、適切な方法を選んで修理をします。その中でも、桑名市立中央図書館でよく行っている修理については、以前に紹介した記事をぜひご覧ください。

 その1  本のページがはずれたら…

 その2  セロハンテープとの戦い??

 その3  本が濡れてしまったら…

実はこれらの修理を紹介した記事は、「ブックとラック」の中でもアクセスの多い人気記事。本の修理方法を知る機会は、一般的にはあまりないことだと思いますので、このブログが少しでもみなさまのお役に立てているのであれば、とても喜ばしいことです。

また図書館では、新着本として本を購入した段階で、傷みが予想される箇所には予め補強をしています。

大型絵本補強

たとえば、大型絵本のページの角。写真では分かりづらいですが、専用テープを1ページずつに貼って補強しています。

本のカバーの上から、専用の透明粘着フィルムでコーティングを施しているのもそのひとつ。本の外側を補強することができますし、表面上の少々の汚れなら、専用の洗浄液を使えばキュッと拭き取ることができて便利です。

図書館ではこのように、本の状態にできるだけ気を配っているのですが、もしも、図書館の本をご利用中に傷みや汚れに気付いたら、お手数ですが、図書館スタッフまでお知らせいただけますでしょうか。

また、「セロハンテープとの戦い??」でも紹介しましたとおり、ご家庭にあるセロハンテープやメンディングテープで修理いただくことは、お心遣いはとても嬉しいのですが、残念ながら図書館の本にとっては、資料保存の面で逆効果となってしまいますので、どうぞそのままの状態でお持ちください。そのあたたかいお気持ちを引き継いで、図書館スタッフが修理いたします。

みなさまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 

 

< ぐりこ >

ちょっと気になるR本~Part2~

2015年10月24日(土)|投稿者:kclスタッフ

桑名市立中央図書館スタッフブログ「ブックとラック」をご覧のみなさま、こんにちは。平八郎です。

今回のブックとラックは5年ほど前の記事「ちょっと気になるR本」(クリックでリンクします)の第2回ということで、参考図書ことR本のお話です。なぜ参考図書のことを「R本」と呼ぶのか?ということが気になる方は上記のリンクから前回の記事をご覧ください。

このR本なんですが、参考図書は調べ物をするために非常に有用なため、常に図書館で利用できるようにという考えもあり、基本的に図書館外への持出が禁止で貸出も行っておりません。

そのため、貸出ができないなら……今は調べるものがないし……といった理由でR本を手に取ったことがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それではもったいない!R本はもっと面白いんです!

例えば桑名名物の「はまぐり」を調べてみます。

図書館でもよく使われる広辞苑(第6版 岩波書店 2008.1)では……
『マルスダレガイ科の二枚貝。殻長約八センチメートルに達する。日本各地の内湾の砂泥中に産するが、近年は絶滅状態にまで減少した。殻の表面は平滑で、色や模様は変化に富む。内面は白色。肉は食用。「はまぐり」の名で市場に出ているもののほとんどがシナハマグリ。』
といった説明です。

一方、新明解国語辞典(第7版 三省堂 2012.1)では……
『遠浅の海にすむ二枚貝の一種。食べる貝として、もっとも普通で、おいしい。殻はなめらか。』
とあり、短い文章ながらユーモアを含んでいます。全国的にはアサリやシジミなどのほうが普通ではないのか?という疑問が浮かびますし、「おいしい」なんて味にまで言及しているのは、この辞典くらいしか私は知りません。編集者にはまぐり好きの人でもいたのでしょうか?
新明解国語辞典は解説や例文が面白いので、他のキーワードでも引いてみてください。
一言余計であったり、思わず深読みしてしまったり、編集者の主観が垣間見えたりと、ツッコミ所がたくさんあり読んでいてとても面白い!私は「洒落」の項目ににやりとしてしまいました。
面白い項目を書き出して、感想を書いているだけで、ブログの文字数が大変なことになる勢いです。

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こちらの辞書

世界人物逸話大事典 角川書店 1996.2

ノーベル賞受賞者業績事典 日外アソシエーツ 2013.1

地名苗字読み解き事典 丹羽 基二/著 柏書房 2002.3

日本ミステリー事典 新潮社 2000.2

名句鑑賞辞典 角川書店 2000.4

などは読み物として面白いですし、変わったR本としては、他にもこんなものがあります。

参考図書解説目録 2011-2013 日外アソシエーツ,紀伊國屋書店(発売) 2014.3
2011~2013年に刊行された参考図書7813冊を一覧できる図書目録。辞書・辞典・事典・ハンドブックなどの参考書が網羅してあります。参考図書の参考図書といえます。

当て字・当て読み漢字表現辞典 三省堂 2010.11
運命(さだめ)、女性(ひと)、生命(いのち)、本気(まじ)など、普通の辞書には載らない漢字表現を、漫画・歌詞・テレビ・小説等から採録。表記のニュアンスや背景、文字史・表記史に基づく知識を、用例とともに解説しています。時間を表す“とき”の項目だけで時間(とき)、時空(とき)など50項目もあり、日本語の可能性を考えさせられました。

図書館でR本を使うようになるまでは、私もあまり意識してこなかったのですが、意外な分野の事典があったり、変わった手順で引ける辞書があったりと、今ではつい見入ってしまいます。

辞書といえば2012年の本屋大賞に選ばれた「舟を編む」。こちらは辞書編集部に異動した主人公が右往左往しながら働く物語で、辞書を読んでいると「舟を編む」を思い出し、こんな苦労があったのかも?と想像して楽しい気分になりました。

調べて役立ち、読んで楽しいR本。図書館にあるR本をもっと知りたい!と興味が沸いた時は、是非4階までお越しください。きっと楽しい発見があります。

< 平八郎 >

今回の記事の作成にあたり、参考にした図書です。
この辞書・事典が面白い! トラベルジャーナル 1999.6
学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方 サンキュータツオ/著 角川学芸出版 2013.3
辞書がこんなに面白くていいかしら JICC出版局 1992.6

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